第20話 2層の罠
トウヤたちは1層の主キングさライムを倒したので、ダンジョン探索を終えてお祝いをすることにする。アンドレアスはこれまでの努力をねぎらうつもりだった。
だが、トウヤたちは2層のことに興味がいっていた。トウヤはアンドレアスに質問する。
「2層にはどんな魔物が出るのですか。」「1層の魔物に加えて、アシッドスライムとクレイスライムが出る。」
「スライムの亜種ですか。」「そうだ。アシッドスライムは強力な酸を吐き出す。クレイスライムは土のつぶてを撃ち出してくる。」
「厄介ですね。」「怖いのは2層の主のソードボアだ。イノシシに剣の牙を持ったような姿をしているが。動きが早いし、牙に刺されれば致命傷になってしまう。」
「ホーンラビットより早いのですか。」「ああ、あれには何人もの部下を殺されている。」
「僕たちでは手見負えませんか。」「1匹だけなら太刀打ちできるだろう。2匹以上なら我々に任せてくれ。」
「はい。」
トウヤたちは新たな冒険に目を輝かせる。アンドレアスと護衛の兵は勇者たちを守るため気を引き締める。
食事の後、トウヤの部屋に6人が集まる。ユキコが言う。
「アシッドスライムとクレイスライムだけど早くはないんでしょ。」「そうかもしれないけど、酸がかかったら、また服を着替えることになるよ。」
「トウヤ、いやらしいわね。思い出したんでしょ。」「忠告しただけだよ。」
「スケベ。」「勘弁してくれよ。」
この時、彼らにはまだ余裕があった。
2層の探索が始まる。トウヤたちは余裕で、スライムとホーンラビットを狩って行った。進むと青みがかったスライムに合う。アンドレアスはトウヤたちに言う。
「アシッドスライムだ。酸を吐くぞ。」
ケンゴが影のように動いてアシッドスライムの核を短剣で切る。次に土色のスライムに出会う。アンドレアスはクレイスライムだと説明する。
ユキコが土のつぶてをかわして剣をクレイスライムに刺して核をつぶす。さらに進むと人型の魔物に出会う。魔物は肌が緑がかって棍棒を持っている。
アンドレアスは驚く3層にいるはずの魔物が2層に現れたのだ。このようなことは今まで聞いたことが無かった。
「ゴブリンだ。群れで動くから、トウヤたちは来た道を戻って1層に避難してくれ。」「はい。分かりました。」
「トウヤ、無理みたいよ。後ろにもゴブリンが2匹いるわ。」
セネカの言葉にトウヤが振り向くとゴブリンが2匹退路を塞いでいた。前方のゴブリンは3匹に増える。護衛の兵がアンドレアスに言う。
「今は5匹ですがこれは奴らの狩りです。もっと数がいますよ。」「そうだな、悪いが命を預けてくれ。トウヤたちは2匹のゴブリンを倒して逃げるんだ。」
護衛の兵2人が前方のゴブリンに向かって行く。アンドレアスはトウヤたちの無事を願って兵たちの後に続く。トウヤたちはサチが炎熱魔法でけん制する。
2匹のゴブリンはひるむ。その隙をついてトウヤとユキコが飛び出す。2人は剣で切りつけるが棍棒で受け止められる。ゴブリンの力は強い。
ヒナタがユキコに加勢して斧でゴブリンの頭を切りつける。ゴブリンは頭を割られて命を落とす。ケンゴはトウヤに加勢する。短剣でゴブリンの腹を裂く。
ゴブリンは腹から血を吹き出して膝をつく。トウヤはゴブリンの力が弱くなったので押し返して、剣でゴブリンの首をはねる。
「今のうちに行くぞ。」「アンドレアスさんたちを置いていくの。」
「アンドレアスさんの指示だ。1層で他の冒険者に応援を頼んで戻ろう。」「分かったわ。」
トウヤたちは1層へ逃げる。アンドレアスはトウヤたちが逃げたことを確認する。アンドレアスと護衛の兵2人の足元には5匹のゴブリンが倒れている。
だが、彼らは15匹のゴブリンに囲まれていた。ゴブリンたちは有利な位置についていたが5匹も仲間を殺されて攻めあぐねている。
アンドレアスたちは、一度にかかられたら助からないと覚悟を決めていた。アンドレアスたちとゴブリンたちはにらみ合う。にらみ合いは一触即発の状態だ。
そこへ大勢の足音が聞こえてくる。アンドレアスたちとゴブリンたちは音のする方向を見る。それはトウヤたちが走って来る足音だった。
アンドレアスは「バカな」と思うが、トウヤたちは冒険者たちを連れて来ていた。ゴブリンたちは逃げようとするがアンドレアスたちが逃げ道を塞ぐ。
そこへトウヤたちと冒険者たちが突入する。15匹のゴブリンたちは戦意をくじかれ討伐される。トウヤは協力してくれた冒険者に金貨1枚づつ手渡していく。
アンドレアスはあきれて言う。
「冒険者を雇ったのか。」「助けを求めても反応が悪いので、金貨1枚出すと言ったんです。」
「銀貨3枚で充分だぞ。」「金貨位、命と比べれば安いですよ。」
「おかげで助かったよ。」「死なれては困ります。まだ教えてもらうことがたくさんあります。」
アンドレアスたちとトウヤたちの関係は強固になる。アンドレアスはダンジョンから出ると冒険者ギルドに向かい、受付嬢に言う。
「2層でゴブリンの群れに襲われた。」「2層でですか。そんなことは初めてですよ。何匹の群れでしたか。」
「22匹の群れです。」「嘘はやめてください。そんな大きな群れに襲われて助かるわけないでしょ。」
「トウヤが機転を利かして冒険者たちを集めて対処したんだ。そうでなければ死んでいたよ。」「あの子たちはゴブリンを倒したのですね。」
「ああ、6人で5匹は倒している。」「あの子たちの冒険者ランクをCにします。」
トウヤたちは冒険者ランクがCになり、驚くとともに喜ぶ。トウヤたちは最速でランクを上げている。




