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第4話 お風呂と初朝

「う、う〜ん…何だここ?」


 隆介が目を覚ますと、また真っ白な空間に1人ポツンといた。


「この真っ白な世界最初にいた所だよな?何でまた…」


 キョロキョロと見渡していると、目の前に眩しい光が出現する。

 この光って今日と同じ…てことは。光の先から現れたのは、今日出会った美女の人だった。


「隆介様、いきなりですみませんがこの世界を救って下さい。あなたにしかできない事なのです」


 えっ?いきなり何!?この世界を俺が救う?いや無理じゃね!俺オールEだよ!てか本当に急すぎ!ビックリした!


「それは分かっております。ですが…『心読まれてる!?まじか!これテレパシー!』はい、隆介様の心の声を聞いておりました」

「そ、そうですか。すいません。では続きをお願いします」

「はい。隆介様に渡した祝福の力を使い、魔王を裏で操っているバグを倒してほしいのです。勿論バグが生み出す魔王を倒していただいたら嬉しいのですが…」


 何それ?裏で魔王を操ってるバグ?なら魔王を裏で操ってる奴は、相当強そうだなぁ〜。だって魔王って言えば最強のイメージがあるし。それを裏で操るやつとか相当な強さのはず。ま、でも俺がいなくても豪華のやつが倒すだろ。魔王とかそのバグ。人ごとだけど。


「検討しときます。どうせ今のままじゃ無理そうですし、真の勇者豪華がやってくれますよ」

「分かりました。いい返事をお待ちしております」

「あ、神様!少しいいですか?」

「はい。何でしょうか隆介様」


 これだけは聞いておきたい。


「何故私にここまでしてくれるんでしょうか?」

「……私も昔隆介様と同じだったからです。私は元はそこら辺にいる普通の人間でした。隆介様と同じ世界の…」

「えっ…俺と同じ…」


 俺と同じ世界の人…。もしかして神様も人の時に虐めを受けていた…。


「…すいません。もうお時間のようです。ではまた機会がありましたら」


 ペコリと一礼して、女性は光に包まれる。その瞬間隆介の意識が遠のいていく。

 神様、俺はあなたに本当に感謝しています。また機会がありましたらお話しを聞きたいです。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……」


 目を覚ました隆介は起き上がり、ベットでぼけ〜としていた。

 神様も俺達と同じ世界の元人間…。更に俺と同じ虐めを受けていた…。きっと神様の過去も相当なはず。俺より酷い可能性も…。


「はぁ〜…虐め、か〜…。何でそんな事するんだろ。楽しいのか?分からない。でもまずはこの世界のバグだな。これに関してはまだ当分後でいいだろ。さてと、今何時だ?」


 外を見ると、まだ真っ暗で月の明かりが部屋を照らす。

 時計も置いてないし分からん。兎に角風呂入りに行くか。鈴を鳴らせば来てくれるだろうけど流石に迷惑をかけたくない。自分で探すか、それか夜の見回りをしている兵士に…辞めとこ。


「よっと」


 ベットから降りて扉に向かう。ガチャっと開けて廊下に出ると当たり前のように真っ暗で、月の明かりが廊下を照らしていた。

 う〜ん…夜の城は地味に怖いな。先が見えんからな。ま、取り敢えず歩くか。

 城の中は広く、数分?ぐらい歩いていると人の気配を感じた。うん?誰かいるのか?見回りの人?

 近づいていくと正体が見えてきた。


「これは勇者隆介様。どうかなされましたか?」

「あ、いやちょとお風呂に入ろうと思って探してたんだけど、何処か分からなくて…えっとメイドさんは何をしているのですか?」

「私ですか?私は今仕事が終わりましたので部屋に戻ろうとしてました。お風呂でしたらこの先の階段を降りていただき、右に曲がって直ぐの所にあります。上には男性と女性と分かるように表示されておりますのでご確認して下さい。では失礼します」

「ありがとうございます。助かりました」


 隆介に一礼をして歩いて行った。

 ビックリしたー!まさかメイドとは。この時間までお疲れ様です。これがもしあそこにいた兵士とかだったら俺はどうなってたのか。しかもここのメイド俺達の名前覚えるの早いな。さて、教えてもらった通り行くか。

 歩いた先にあった階段を降りて、右に曲がると教えてもらった通り、上には男と女の絵が書かれた木の板があった。

 これ、トイレとかにあるやつじゃね?


