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第21話 モンスター・ラッシュ

 2カ月が経って、トウヤたちは冒険者ランクÅとなって、腕前も護衛の兵より上になっている。トウヤたちは13層を探索している。ソードボアが5匹向かってくる。

 サチが炎熱魔法を撃ってソードボアの足を止める。同時にケンゴが気配を消してソードボアに近づき短剣で後ろ脚を切りつける。3匹までケンゴに脚を切られるまで気づいていない。

 トウヤ、ユキコとヒナタがソードボアに止めを刺す。アンドレアスは、もう自分に教えることはないと考える。

 トウヤたちが冒険者ギルドに帰ると受付嬢がアンドレアスに手紙を渡す。手紙は国王ベンヤミンからだった。

 「勇者たちがメジナのダンジョンに向かって2カ月以上経つが、まだ訓練を続けているのか。勇者は神セベク様の命によりオルドビスの森へ向かうことになった。

 王都に戻って報告をするように勇者の出来が悪ければ、他の召喚者は処分を考えなくてはいかなくなる。」

アンドレアスはベンヤミンの手紙の内容に手が震える。勇者を物扱いするベンヤミンとセベクに怒りを感じる。トウヤがアンドレアスに聞く。

 「国王からの手紙ですか。」「そうだ。」

 「どうせ、まじめにやらないと仲間の命がないとか言うのでしょ。」「ああ、そんなところだ。」

 「あいつめ、いつかひどい目に合わせてやる。」「あまり過激なことを言うな。心の中に留めておけ。」

 「分かりました。」「王都に帰ることになった。その前にSランクに挑戦してみるか。」

 「挑戦します。みんないいよな。」「やろう。」

 「明日は、15層に行ってオグルを狩るぞ。」「オグルはどんな魔物ですか。」

 「身長は3メートル近くある。鬼の仲間だ。力が強いし、身体能力が高いから瞬発力もある。強敵だぞ。」「分かりました。作戦を立てます。」

トウヤたちは宿に戻るとトウヤに部屋に集まる。ユキコがトウヤたちに言う。

 「いつものとおり、サチが炎熱魔法で足止めして、ケンゴが足を切って、私とトウヤ、ヒナタで倒すのでいけると思うけど。」「オグルは大きいから足にダメージが通らないかもしれない。」

ケンゴが短剣では大きく切るのは難しいのでオグルの足を攻撃することに反対する。トウヤが言う。

 「ケンゴ、オグルに短剣は通用しないと思うか。」「ああ、浅い傷しか付けれないと思う。」

セネカがアイデアを出す。

 「目なら短剣で充分だと思うわよ。」「そうか、目なら攻撃が通るか。」

ケンゴは納得する。サチが心配して言う。

 「相手は3メートル近いわよ。目を狙うなんて危なくない。」「大丈夫、目も足も同じようなものさ。」

トウヤたちの作戦が決まる。いつもの連携にアレンジでケンゴがオグルの目を狙うことにする。

 朝になるとトウヤたちはダンジョンに出発する。トウヤたちは、アンドレアスたちの援護もあってハイペースでダンジョンを進んで行く。すでにトウヤたちは力をつけているため、ゴブリンやソードボアを易々と討伐していく。

 13層を抜けるとトウヤたちにとって未知の領域になる。14層に入ると様子が一変する。魔物が出てこないのだ。慎重に進んで行くと広場に出る。

 広場には入る道が3つある。その3つの穴から地響きが聞こえてくる。アンドレアスが青くなって言う。

 「モンスター・ラッシュだ。モンスターの大軍が来る。にげるぞ。」「遅いようです。」

トウヤが答えるとホーンラビット、ソードボア、ゴブリンが洪水のように向かってくる。サチが真ん中の道に炎熱魔法を撃ちこむ。トウヤたちは真ん中の道に飛び込む。

 セネカが真ん中の道の入り口に防御シールドを張る。これで後ろから襲われる心配はない。サチが2発目の炎熱魔法を撃つ。同時にトウヤ、ユキコ、ヒナタ、ケンゴが切り込む。

 アンドレアスたちは、サチとセネカの護衛に着く。トウヤたちは、魔物を切り伏せていく。魔物の返り血を浴びて、彼らは真っ赤に染まる。それでも少しづつ前に進んで行く。

 もちろん、体力は無限ではない。少しづつ、剣筋が鈍って来る。セネカがエリアヒールをかける。そして、サチが炎熱魔法を撃ちこむ。

 再び、トウヤたち4人は魔物の群れに切り込んでいく。これを何度か繰り返して、魔物の群れを抜ける。トウヤたちはモンスター・ラッシュを何とか切り抜けたのだ。

 しかし、今いる所は15層へ行くコースを外れて、アンドレアスの知らない場所に来てしまっている。だが、戻ってモンスター・ラッシュに立ち向かう力は残っていない。

 トウヤたちは休憩を取ることにする。警戒は、護衛の兵が交代でしてくれることになる。携帯食を食べ、水分を取り、仮眠する。

 目覚めると完全ではないが力が戻ってきている。トウヤが言う。

 「僕は、前に進むべきだと思う。」「待って、モンスター・ラッシュが収まることを待つこともできるぞ。」

アンドレアスが待つことを提案する。ユキコが言う。

 「私たちは前へ進むべきだと思います。もしかすると15層への通路があるかもしれません。」「確かにそうだが。」

 「僕も進むことに賛成します。」

トウヤたち6人の勇者は進むことを選ぶ。アンドレアスは勇者が自分で決めたのなら反対する理由はなかった。トウヤたちは前進を始める。

 ソードボアやゴブリンたちを倒しながら進むと下の15層に降りる道を発見する。トウヤがみんなに言う。

 「今からオグルを討伐に行くぞ。打ち合わせ通りに出来るな。」「誰に行っているの。もちろんよ。」

ユキコが言うとヒナタ、ケンゴ、サチ、セネカがうなずく。彼らは自信に満ちている。これまで乗り越えてきた苦難が自信につながっている。

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