第3話 カールの調査報告
サタナキア魔王国にカールの調査報告が届く。宰相イペスが調査報告書を読みサタナキアに報告する。
「メルヘムという魔族がバシュラール魔王国の民がサタナキア様の悪口を行っていると民衆に言いふらしていたそうです。」「ほう、我の悪口か、サタナキア魔王国の民が動じるはずなかろう。」
「少し愛国心が足りないのでは・・・」「構わん。その魔族はどうなった。」
「バシュラール魔王国にとらえられていいます。」「なら、ロックに任せておこう。」
「我が国は動かなくてもよろしいので。」「どういうことだ。」
「メルヘムはキーシリングの配下で命令により動いていました。」「キーシリングか放っておけ。向かってきたら叩けばよい。」「はっ。」
サタナキアは、今回のことを些事として動く気がなかった。
ヴァルハラ王国にもカールの調査報告書が届く。宰相のトウヤが報告書を読んで驚く。貴族が魔族に操られて蜂起したとは思ってもいなかった。トウヤはタダツグ、セリアと仲間たちを集める。
「キーシリングの命令でメルヘムという魔族が貴族を操って蜂起させていました。コール神教国への対応はどうしますか。」「戦いは避けたいね。」
「内乱の後だし、戦っても勝てないと思うわ。」「メルヘムはわが国だけに手を出したの。」
「バシュラール魔王国ではスタンピードを起こし、サタナキア魔王国では戦争を起こさせようとして失敗しています。」「バシュラール魔王国、サタナキア魔王国と共闘できるな。」
「その前に謝罪せることで治められないかしら。」「賠償金の請求か。」
「キーシリングが認めるかしら。」「それは僕がバシュラール魔王国へ行って相談するよ。」
タダツグがバシュラール魔王国行きを申し出る。
「サタナキア魔王国へは私が行くわ。」
ユキコがサタナキア魔王国行きを決める。
タダツグにセリアがついて行きたがる。
「私も連れて行ってください。」「セリアには国内のことを手伝ってもらいたいよ。」
「バシュラール魔王国には姉のアリソンがいますから会いたいです。」「そうか、一緒に行こう。」「はい。」
ユキコが2人をうらやましそうに見ている。ケンゴがユキコに言う。
「僕がついて行こうか。」「えっ、一緒に行きたいの?」
「サタナキア魔王国を見たかったし、1人は寂しいのだろ。」「それだけ?」
「ああ、男と一緒がいやだったら、サチやセネカと行くといいよ。」「結構です。1人で行きます。」
ユキコの機嫌が悪くなる。ケンゴには訳が分からない。サチとセネカが生暖かい目で見ている。
タダツグとセリアはバシュラール魔王国の王城に到着してロックに謁見する。
「2人ともわざわざ済まない。」「いいえ、内乱の時は陰ながら助けていただきありがとうございます。」
「セリア、姉のアリソンが会いたがっているから時間を設けよう。」「心遣い感謝します。」
「コール神教国の件は後で話そう。まずはくつろいでくれ。」
タダツグとセリアは用意された部屋に案内される。しばらくするとアリソンが部屋に来る。
「セリア、活躍は聞いているわ。」「姉様は城で不自由なくしていますか。」
「私、オーガの妻になったのよ。」「あのオウルのオーガですか。」
「ええ、いいでしょ。」「そ、そうですね。」
セリアには、オーガの妻のどこが良いのかわからない。その後、アリソンはオーガの自慢をして帰って行く。
タダツグがセリアに言う。
「姉さんは幸せそうじゃないか。」「姉様が幸せならいいわ。」
翌日、タダツグとセリアは大広間に呼ばれる。大広間に行くとロック、カール、リース、四天王の他主要なメンバーが集まっている。
タダツグとセリアが席に着くとロックが始める。
「僕たちは共にコール神教国から被害を受けている。これからどう行動するか決めていきたい。」「バシュラール魔王国は、どう対処するか決めているのではないですか。」
タダツグが問いかける。カールが答える。
「我が国はヴァルハラ王国とサタナキア魔王国と相談して行動する用意をしています。」「僕たちもバシュラール魔王国とサタナキア魔王国と協調する予定です。」
「サタナキア魔王国が我々と違っているところは被害を受けていないことです。我々2国で基本的な方針を決めようと思っています。」「分かりました。同意します。」
フールが発言する。
「私たちは案として陪乗請求をして、受け入れなかったら戦争をする考えがあります。」「僕たちも同じ考えに至りましたがヴァルハラ王国だけでコール神教国と戦うと負けると予想しています。」
「もちろん戦争する時は共闘します。」「共闘と言えば、コール神教国はイクブス魔王国と共闘同盟をしていますので、イクブス魔王国が出てくるはずです。」
「それは、手を打っていますのでイクブス魔王国は自国の国境付近までしか軍を動かさないはずです。」
カールがイクブス魔王国にくぎを刺していることを説明する。
「後はサタナキア魔王国の出方だけですね。」「サタナキア魔王国にはディルクが向かっています。」「ヴァルハラ王国からはユキコが対応しています。」
「他に確認することはありますか。」
ロックが確認する。カールが立ち上がって言う。
「この場で、コール神教国を攻める方法を決めようと考えます。」「まだ早いのではないのですか。」
「戦闘の主力は我が国になりますがヴァルハラ王国軍との連携が必要です。それぞれの役割を決めますので帰国したら作戦実行のために打ち合わせをしてください。」「分かりました。」
ロックたちはコール神教国への侵攻作戦を立て始める。