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第6話 迷宮探索

「え〜では説明する前にこの方を紹介します。私の師匠である「アクマ・デース」様です」


 今俺達がいるのは、城から豪華な飾りが付けられた馬車で向かって数分の所にある迷宮の入り口付近に集まっている。迷宮の入り口には木で作られている魔法の杖を持った白のローブ姿の男2人が左右に立っている。胸にはウルド王国の紋様であろう銀狼の刺繍が右胸の所に付けられていた。因みにこの場所は、街の端っこらへんなのかな?目の前には上まで見上げるほどの大きな壁が建ってるから。あ、でもね!腕時計貰えたよ!1人一つ!いや〜便利だよ!腕時計はついでに配られた物であり、メインはこの胸に付けている銀狼の形をした金のバッチだそうだ。正直俺にとってこのバッチはついでなようなもので、メインはこの銀と革でできた腕時計だな。このバッチ何かというと、勇者の証だそうだ。これを色んな国とかで見せると、ギルドカードや証明書が無くても自由に入れるんだって。しかも並ばずに通れるとか。更に商品を安く買えたりできる。時計はめちゃくちゃ便利だからいいとしてこの勇者の証は正直目立つからいらんな。それに安くなるのは良いけど権力使っての買い物はしたくない。だからこの世界にギルドがあるらしいから、迷宮探索終わったら作るか。このバッチはいつか使えるだろうからギルドカード作った後は無限収納に入れとこ。どうせ俺勇者じゃないし持ってても仕方ないと言う理由もあるけど。

 てか今一瞬吹きそうになった。皆んなも堪えてるのか口を押さえながら我慢しているし。特に美菜何て目に涙を浮かべながら必死に我慢してる。流石に皆んなも分かってるのか笑わないな。でもこの黒いローブの男訓練場にいた人だよな?


「クフフフ、皆様宜しくお願いします。迷宮はこの私アクマが担当させていただきます。では説明をしていきます。この迷宮の名前は初心迷宮といい、全部で10層あります。腕試しとしてはいいでしょう。目標は10階にいるボスを倒していただいたら終わりとします。PTは28人いるので7人構成の4PT作ります。では作ってください」


 言われた通りに7人PTを作っていくがメンバーが3人除いて最悪だった。

 うわ〜何でこうなるかな?


「やーこの私がいれば安心ですよ!この真(・)の(・)勇(・)者(・)がね!」

「よぉ!最強の勇者!」「流石豪華さん!頼りになります!」


 そう、メンバーは俺、美菜、鈴菜、春香、そして豪華とその取り巻きAとBがいるんだよね。もうこの取り巻き達はめんどくさいから説明なしでいいや。興味ないし。あと豪華の野郎はずっと真の勇者を強調しすぎでウザい。てかこいつ意外と頑丈でメンタル強いな。剣豪に倒された後泡吹いて気絶してたくせにもう何もなかったかのようにピンピンしてやがる。


「鈴菜さん、美菜さん!安心してください!この私がいる限り死なせはしませんよ?」

「「……」」

「あー!冷たい視線もまた素晴らしく美しい!」「その顔可愛いですよ!」「もっと俺にその眼差しを!」


 この3人気持ち悪いなおい。顔を引きつらせながら再度説明をし始めたアクマに顔を向ける。


「クフフフ、PTを作れましたか?では次に食料等のことですがこのアイテムバックの中に1人4日分の水、食料が入っております。他にも勇者様達が快適に眠れるようにベットを1つのアイテムバックに7つ、家を模様したテントと言う物が入っております。勿論それも7つ入っておりますのでご安心を。1つのPTに1つ渡させていただきます。貴重品なのでなるべく無くさないようお願いしますよ?」


