ビスケン 弐|沿革
視界不良エリアに吞み込まれ・・
✘ 方向性を見失い ✘
・・大荒れに荒れた配信終了後。
撮影場所 兼 ビスケン所有のマンションで、
冷え冷えの ストハイ(Alc9%) 片手に、
レンチンしたコンビニ総菜をつまみながら、
出演者二名とスタッフ連による反省会は、
意外にも \開放的な/
明るい雰囲気の中で行われた。
いろいろ意見は出たものの、
結論はポジティブ収斂され、
━ 「挫けず テコ入れして、
もう一度、配信にチャレンジすべき」
前向き落着をみたのだった。
━ 「紛糾したからこそ、
予定調和を破って面白かった」というスタッフさえいた。
・・乱脈コメント欄にも似たような意見はチラホラ見受けられた。
P 兼 Dと同窓のラジオアナからは、
━ 「視聴者は束の間、
ビスケンとの繋がりを求めてアクセスしてきているのだから、
どんなに正しい意見であっても、
上から目線の押しつけは禁物。
もっと幅のあるオトナの対応で接してあげないと。
・・ 少額の投げ銭だって、
彼らにとっては精一杯の好意なんだよ」
そう諭された。
フレキシブルな側面を持つビスケンは、
忠告を虚心に受け止めるべきだと考えた。
売れ線アングラライターに物申す人は、いまや皆無に近い。
好意に立脚したアドバイスを無視したら、
それこそ罰があたるってもんだ。
さすがに、社会で揉まている人の意見は
内容はありきたりながらも、
言葉を発する者の経験・蓄積から
紡がれる重みゆえ説得力を持っていた。
浮世の苦労をあまり知らないビスケンの腑に落ちたのだ。
女子高生に正論を伝える自分のやり方は、
チョイとばかりとストレートすぎた・・
・・反発を喰らうのも、まぁ当然だワな。
視聴者からの ━ 「犯罪幇助」指摘も、
弁明の余地なきアキレス腱。
┃フグの肝よろしく、
<究極の美味ほど毒に近づく>は、ある意味真理である┃
毒 をまんま文章化したようなビスケン発信に、
たえず付きまとう、
読者扇動の文責ラインをどこで引くかは、
ひどく悩ましい問題だ。
「あなたの記事のせいで逮捕の憂き目にあいました。
どーか助けてください」
<検印>の押された手紙を受け取っても、
哀しいかな、救いの手は差し伸べられない。
・・無視するより他に手はないのだ。
そんな時は、
十代のころ感銘を受けたNovel〈小説〉の一節、
「責任にも限界はある」をビスケンは心の支えにした。
他方、
コメントの中には、
歯噛みしたくなるような ガセネタ が混じっていたのも事実だ。
たとえば・・「親の脛かじり」というフレーズである。
━ 確かに自分は地方の旧家に生まれ。
物質面では なに不自由 なく育った。
安くはない大学の入学金、授業料に加えて、
東京に部屋を構えるのも、親に負担をかけたさ。
ただし、経済的に厄介をかけたのは大学二年時までだ。
━〇━
ビスケン18歳(いまの汐とちょうど同い年)のとき、
大学の同人たちと発行した
キャンパスマガジン『物見遊山』(全三巻)は、
ほんの一部で脚光を浴びた。
鋭いアンテナを持つ出版業界の切れ者編集から
「お声」が掛かり、
サブカル系雑誌に非合法スレスレの
(もしくは片足を踏み外した)濃い文章を書いた。
┃ビスケンのコラム記事は、
ディープな層に、
麻薬注射のごとき、浸透を果たした┃
時を待たず、
情報誌やアダルト雑誌からもオファーが舞い込み、
せっせと足場を固めていった。
・・少なくない原稿料を稼ぎ出せるようになるまでに、
長い時間はかからなかった。
ライターよりエディター志向の強いビスケンは、
現状に安住することなく戦略的に動き出す。
機会を捕まえては、
担当編集者へ働きかけ、
積極的に同人仲間を紹介していった。
結果・・芋づる式にブレイクを果たすことになる。
『物見遊山』の異能集団は、
インディーズからプチメジャーの場へと躍り出たのだ。
かような経緯により、
金銭面において、
ビスケンは、
大学三年時から完全に独立を果たし、
自活できるようになっていた。
━━ ムーブメントを興すには、集団を必要とする。
その後・・
意気投合した・・
よりヘヴィーな仲間たちも参戦。
彼は、
前々から温存していた計画を実行へ移す。
『物見遊山』のバージョンUPたる、
ムック形式の新書版『グレイゾーン』を
(新興のオルタナ出版からバックアップを受け)
「企画/編集/出版」したのである。
全四巻30万部突破を記録。
┃<グレイ系>なる新語を生み┃
目論見を裏切らない成功を勝ち取った。
金銭面でも大いに潤い、業界内に足場をかためたのだ。
<力のある者は、若くして頭角を顕す>
を・・ビスケン軍団は地でいったのである。
「良いこと」と「悪いこと」は背中合わせにやってくるもの。
・・イリーガルなネタを盲信した読者から
逮捕者が出始めたヤバイ事情と、
『グレイゾーン』に対する、
外圧が日増しに強くなってきていた危機感。
そして、読者に刺さる危ないネタを、
これ以上エスカレーションさせたら、
洒落では済まなくなる帰結を回避。
(ジュリーのいたGS/タイガースみたいに
人気のあるうちに解散すれば、惜しまれ、
あわよくば伝説になれるだろうという思惑のもと)
得意技である、要領の良さを発揮!
『グレイゾーン』を潔く終刊させることに決め、
それぞれ、個別活動していく決断を下したのである。
爾後・・
出版不況の波に呑まれた
雑誌媒体には見切りをつけ、
(単行本契約オンリーに絞り)
ネット上での個人連載を販売するシステムに切り替え、
軌道に乗せることにも成功したビスケン。
かつての仲間【異能+ヘヴィー軍団】は・・
小説家に転身したり、
イラストレーターになったり、
スクープ連発「週刊文冬」の編集者に収まったり、
小金持ち相手の《㊙ツアー会社》を設立したり、
某国で・下手打ちして・塀の中にすべり落ちたり、
狂信読者に撲●されたり、
ド〇ッグの過剰摂取で集中治療室に入ったり、
カプセル入り幻〇剤を服み、ビルの屋上から・飛翔・墜●↓したり、
・・悲喜こもごも。
━〇━
直近・・
ビスケンがnoteに掲載した
『健康食品特集』や『市販薬で快感を!』は、
非合法なコア路線から、
脱却を図ろうとした新しい試みであった。
しかし、
低評価96パーセント+罵詈雑言という惨憺たる有様。
読者の内部では、
すでに、
ビスケンの撒いた種子が着床、
茎を伸ばし、独自の成長を始めていた。
彼らは、いくぶん・・手におえない存在になりつつあったのだ。
イリーガルな記事ほど歓迎され、
合法・穏当な内容の回は、激しいブーイングを浴びた。
┃大好評を博した┃
『獄中記』のようなマブネタはそうそうないンである。
再度、ムショ落ちしたいとは金輪際思わない。
自分自身の迷走と ━ 読者との接点乖離。
「つくづく難しい時期に差し掛かったなァ」
と思わされる今日この頃である。
■私設パトロール隊 結成のきっかけとなった、
メルマガ『アルティメット/亜細亜 〇〇ータ 買春map』の発行に関しては、
彼 の知られざる、
根本事情が介在していた■
・・それについては、次回に譲ろう。




