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哉カナⅡ/18歳  作者: カレーライスと福神漬
20/74

ミゼット発進

レイティング用ラジオドラマ、

拡大(わく)バージョン。

『<クランベリー いちご>1966のミラクル』


収録本番。

乙骨P「よーい」腕を振り上げ、

   「GO!」サッと振りおろす。


(Nはナレーション)


「ワンダフル!エクセレント!マーベラス!

よーやく、完成にぎつけた!」


N つなぎ服の上に白衣を着用した、

  笹森ヴァン・ドゥーゼン博士は、

  喜びの たけびを上げた。


しおりは、

〈リハなし本番をPに要求した(認められた)〉

博士〈ドクター〉という新しい役柄やくがらを演じるに当たり、

コミカルとシリアスを

マイスターのように調合ちょうごう

その上、

リアリティーも、

そつなく注入ちゅうにゅうして・・

ドクター笹森 を創出そうしゅつせしめた。

結果・・役にふさわしい・・

輪郭りんかくを持ったサイエンティスト(人格)が生まれ出たのだ。


乙骨Pのサングラスの奥から放たれる演出光線は、

厳しさから、柔和にゅうわ出力へとチェンジ。


「あいかわらずウマく決めてきやがるぜ。

のっけからつかんでしまう。

その呼吸は、小憎こにくらしいほどだ。

汐坊しおりぼうが、

ここぞという場面でスベったのを見たことがない。

非凡なる安定感だぜ」



(以下・・N略します)

ドクター笹森ささもりは五つの博士号を持つお方。

世界の100人に選ばれた、

スーパーな頭脳の持ち主である。

同時にエキセントリック(変人)でもある。


愛車のダイハツ・ミゼットに、

ある装置━ 特許申請中(ゆえ)㊙ ━を組み込み、

驚くべき執念しゅうねん注力ちゅうりょくし、

改造と改良を積み重ね、

ついに時空を旅するタイムマシーンを完成した。


過去時間をして(未来には行けない)、

後世こうせい足跡そくせきを残した、

革新的な 光景(歴史) を、

フィールドワークしたいがために、

ただそれだけの理由で、

途方もない歳月と費用(遺産) を研究に費やしたのである。


マシーンを ┃1966年11月24日┃ にセット。


気圧 緩衝(かんしょう)用イヤープラグをした博士は、

国際規格のカーラジオを搭載した、

長年の相棒である三輪自動車(ミゼット)に、

必需品の入ったリュック入れ、

スリムな身体をすべり込ませた。

ふくらんだお財布を改める、

おうぎ 札勘さつかんしたくなるような、

当時のポンド紙幣がギッシリ。


ハンドルを握る。

路地まで進み、

前・後方確認。

唾液ツバをゴクリとのむ。

(リヴァース) ギアを入れる。

狭い路地をひたすらバックしていくミゼット。

(サスペンス系のBGM)

加速するにつれ、気圧は急上昇。

耳キーン状態。

音高おんこうデシベルは増していき。

臨海りんかい 突破。

(エッヂの効いたノイズサウンド(瞬さん)


気がつけばロンドン。

北西部セントジョンズ・ウッドの車道に、

ドタンバタンとバウンド着地。

逆走ぎゃくそうしていたので進路を急激に方向転換。

怒号どごうが飛びう。

クラクションの嵐。

「STUPID!」 「FOOL!」

「DIMWIT!」 「CRAZY!」


平常運転に落ち着いた。

イヤープラグをはずす。

カーラジオから、

新曲<グッドヴァイブレーション♪>が流れ出した。


そのまま直進、

レコードジャケットにもなった、

有名な 横断歩道 をめるように走行する。

そして、目的のスタジオにミゼットをパーキング。

警備員(セキュリティー) に心づけを渡す(当時はユルかった)。


お腹がすいたので近くのスタンドパブに入り、

キュリオスティコーラとフィッシュ&チップスを注文。

カウンターに置かれた 初物はつものを、

ナイフとフォークで切り分け、

ディップをつけて熱々(あつあつ) を口に入れる。

わりかしイケる(ハフホフ)。

揚げたて白身魚とタルタルソースのハッピーマリッジ♪

日本でいえば、

お寿司とむらさき(しょう油)のような関係だろうか。

ちょっとやそっとじゃ 離婚(divorce) しそうにない。

コークがのどにパチパチ ハジける!

異国いこくの味覚は新鮮だった。


後世こうせい、歴史に名をのこすようになるスタジオは、

意外に平凡な外観をしていた。

腹ごしらえを済ませた笹森博士は、スマホで写真撮影。

そこへ、紳士風の通行人が寄ってきた。

興味津々(きょうみしんしん)な視線を向け。

スマホを指さし、「ハウマッチ?」とクエスチョン。


プロトタイプ(試作品)なので NOTプライス(UNKNOWN)」とアンサー。


「いくらなら手放す?」さらい。


博士はスタジオを指さし、

Fab Four(四人組)のレコードセールスと同額なら」


「バットジョーク!」

通行人は〈怒り笑い〉して去っていった。




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