 皆んなに見せたのは、腰につけるタイプの普通の茶色いバックで、持ち運びが楽だと言うこと。


『アイテムバックC+』

全ての物を仕舞うことが可能。ただし生きた生物は、入らない。ランクによって入る容量は決まっている。100個収納可。


 お、このアイテムバックはランクあるんだな。でも100個だけなのか。俺の無限収納は規格外とういことが改めて分かったよ。なんせ世界に存在しないバグ魔法だしね…。普通のやつは鮮度や自動解体とか付いてないんだな。これが当たり前か。あ、だけど共通点としては生きた生物は入らないことだけだな。もし入れたらどうなるんだ?と思ったけどそんな残酷なことは絶対にしない。


「次に、魔法をまだうまく発動できないって方は杖を貸し出しています。ですので使いたい方は入る時に渡すので言ってください。最後になりますが迷宮攻略は今日合わせて3日で可能だと思います。この迷宮は、皆様が思ってるよりは楽ですよ。トラップ等はありませんのでご安心を。寝る時等も魔物を寄せ付けないこの魔除けロープを円状に、自分達を囲うようにしていただければ寄ってこないので大丈夫です。これで私からの説明は終わります。クフフフ」

「ありがとうございますデース様!では勇者様!1PTずつ迷宮内にお入りください。この奥にある1階に繋がるワープポイントを通っていただいたらランダムに飛ばされます。そこから2階3階に繋がるワープポイントを探していただいて10階を目指して下さい。そこには巨大な扉がありますので、扉の前で4PT揃うまで待っていただき、揃ったら開いて下さい。ボスは皆様で協力して倒して下さい。ではご武運を祈っております!勇者様達に祝福を!」

「「「「「祝福を!」」」」」

「ご武運を勇者様達、クフフフ」


 馬車でここまで連れてきてくれた御者の人達や、アクマが一例をする。

 そして1PTずつ迷宮内に入っていき、ワープポイントに触れた人達は消えていく。最後になった隆介達もワープポイント目指して歩いていくと、アクマが隆介の元まで来て耳元に口を近づける。

 急に何だ?


「死なないといいですね。クフフフ」ボソッ


 隆介の耳元でそう呟くと、何もなかったかのように帰っていった。

 まじで何なんだよ。死なないといいですね?今から何が起こるんだ?いや、もしかして俺がオールEだから心配して言ったのか?でも何の為に…気にしてたらきりがない。まずはみんなの役に立てるようにサポートしなきゃね…と言っても美菜、鈴菜、春香だけだけど。でもな〜アイテムバックを持ってるの豪華だしな。俺は荷物持ちでもなければ、秘密が多すぎて戦闘すらできないただの寄生野郎だ。自分で言ってて悲しくなってきた。敵を倒そうと思えばいつでも倒せるよ?でも、皆んなにステータス見られたから俺は何もできないと思われてるし、今魔法を使ったらどうやって発動した?ってなるから大人しく後ろで見てるよ。

 7人は、ワープポイントの光っている所に立つと、いきなり視界が歪んで、壁が光っている広い通路に転移する。


「わ〜綺麗!」

「そうね」

「そうだね!」

「確かに綺麗だな」

「おー素晴らしい!この光っているのはなんでしょうね!」

「分かりませんが持って帰りますか豪華さん?」「持って帰りましょうよ!」


 取り巻きBが持ち帰ろうと、光っている苔を取った瞬間綺麗に光っていた苔は段々と光を失い、最後には消えてしまった。


『光苔』

迷宮内でのみ育つ光る苔。壁についている間は光っているが、壁から剥がれた瞬間その綺麗な輝きは消えてしまう。


 なるほどね。だから取ると光が消えてしまうわけか。


「どうなってんだ!?さっきまで光ってただろ!クソ!取りまくれば一つだけ光ってるのがあるはずだ!」

「いくら取ったって無駄だと思うわ。ここに生えている苔は迷宮内でしか育たない特殊な植物だもの」

「へぇ〜鈴菜さんは物知りですね!是非私のためにその知恵を使って欲しいよ!いつでも歓迎するよ鈴菜さん。勿論美菜さんも、ですが」


 鈴菜と美菜を見ている時はニコニコとしていたが振り向いて顔が見えなくなるとペロリと舌を回して、ニヤついていた。勿論隆介からは見えていたので、ゾッとしたものが背中に走る。美菜と鈴菜の2人は、豪華の話を完全に無視している。

 うわ〜こいつ王様の前でルルカをくださいとか言っときながら裏では浮気してるぞ。最低だな。2人に手を出したら許さんぞ?手を出した瞬間、魔王殺る前にその真の勇者とか言う地位を落としてやろうか?