「流石城、風呂もあるんだな。当たり前か。さぁ、早く入ってゆっくりするか。他の男子達も流石にこんな夜遅くには入らんだろ。この城の人は知らんけど」


 扉を開けて中に入ると、広々とした脱衣所があり、服を入れる所や、鏡、タオルが複数置いてあった。

 これ下手したら旅館やホテルより広いぞ?しかもこれってドライヤーか?どうやってこれつけるんだ?スイッチないけど。まさかだけど…あ、やっぱり。これ自分の魔力で動くんだ。うわ〜魔力で発動させるのは不便だな。なんか少し減ったような気がするし。ランクEの魔力量でドライヤーをずっと使い続けたらどうなるんだ?興味あるけどもしこれでなんか起こったら嫌だな。

 服を入れる所に移動して、服を脱いで編んである木の籠に入れる。腰にタオルを巻いて準備をし、お風呂に繋がる扉の前に移動する。

 誰か入ってるのか?俺だけだと思ったけど途中チラッと籠を見たら服が入ってたから、1人だけいるな。中は見えないけど。いや、見る必要はない。男のだし。ま、いいや兎に角風呂だ風呂。


「異世界の風呂はどんなんだろ。楽しみだな」


 ガラガラ


「おー!すげー!めちゃくちゃ広いじゃん!とと危ない危ない。今は夜だった」


 扉を開け中に入ると、とても広い空間に、とてつもない程広いお風呂があった。右には取り外しができない、上から出るタイプのシャワー。左にはサウナ室と思われる場所。そして目の前にはとても広いお風呂がある。

 すげー!流石金持ち!こんな広い風呂見た事ないよ!入るのが楽しみだ!さてさて、まずはシャワーを浴びて汚れを落とすか。


「おっ?これもまさか魔力で動くのか?俺の魔力量で持つかな…いや多分大丈夫だ。うん多分」


 シャワーにはまっていた、紫色の宝石に魔力を流す。するとシャワーから暖かいお湯が出てきた。あ〜この感じが魔力が減る感覚か〜ささっと済ましてメインの風呂に入るか。


 次に頭と体を洗いたかったので、置いてあった石鹸で頭や体を洗う。

 シャンプーとかリンス等は他には見当たらないし。


「あ〜一日の汚れが落ちてく感じかいい…と言っても起きてから説明を聞いて〜はないか。とか部屋に案内された部屋で姫様と喋ったり、3人と喋ったり、夜飯ぐらいしか食べてないから、汚れたっていうのか分からんが」


 頭と体を洗い、早速風呂に入る。

 入る前に体を風呂の温度に慣れさせないと。急に入ると体がビックリするからまずは桶…はないか。手でお湯をすくって体に当てて慣らす。そこでやっと入る!


「ふぅ〜…。気持ちがいい!やっぱり風呂だな!あ〜疲れが…あるかは分からんけど取れる〜。うん?あそこに人影があるな」


 右の方を見ると人影があった為、呼んでみることにした。だってこんな遅くに風呂入ってる人が気になる。


「そこに誰かいるんですか?」

「ヒャッイ!?」


 ヒャッイ?何かビックリさせたようで悪いな…。ちょと謝りにいこ。

 腰にタオルを巻き直して、人影の方に近づいていく。ここの人かな?


「驚かせてすみませ…ん?春香か?」

「りゅ、隆介君?」


 もう1人入ってたのは、髪をタオルで上に巻いて、もう一つのタオルで体を巻いていた春香だった。

 春香の透き通るような白い肌綺麗だな。シミひとつないモチモチの肌に、可愛い顔つきで、スタイルもいい。男共が間違えて襲いそうだな。男だと知らんやつだったら。


「春香か〜良かった〜!ここの人だったらぎこちなかったけど春香なら気軽に話せるから安心したよ。でも驚かせてごめんね?」

「い、いいよ!そ、それにしても隆介君!こ、こんな夜遅くにお風呂何てどうしたの!」


 何か春香が真っ赤になって凄いどもってるけどどうしたんだ?



「俺か?俺は風呂に入ろうと思ったら、食べ過ぎたせいか眠くなって寝てしまい、この時間になった。春香は?」

「ぼ、僕も同じかな?そ、そろそろ僕出るね?長く入り過ぎたせいか体が熱くなってきちゃったよ」

「そうか。入り過ぎには注意だからな。特に人がいない時に倒れても誰も気づかないから危険だぞ」

「そ、そうだね!隆介君の言う通りだね!じゃーまた明日!」


 と言って、春香は勢いよくスッと立ち上がると、ふらっとして後ろに倒れる。


「春香危ない!」


 隆介は咄嗟に春香を受け止めて、倒れないように支える。


「大丈夫か春香!」

「う、うん大丈夫。ありがとう隆介君。急に立ち上がるとやっぱり危ないね。次から気をつける…はわわわ!」

「おい!春香!春香!大丈夫か!」


 急に春香の全身が熱くなって、体を真っ赤にしながら、プシューと頭から湯気が出ていた。かも。


「まずは脱衣所に春香を移動させないと!」


 春香をお姫様抱っこして風呂から出る。

 よっと!春香は軽いな。本当に女子みたいだ。でも何で体にタオル巻いてんだ?とは思ったけど人それぞれか。

 脱衣所に移動して、一旦春香を床に置いた後急いで床にタオルを何枚か敷いて、タオルの上にゆっくりと寝かす。


「ふぅ〜ひとまず目を覚ますまで待つか。床にタオルを何枚か敷いて、春香の体を痛めないようにしたのはいいけど、濡れてる状態のタオルにも、もう一枚タオルを置いておかないと風邪引いてしまうな」


 上にタオルを被せて起きてくるまで待つことにした。そして数分後…。


「う、う〜ん。あれ?僕さっきまでお風呂に…」

「おっ?気がついたか?いきなり気絶しちゃたからビックリしたよ。もう大丈夫?」

「……はわわわ!りゅ、隆介君!?ぼ、僕の裸を見た?」


 春香は隆介に気づくと、体をギュッとして、顔を真っ赤にし、涙目になりながら質問をしてきた。

 お、俺なんかした?そうだったら謝らないと!


