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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
45/75

ミゼット再発進!

「本番、よーい スタート!」

 乙骨Pのキュー出し。

 シンクロするよう NC15スタジオ 内外に、

 recording(録音中)の赤ランプがともった。

  

━[笹森汐企画]

 『1952年・夏/いただきマンモス』━ 収録開始!

 

 しおりのヴォイスによるナレーション(N)と、

 BGM・効果音でりなされるプロローグ。


◇ ━ ◇ ━ ◇ ━ ◇ ━ ◇ ━ ◇ ━ ◇  

太陽放射は、波長のことなる七色の光を重ね、

目のめるような青空を現出させていた。


陽炎かげろう揺れる屋外コートでは、

ポーン!ポーン!と心地よい音を響かせ、

町内会対抗戦という名の、

白熱したテニスゲーム(決勝戦)が行われていた。

笹森ささもりヴァン・ドーゼン博士はかせは、

ポロシャツ&ショートパンツ姿で、

コートネット真横(はじ)のポジションにて、

短距離走者を思わせる、

両手を地面につけたクラウチング・スタート姿勢をとり、

アドレナリン限界量放出中のアタック表情で、

したたる汗をやり過ごし、

コート上、自身の担当する ポイントぐるり に、焦点しょうてんを合わせ、

ボールパーソンのボランティアを懸命けんめいにこなしていた。

チカラいっぱい放たれたサーブボールが

ネットストラップ(中央部)に触れ、ポトン ↓ と真下に落ちた。

GO!ダッシュした博士は、

忍者のような素早い動きでボールをひろい上げ、

向こう側へけぬける。

りそうになる足を軽くほぐして、

まわれ右、

反対側ポジションで再び同姿勢(クラウチング)をとる。


いつつも博士号を持っている鬼才・ドクター笹森。

彼女が、なぜ、ボールパーソンをつとめているのか?

・・いまは言えない・・

その謎は、追い追い、明らかになるだろう。


町内会の打ち上げを終えた博士は、

したたかこしして、

La Vie en rose♪を口ずさみながら(汐のアドリブ)、

千鳥足ちどりあしで研究室兼自宅に戻った。

シャワーを浴び、

軽いストレッチをしたのち、

ピラミッド型をした仄暗ほのぐら瞑想めいそうスペースへ入る。

ヒーリング系の静音に包まれ、

座禅ざぜんを組み、

交差する思考を解きほぐし、

ニュートラル・ゼロへ目盛めもりを合わせ、

次なる計画を、偉大な頭脳で反すう(・・・)した。


けがえのない<相棒ミゼット>との新たなる時間 (過去)旅行。

その遠征えんせい先は「1952年/夏」とターゲットを定めていた。


翌朝・・

ついに 旅立ちのときが来た。

白のつなぎ服を着用した、

笹森ヴァン・ドゥーゼン博士は、

あけぼのに向かって、

気合い注入の たけび!を上げた。

そうして、

出発準備にとりかかる。

扇札勘おおぎさつかんなど出来ないほど、

ペラい()当該(とうがい)こくマネー(お札)を

財布サイフとハンドバッグ双方そうほう仕舞しまう。

つなぎのファスナーポケットに財布を入れ、

チャックを閉じる。

猛暑対策のために、

車のバッテリーから充電可能な

エアコン付き冷却服をつなぎ服の上に着用。

夏用のファンデーションや、USB扇風機、

冷えロン、クール・ネックリング、

ミネラルウォーター、着替え、

強力サプリメント、

小型(高倍率)双眼鏡(そうがんきょう)などをボストンバッグに収納しゅうのうすると、

後部座席へ そっと置いた。


マシーン・タイムを ┃1952年X月X日┃

次いで、座標を   ┃北緯41度54分 東経12度┃近辺(Fuzzy)にセット。

長年の相棒である三輪自動車(ミゼット)の運転席へ、

気圧 緩衝かんしょうイヤープラグをした博士は、

スリムな身体をすべり込ませた。

ハンドルを握る。

路地ろじまで進み、

前・後方確認。

唾液ツバをゴクリとのむ。

リヴァース() ギアを入れる。

せまい路地をひたすらバックしていくミゼット。

(サスペンスフルなBGM♪)

加速するにつれ、気圧は急上昇。

引きつる小顔。逆立つ髪の毛。

耳キーン状態。

音高おんこうデシベルは増幅ぞうふくされ、臨海りんかい 突破。

(エッヂの効いたノイズサウンド(瞬さん)


総計は短いタイム・・

しかし主観時間は長く感じられる、

時空のトンネルを一閃いっせん抜けした!


今回はへま(・・)をせず、

目的国の一般道へ、

スイと現れたミゼット。

他の車の流れにムリなく乗り、

スムースにわきわきれ・・減速げんそく・・

目的地の近傍きんぼうに停車させた。


サイドガラスを手動式ハンドルで開くと、

凄ざましい騒音と熱波ねっぱ、常識外の暑さで、

心身のチューニングが不協和を起こした。

「ヒック!ヒック!」と、

しゃっくり を連発する博士。

魔の永久運動を止めるべく、

あわてて後部席に置いたバッグのチャックを開き、

ミネラルウォーターを引っぱり出す。

一気飲みで、しゃっくりを撃退げきたいした。


「こりゃたまらん、

なんという暑さ!

なんという街のヴァイタリティ―!

つぶされそう!」

博士はサイドガラスを閉じ、

数多あまたの発明品のひとつで、

目下もっかBF社に売り込み中の新装置を稼働かどうさせるべく、

メーター横に取り付けたスイッチをON。

すると、あらあら不思議?!

またたく間に、車内は、透過率(とうかりつ)0%にブラインドされた。

(レディーのたしなみを守るためデス)

つなぎ服を車内でボーイッシュに脱ぎ捨て、

夏服に着替え、

その上から冷却服を装着。

さらに、強壮きょうそう成分のあるサプリメントを服用した。


車内透過率を50パーセントまで上昇させる。

UVケアの化粧でおめかしすると、

小型双眼鏡をキュロット・ミニのポケットへ忍ばせる。


サングラスをかけた博士は、

車から降り、

目的地に向かう前に、

ぜひとも寄りたかった、

エリアへ、

胸躍むねおどらせながら、

USB扇風機を片手に歩みを進めていく。



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