「そそそ、そんなんですか!?いや〜通りで取っても取っても光が付いている苔が無いわけですか〜。いやー俺としたことが」


 豪華の取り巻きBが鈴菜に話しかけられたことによって、あたふたしつつも、嬉しいのがたまらないのか笑顔が気持ち悪いことになっていた。と言うより鼻が伸びていた。

 あ〜こいつもこいつで鈴菜に下心あるな。ま、でもこういのは鈴菜が決めることだし俺がどうこう言う必要はない。豪華とこいつら以外で良い人見つかると良いな。頑張れ鈴菜!


「何隆介?私に何か付いてるかしら?」

「付いてないよ。ただよく知ってたなと思ってね」

「そんなの嘘に決まってるわ。何も知らないけど適当に今の状況とかを見て考えただけ。実際この苔がどのようなものかは、私にも分からないわよ?」

「えっ!でもその説明であってるよ!流石鈴菜だな」

「そんなことないわ。でも隆介は何で知ってるのかしら?」


 あ、つい口が滑ってしまった…。どうごまかそうか。鈴菜は意外と鋭いから下手に言うと『スライムが出ましたよ!』バレるしな〜。えっ?スライム?

 鈴菜と話していた隆介はチャンスと誤魔化すように豪華の方を見て、話を強制的にやめる。今回はナイスと言っておこう豪華。

 話を強制的にやめて豪華の方を見ると、そこにはプルプルとしている青色のスライムがゆっくりだがゆらゆらとこちらに近づいてきていた。

 ちょと鑑定してみるか。


=====================================


名:ブルースライム ランクE

性別:なし

魔法:なし

ユニーク魔法:なし

称号:なし


=====================================


 なるほどな。かなり簡単なステータスだ。種族と7つのステは書いてないようだし、人間とかだけかな?他の魔物を見ないとまだ分かんないけど。


「わ〜可愛い!プルプルしてるよ隆介!ねぇ僕あのスライムを触りに行ってきていいかな!」

「「「ダメ!」」」

「えー!」


 目をキラキラとさせながらスライムを見ていた美菜は、そわそわと行きたそうにしていた。だが隆介、鈴菜、春香がダメと言うと、ガーン!と落ち込み、スライムの方をじっと見ていた。

 スライムでも何が起こるか分からないから下手に行かせない方がいい。


「私が守ってあげますので行ってきますか?」

「ならいい!やめる!」


 絶対に僕は豪華君に守ってもらわない!僕のプライドが許さないよ!だから本当は行きたいけど行かない!ガルルルと豪華の方を見ながら睨んでいたが、豪華はスライムが気になるのかずっと見ていた。


「そうですか。なら私はこのスライムさんを華麗に倒して見せましょう!」


 ふふーん!と右手で前髪を後ろにスゥとやる。そのまま格好をつけるように右手をまえにやり、光魔法を発動させて跡形もなく消し去る。

 どうですか真の勇者の力は!カッコいいですよね!ハハハ!流石私です!素晴らしいですよ本当に…この世界を支配できそうです。フフフ。


 そんな姿を隆介は、白い目で見る。


 いやいや格好つける必要ないでしょ…。しかもオーバーキルしてるし。スライムが逆にかわいそうに見えてきた。格好つけるためだけにオーバーキルされて倒されるスライムに俺は味方するな。


