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第14話 スタンピード

 オルドビスの森があふれる。ソードボア、ストーンスネーク、ブラックスネーク、ゴブリン、オーク、オグルが森から洪水のように出てくる。怒涛の行進はタリンにまっすぐ向かっている。

 タリンの物見がスタンピードに気づいて叫ぶ。

 「スタンピードだ。ものすごい数の魔獣が向かって来るぞ。」「なんだって。門を閉めるぞ。」「どこに逃げればいいの。」「もうおしまいだー」

警備の兵と冒険者が門に集まる。町の議員たちの元にディルクが派遣した情報局員が到着する。

 「ロック様の命令です。直ちに住民の避難をするようにスタンピードの恐れありです。」「もう遅いわ。スタンピードはすぐそこに迫っているんだぞ。」

議員たちは頭を抱える。その中で商人ギルドから議員になった者が言う。

 「今すぐ、住人を非難させましょう。」「パニックになるぞ。反対側の北門に人が集中してしまう。」

 「壁を壊しましょう。そこから脱出させるのです。」「やれるだけやってみるしかないな。」

議員たちは指示を出して住民の避難を始める。南側の門では冒険者と警備兵たちが恐怖と戦いながら魔獣たちを待ち構える。そこへ指示が来る。

 「町の防衛はあきらめる。住民の避難誘導をしてくれ。」「町を捨てるのか。」

 「王の命令だ。議会が指示を出している。」「今更、避難が間に合うのか。」

 「今、北側の壁を壊している。協力してくれ。」「分かった。」

冒険者と警備兵は遅れている住民の避難の誘導を始める。1軒1軒回って声をかける。

 「荷物はいいから、すぐに避難を始めてくれ。」「何言っている金がなかったら明日から生きていけないんだぞ。」

 「死んだらおしまいだ。荷物は諦めて逃げるんだ。」「死ぬのは嫌だ。どうすればいいのだ。」

 「とにかく逃げろ。」

高齢や足が不自由なため非難をきらめている者もいる。

 「さあ、避難して。」「私は動けないから放っておいておくれ。」

 「かついでいきますよ。」「降ろしておくれ。」

冒険者は嫌がる老婆をかついで逃げる。走ってタリンに向かっていたオーガがゴブリン部隊を追い越して到着する。北門ではパニックが起こる。

 「こちらにも魔獣が出たぞー」「失礼な。俺はロック様の命令できた遊撃隊長のオーガだ。」

 「えっ、オーガ様。」「応援が来たぞー」「1人だけど来たぞー」

 「心配するな。ゴブリン隊が来る。」「おおっ、応援が来るぞ!」

パニックは治まり、オーガを歓迎する声が聞こえてくる。オーガは大声で聞く。

 「スタンピードはどこだ。俺がつぶしてやる。」「南門に向かってきています。」「そうか。急ぐとするか。」

オーガは混雑している通りを避けて、建物の屋根を走り、飛んで南門へ向かう。

 南門を飛び越えて町の外に出る。目前に魔獣たちが押し寄せてくる。オーガは大刃を手に持ちスタンピードに向かって行く。

 オーガがぶつかるとソードボアが2つになって飛び散り、ストーンスネークが輪切りになる。オーガはリースに鍛えられた剣技で魔獣を肉片に変えていく。

 しかし、オーガが頑張ってもスタンピードは止まらない。先頭が南門と壁にぶつかる。南門と壁が魔獣の血で染まるが魔獣は突撃をやめない。

 南門と壁がドーンと大音響を響かせながら揺れる。揺れは大きくなり南門と壁の一部が崩れる。魔獣が町の中に流れ込む。

 まだ、住人の避難は終わっていない。魔獣が建物を壊しながら北門に向かって進んで行く。逃げ遅れた住人が魔獣に追いつかれる。魔獣は住民を踏みつぶして進む。

 北門近くは、魔獣が迫ってきていると騒ぎになる。北門は開け放たれ、壁も崩して出られるようにしている。だが、通りで混雑して人々がなかなか進めない状態にある。

 ゴブリン部隊が到着する。ヤコブ部隊長が北門で状況を聞く。

 「応援に来た。魔獣は倒すから状況を教えてくれ。」「混乱して詳しくはわからないが、町の中に魔獣が流れ込んで逃げ遅れた住人に被害が出ている。」

 「聞いたか、隊を広げて安全を確保していく。シブリンは中央、ヤブは右翼、サンタは左翼に展開。部隊員は各隊長に遅れるな。」「「「おーっ」」」

ゴブリン部隊が建物の屋根伝いに全身を始める。100メートル位進むとサンタの隊がブラックスネークとゴブリンを見つける。

 サンタたちは屋根から飛び降りてブラックスネークの頭に剣を突き立てて仕留める。ゴブリンは棍棒を振り回して向かってくる。

 ゴブリン部隊は全員、ゴブリンの上位種のホブゴブリンだが、ゴブリンは構わず向かって行く。薬で凶暴性が強調され正常な判断ができないのだ。

 サンタの隊員は棍棒など当たることがないと言わんばかりに余裕でゴブリンを切り捨てていく。ゴブリン部隊員にとってゴブリンの動きは遅すぎた。

 サンタの隊員は通りを魔獣を倒しながら南下する。次にシブリンの隊が魔獣を発見する。オグルが少女を追いかけていた。隊員が割って入る。オグルは隊員を威嚇する。

 隊員は動じない。隊員の1人が剣を抜く。オグルが右こぶしで殴り掛かる。こぶしが隊員に当たる瞬間、隊員の姿が消える。隊員はオグルの後ろに移動している。

 オグルが振り返ろうとすると胴から上がずれて地面に落ちる。隊員はオグルを横に一閃していた。

 ヤブの隊は住人がソードボアに踏み殺されるところを目撃する。隊員が屋根から飛び降りながら剣でソードボアを刺し殺す。

 シブリンとヤブの隊も通りを南下しながら魔獣を討ち取って行く。3つの隊は南門まで魔獣を狩りつくす。ヤコブ部隊長は指示を出す。

 「町の中の魔獣は片付いた。次は外の魔獣を狩る。数は多いが俺たちなら楽勝だ。」「「「やー」」」

ゴブリン部隊は町の外に出る。すると魔獣の死がいの山が出来ていた。その中央でオーガが大刃振るって魔獣を切り殺していた。

 ゴブリン部隊はオーガの活躍に驚く。シブリン隊長がつぶやく。

 「俺たちの獲物は?」

ゴブリン部隊員は残った魔獣を我先に倒しにかかる。魔獣はすぐに一掃されスタンピードは終結する。

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