「流石豪華さん!」「かっこよかったですよ!」


 取り巻きA.Bは、豪華をヨイショした後は、進んでいく豪華の後ろを歩いて行った。

 俺達も進むか。

 その後は、迷路のように入り込んでいる通路を休憩しながら進み、途中途中遭遇するブルースライムを何体か倒したりしていると、2階に続くワープポイントが目の前に見える。


「やっと見つけました!いや〜大変でしたよ!」


 と言いつつも、汗一つかいていない。疲れた様子も一切なく、余裕の表情をしている。逆に隆介は、表情は普通だが内心疲れていた。

 美菜達がいるから何もしてこないと思ったけどあいつらに持たせたのがダメだったな。俺に渡された水に激辛の何かが入ってたり、食料が4日分あるとか言っていたのに俺だけ袋の中身が皆んなより少なくて、逆に豪華の方は皆んなより沢山入っていた。ここまで来て虐めとかもうやめてほしいよ…。特に激辛水飲んだ時3人に心配されないよう我慢したのが大変だった。


「ではでは2階に進みましょう!」

「イエス豪華さん!」「行きましょう!」


 豪華とその取り巻きは、先にワープポイントに入っていき、消えていく。


「はぁ〜….」

「どうかしたのかしら?」

「いや、何でもないよ。俺達も行こうか」

「そう。あまり無理はダメよ?」

「ああ、心配ありがとう鈴菜」


 4人もワープポイントに入っていき、次の階を目指す。


 よし!気を取り直して進むか!


 隆介達は、豪華達と距離を開けて進んで行く。道中に違う色のスライムが現れたが全部前を進んでいる豪華達が倒してくれてるので何もすることがない。でも前の3人が毎回格好をつけながら戦っている姿はウザいとしか言えない。勿論全部オーバーキル。


「色が違うだけで所詮はスライムです!この私には勝てませんよ!」

「俺の魔法が火を吐くぜ!」「俺の風魔法も負けてないよ?」


 こいつらスライムが可哀想と思わないのか?しかもこいつら全部オーバーキルのせいでドロップ品も全て消炭になってるし。『スライム液』と『スライムの核』と『魔石』も跡形もなく消えてるよ?気付いてないのかな?

 前の人達だけ戦闘をしたり、何回も迷いながらも3階、4階のワープポイントを進んで行き、ついに5階にたどり着いた。


「いや〜やっと5階にたどり着きました!今日はここで休みましょう。今が20時なので明日に備えてゆっくりと休みます」


 5階のワープポイント付近で豪華達は、休む為の準備を始める。

 それにしても今日は疲れたよ。何だろうこの疲労感。

 豪華が持っているアイテムバックから、7人分のベットと、ベットが入る大きさの緑色のテントが7つ、4日分のご飯が入っている袋を7つ取り出す。取り出す時は、アイテムバックに手を入れて、頭に浮かんだアイテムを選択すると、目の前に出現するとても便利なシステムになっている。そりゃーそうだよね。ベットを片手で取り出すなんて無理だし。

 それぞれの袋、ベット、テントには名前が書いてあり、間違えないようになっている。名前は中に入っていた羽ペンで書いた。


「私はここにしますか。ではまた明日です。起床時間は朝6時とします。お城にいる美しきレディーもさぞお待ちでしょう。早く攻略して会いに行かねば!」


 豪華に指示させるのも嫌だけど確かにここはこいつに従っておこう。俺も今日は疲れたし休みたいし。最後の言葉は無視でいいやもう。

 各自用意されたテントの中に入っていき休む。


「へぇ〜このテント防音が付与されてるのか。その方が俺にとって都合がいいからいいけどな。さて、夜ご飯食べながら魔法を習得するか。[〈神眼〉保留選択!]」


〈承知しました。表示します〉


〈火魔法E〉 

〈闇魔法E〉

〈危機探知E〉

〈探知妨害E〉

〈王の威圧_〉

〈光魔法E〉

〈聖剣召喚_〉

〈自動範囲回復E〉

〈土魔法E〉

〈風魔法E〉


「う〜ん迷うな。今ここで使えそうなのは〈自動範囲回復〉と〈危機探知〉だよな〜この干し肉美味い。お、このドライフルーツも美味しい。凄いなこれでこの美味しさとか。飲み物は〜うん普通の水だ。良かった…。あれは本当に辛くて無理。よし明日の朝習得できるか分からないし、UPもできるか分からないから習得する魔法をよく考えないと」

「隆介入るよ!いいかな!」


 う〜んと、ベットの上であぐらを組みながら考えているとテントの入り口から、美菜の顔が覗き込んでおり、笑顔で隆介のことを見ていた。

 どうしたんだ?


「美菜か、入っていいよ」

「やった!お邪魔します!えへへ!来ちゃった!」


 テントに入ってきた美菜は、隆介にピタッとくっつくようにして隣に座る。

 隆介の匂い落ち着く〜。


「少しくっつきすぎだ美菜。でも俺といても何もすることないぞ?」

「え〜いいじゃん隆介のケチ〜。僕はそれでもいいよ!ここにいるだけでも安心するからね!」

「ケチって…はぁ〜まーいいや。ご飯はもう食べたのか?」

「うん!干し肉とドライフルーツ美味しかったよ!」

「美菜が美味しと言うなら当たりだな。でも風呂ないからキツいだろ?」

「うん!でも今はこの浄化で我慢する!凄いよねこれ!使ったら汚れてた制服や気持ち悪かった汗とかが全てなくなって綺麗になったよ!ほら髪も!」


 ほら!と、美菜は立ち上がり、隆介の前でくるっと回って髪を見せる。何もしてないのに美菜からふんわりといい匂いがするな。いや、別に変な意味で言ってる訳じゃないよ?

 見せた後は、隆介が座っているベットに美菜は寝転んで、ゴロゴロとする。


「そのまま寝るなよ。朝鈴菜達に説明するのは俺なんだから」

「大丈夫大丈夫!多分寝ないから!あっ!それとも僕と一緒に寝る?」

「寝ないから。誤解を生むだけだぞ?」

「僕は別に…」ボソッ

「どうした?」

「えっ!何でもないよ!そうだよね!誤解されるよね!」


 顔を真っ赤にしながらあたふたしている美菜は、そのまま毛布を被ってしまった。

 何だったんだろ?まぁ、今はどの魔法かだな。

 隆介の目の前には開けっぱなしのステータス画面が映し出されているが、美菜には当然見えない。

 習得時は別に声に出さなくてもいいけどつい声を出してしまうんだよね。今は美菜がいるから気をつけないと。さてと、何を取ろう。う〜ん…やっぱりここは〈危機探知〉でいいかな。強い魔物とか出現したら警告がなって回避できそうだし。多分だけど。〈自動範囲回復〉もいいけどあいつらにも回復が回ると考えると嫌な気持ちになる。てかあいつ持ってたよな?今もなら回復が回ってるのか?分からん。〈探知妨害〉も欲しかったけど今は使わないしいいや。


「せんた…ううん!」

「どうしたの?」

「何でもないよ」

「そっか!ふふ〜んふ〜…ふわぁ〜…」


 わざと咳をして誤魔化す。

 あっぶな!今さっき気をつけるとか言ったのにもうダメじゃん!こんなことしてたら他の人に変な目で見られるな。よし、気を取り直して、[選択〈危機探知〉!]


〈承知しました。〈危機探知E〉を獲得します〉0/2


〈危機探知E〉

敵意がある人や魔物を自動的に範囲指定なしで探知してくれる。探知に引っかかった人や魔物の場所を5秒間特定する事が可能。


 今日はこれで終わりだな。もう10時30分か。なんやかんや時間が経つの早いな。さて、明日早いしそろそろ寝るか。明日6時起きなら、なるべく早く起きて整理しないといけないしな。


「美菜、俺はもう寝るから自分のテントに戻ってほしい…な?あれ?寝ちゃった?たく…元気なのはいいけど男がいる場所で無防備に寝てたら襲われるぞ…」


 呆れつつもベットで寝ている美菜を優しく持ち上げて、お姫様抱っこをする。

 余り美菜の寝顔見ないから貴重だな。可愛い寝顔だよ本当に。鈴菜もそうだけどもし美菜に好きな人ができて、結婚とかしたら幸せになってほしいな。でも…もし酷いことをしたら絶対にその人を許さない。

 お姫様抱っこをしたままテントから顔を出して、誰もいないかチェックした後、テントから出て美菜のテントには向かう。


「ここだな」


 隆介のテントから直ぐの所にあった美菜のテントの中に入り、ゆっくりとベットに寝かす。

 お休み美菜。また明日もよろしくな。

 毛布を上にかけて、中にあるランタンの明かりを消す。テントから出た隆介も自分のテントに戻り、『浄化のリング』で綺麗にした後は明かりを消して、毛布にくるまって眠りにつく。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 体の言うことが聞かない…誰か助けて…。私をどうか…。


「うっ…誰だ今の声…」


 頭に響く女性の声に起こされた隆介は、寝ぼけながらも起き上がろうと体を動かすと、お腹に違和感を感じた。


「あ、隆介おはよう…。うなされてたけど大丈夫?」

「美菜か。おはよう。ああ、大丈夫。心配ありがとう」

「うん…その…昨日はありがとう。僕変じゃなかった?」

「うん?何のことだ?」

「その…僕をテントまで連れてってくれたりとか、寝顔が変じゃなかったとか…」

「そのことね。どういたしまして。美菜の寝顔変じゃなかったぞ。むしろ可愛いよ」

「あ、ありがとう隆介!えへへ、隆介が僕のこと可愛いって可愛いって…」


 最後の部分はよく聞き取れなかったけど喜んでくれてよかったよ。さて、まずは美菜にどいてもらって朝ご飯食べるか。


「美菜、朝ご飯食べたいからどいてほしいな」

「分かった!僕もまだ食べてないから一緒に食べよ!」


 お腹から降りた美菜は、元からそのつもりだったのか食料が入っている袋を持ってきていた。

 よし、食べるか。


「いただきます」

「いただきます!」


 2人は今日どうしようとか話しながら朝ご飯を食べて、ゆっくりとしていると、外から鈴菜と春香の声が聞こえてきた。

 おっ?2人も起きたのかな?ならちょうど俺と美菜も食べ終わったしそろそろ片付けるか。


「美菜、そろそろ行くよ」

「うん!明日でボス討伐だね!」

「そうだな。行くか」


 2人はテントから出ると、ちょうど鈴菜と美菜がこちらに向かってくる所だった。


「おはよう美菜、隆介。やっぱりここにいたのね。美菜を呼びに行ったらいなかったからここしかないと思ったわ」

「お、おはよう美菜さん、隆介君。その…美菜さんと隆介君ってそういう関係だったんだね」


 鈴菜はやっぱりという顔をしていたが、春香の方は、2人が一緒のテントから出てくるところを見て、少し暗い雰囲気になっている。


「春香、誤解してるぞ。俺達はそういう関係じゃないから」

「そ、そうだよはるるん!僕と隆介はそ、そういう関係じゃな、ないよ!」

「そうなの?」

「う、うん!そうだよ!僕は毎日隆介の家に行って起こす担当になってるの!だからこの世界でも僕が起こす担当!」

「いつからその担当になったんだ…」

「い、いいの!でね!鈴菜が料理担当なんだよ!今は休憩中だけど!」

「へ、へぇ〜」


 春香はへぇ〜と困惑しつつも隆介の顔をじっと見てくる。美菜もそうだよね!と言わんばかりの眼差しを送ってくる。

 いや、俺見られても困るんだけど。俺も初めてその担当聞いし。鈴菜は〜無表情だな。ここは普通に返答しておくか。


「まーそう言うわけだ。分かった春香?例えるなら俺と春香が一緒のテントに出てくるようなものだよ。男同士だから別に違和感ないだろ?そう言う感じだ。さて、この話は終わり。豪華達も出てきたみたいだし整理して進むよ」

「そ、そういことね!うん分かった!」


 もしかして春香は美菜のことが好きなのか?なら俺に相談してくれても良かったのに…とは思ったけどここは温かい目で応援しよう。春香なら美菜を幸せにしてくれるだろうしな。頑張れ春香!応援してるよ!


「な、何?」

「いや何も〜」


 温かい目を春香に送ると、顔を真っ赤にしながら俯いてしまった。


 ニヤニヤ


「春香君を熱い目で見てる隆介…もしかしてホモかしら?」

「あー!はるるんを熱い目で見てる!僕達2人がいるのに!隆介ホモホモはダメだよ!」

「違うから!俺はただ春香がみ…兎に角違うから!俺はホモじゃないし好きな人だっている!」

「「「えっ!」」」

「あっ!いや、いない!いないからな!今のは間違えただけだから!そう!俺は女子が好きだ!」


 俺は何変な事言ってんだ!そうじゃないだろ!あ〜バチが当たるってこういうことか…。今度からやめよ。

 そんな姿を見ていた3人はクスゥと笑う。


「冗談よ。隆介を揶揄(からか)うの楽しいわね」

「そうだね!」

「隆介君って面白いね」

「冗談でもやめてくれよ…。てか美菜そのホモホモって言葉どこで覚えてくるんだよ」

「あっこれ?これはね!B組の女子が言ってたから僕も使ってみただけ!男子がホモホモしてる所が好きなんだって!」

「腐女子か!なんて言葉を美菜に教えてんだよ…」


 そんな話していると、4人から少し遠いテントから豪華達が出てきて、テントを片付け始めていた。と言うより豪華のテントや中の物を取り巻き達がアイテムバックの中に一つ一つ入れてっていいる。豪華はただその光景を腕を組んで見ているだけ。

 会話を一旦やめて隆介達も片付け始める。


「よし!俺達は準備オッケーだな。あとは豪華達のアイテムバックにテント、ベット、袋を入れるだけだ」

「そうね」

「そうだね!」

「うん、そうだね」


 豪華達の方は全部片付け終わったようで、豪華とその取り巻き達が、笑顔でこちらに向かって来る。

 いつ見てもイラッとするな。


「おはようございます皆さん!早起きなのですね!はいアイテムバックをどうぞ!」

「おはよう豪華さん。ありがとう」

「おはよう」

「おはよう豪華君」


 3人は嫌な顔をしつつもちゃんと挨拶をしたが、隆介だけは睨んで挨拶をしなかった。


「いやはやまた挨拶をしませんね!どうしたんですか?」

「…」

「まーいいです。では早く片付けて行きますよ。私の姫がお待ちしておりますしね!」


 そのままアイテムバックを渡した後は、少し先にある曲がり角で警戒しながら待っていた。

 はぁ〜…もういいや。そうですね。ルルカは拒否ってたけど豪華にとってはもう婚約したと思ってるからな。この関係性については俺は関係ないし、何も言わない。後はルルカがどうするかだな。


「片付け終わったね?なら10階目指して今日も頑張るか!」

「頑張ろう!」

「ええ」

「おー!」


 豪華達と合流して先を進んで行く。

 今日の分の〈ランク操作〉を全部これにしてUPしとくか。ランクUPさせる魔法を選んでる暇なさそうだし。口に出さないように…[ランク操作!ランク6UP!〈ランク操作〉を指定!]


〈承知しました。〈ランク操作C〉を6UPさせます〉0/6


〈ランク操作S〉

自身と相手のランクを1つ上げるたり下げたらすることが可能。ただし1日の使用上限が決まっている。UP残り0/12・ DOWN残6/12ランクを上げると使用上限がUPする。


 今回はこれでいいかな。次は明日だ。

 隆介は全部〈ランク操作〉に全て使い、ステータスを閉じる。すると目の前に緑色で人型の魔物が2体出現した。


「ギャギャー!」「ギャウ!」



=====================================


名:ゴブリン ランクE+

性別:オス

魔法:なし

ユニーク魔法:なし

称号:なし


=====================================


名:ゴブリン・ソードマン ランクE+

性別:オス

魔法:なし

ユニーク魔法:なし

称号:なし


=====================================


「ほう…ゴブリンさんですか。ですが私には通用しませんよ?2人はこの普通のゴブリンさんを!私はこの剣を持っているゴブリンさんを倒します!」

「「了解です豪華さん!」」

「聖剣召喚!」


 豪華の取り巻き2人は普通のゴブリンを相手をして、剣を持っているゴブリン・ソードマンの相手をする。

 さてさて!剣の訓練と行きましょう!ソードマンさんの腕前を見てみたいですしね!

 一気にゴブリン・ソードマンの方に走って行き、少し手加減して攻撃をする。


「ギャギャ!?」


 ガキーン!!


「脆い…なんて脆い剣なのだ!これでは勝負にすらならいですね〜ゴブリンさん?」

「ギャウッ!ギャウッ!」


 剣と剣がぶつかり合った瞬間、天翼剣(テンヨク)がゴブリン・ソードマンの持っていた鉄の剣を斬って、それが宙に舞って地面に刺さる。それに対して豪華は挑発するかのように煽ると、怒ったのかそのまま豪華の方に無防備なまま突っ込んで来た。


「行儀がなってないですねゴブリンさん?もう剣を持っていない貴方には興味がありません。死んでもらいます」


 走ってきたゴブリン・ソードマンの首をタイミングよく天翼剣(テンヨク)で斬ると、時間差で首から紫色の瘴気が出て、その後首と胴体が徐々に薄くなっていき、最後には消えてしまった。消えていったゴブリン二体の所にドロップ品が落ちていたが、3人はそのドロップ品に興味ないのか先に行ってしまった。


「あのドロップ品どうする?」

「そうね…今入れる所が無いからそのまま放置でいいんじゃないかしら?」

「僕はあのキラキラとした紫色の石を持っていった方がいいと思うよ?」

「あの緑色の耳気持ち悪いからいらない!僕もキラキラとした紫色の石だけいい!」

「う〜んでも一応この世界の資金にできそうだし『ゴブリンの耳』と『魔石』をポケットに入れておくよ」

「そう。隆介がそうすると決めたのならそれでいいんじゃないかしら?それと隆介?何でその2つの名前を知ってるのかしら?もしかして私達に何か隠し事をしてる?」


 あ…またやらかした。どう言い逃れよう…そうだ!これならなんとか振り切れるぞ!


「ち、違うよ鈴菜!ただ少しだけそういう知識があっただけだよ!そう!異世界の知識を!向こうで読んでたんだよそういう本を!だ、だからだよ?何も隠してないから!」

「ふ〜ん」


 じーと動揺している隆介の事を見て怪しんでいたが、はぁ〜とため息を吐いて、前を向く。

 回避できたのか?


「今はいいけどその内話してもらうわよ?美菜もそうだけど隆介は何か隠してる時大抵顔に出てるわよ?それと隠し事してるの?って聞いたらビクってなる所も」

「……」


 振り切れると思ったけど無理だったか…。しょうがない。迷宮探索終わったら全て話すか。3人だけに。


「分かったよ。帰ったら全て話すから今は先に進もう。豪華達もあそこで待ってるし」

「そう、帰ったら絶対に聞かせてね?」

「僕も隆介の秘密が気になる!」

「そうだね。帰ってやる事やったら隆介君の部屋に集合だね」


 話が終わった4人は、先で待っている豪華達と合流して、奥に進んで行く。

 俺の秘密を知っても引かないかな?



冬は忙しい時期なので投稿がかなり遅れますm(_ _)m

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