「うん?どうした?みてないけど…。ごめん俺なんかしたなら謝るよ」

「よ、よかった〜…。う、ううん!何もしてないよ!だから大丈夫!心配かけてごめんね?」

「そっか…。いいよ別に。春香のためだからな」

「ありがとう隆介君」


 そしてしばらくの間無言が続いた。

 なんか気まずいな…あっ!そうだ!


「春香、ここの王様どう思う?」

「どう思うって…隆介君を悪く言う悪いやつ!」

「そっか、ありがとうな春香。でもちょと違うんだ。俺が気になるのは何で王様はあえて自分のステータスを全部見せなかったのかが気になってな」

「あ、確かに…クチュン!ごめんね隆介君」

「ご、ごめん。まずは着替えよ」


 2人はまだ濡れている状態だった為、急いで体を拭いて制服に着替える。着替えている時に何故か俺の方をチラチラと見ながら着替えていたけど何だ?


「うん?どうかした?」

「あっ!ううん!何でもないよ!」


 着替えた後は脱衣所から出て、ゆっくりと歩きながら部屋に戻る。


「それでどう思う?」

「う〜ん…確かに何でステータスを全部見せなかったんだろ?もしかしたら見られたくない魔法や称号があったから、としか言いようがないよ」

「魔法とか称号ね〜…」

「でも王様でも見られたくないものもあると思うよ?隆介君だって見られたくないものを隠すのは当たり前でしょ?」

「ま〜確かにな〜」


 見られたくないものを隠すのが普通ね〜。俺も確かにこのステータスは皆んなに見せれないし、王様だって見られたくないものもあるだろ。その点に関しては俺と一緒って言った方がいいな。


「う〜ん!僕眠くなっちゃった。そろそろ部屋に戻るね?おやすみ隆介君。また明日も宜しくね?」

「ああ!宜しく!おやすみ春香」

「うん!また!」


 春香は隆介に手を振って部屋に入っていった。


「さて俺も戻って寝るか、の前にチェック」


〈ランク操作D 〉

自身と相手のランクを1つ上げるたり下げたらすることが可能。ただし1日の使用上限が決まっている。UP残り0/4・ DOWN残り2/4 ランクを上げると使用上限がUPする。


 戻ってはないな…。また明日の朝見てみるか。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン。


「ふわぁ〜…今朝の6時か。分かりやすいな。でも何か少し寂しい気持ちもある。美菜がいつも起こしてくれるけどこれからはなくなるわけだし」


 太陽の光がベットを照らして、眩しい光が隆介の顔に当たる。

 太陽の光が眩しいな…。でも静かな朝もたまにはいい。さて!まずはこれをチェックだ!使用回数戻ってるかな〜。


〈ランク操作D 〉

自身と相手のランクを1つ上げるたり下げたらすることが可能。ただし1日の使用上限が決まっている。UP残り4/4・ DOWN残り4/4 ランクを上げると使用上限がUPする。


「戻ってる!てことはいつの時間に使っても、朝の6時になれば戻るシステムなのか。超便利!早速上げるぞ![ランク操作!ランク2UP!〈ランク操作〉を指定!]」


〈承知しました。〈ランク操作D〉を2UPさせます〉2/4


〈ランク操作C〉

自身と相手のランクを1つ上げるたり下げたらすることが可能。ただし1日の使用上限が決まっている。UP残り2/6・ DOWN残4/6ランクを上げると使用上限がUPする。


 うんうん!上がってる上がってる!残り2つは何にしよう?自分の魔力をUPされるのもいいな。昨日で分かったけどほとんどの物は自分の魔力で動くみたいだし。ドライヤーとかシャワーとか。だから一つだけでも上げておくか。


「ランク操作!ランク1UP!〈魔力〉を指定!」


〈承知しました。〈魔力E〉を1UPさせます〉1/6


〈魔力E〉→〈魔力E+〉


 よし!残り一つは結界にして終わるか。これを徐々に上げていけば皆んなを守れるからね!


「ランク操作!ランク1UP!〈結界〉を指定!」


〈承知しました。〈結果E〉を1UPさせます〉0/6


〈結界E+〉

自身を中心とした10メートル先まで、ホール状の結界を展開させる。ランクE+の物理攻撃、魔法攻撃を耐えれることが可能。発動時間10秒。


 今日の分は終わり!明日の朝もやればもっと上げれるぞ!でもこのDOWNの使い道はどうしよう。魔物がこの世界にいるらしいから、いつかやってみるか。試してみたいこともあるし。


「さて、顔を洗いに風呂場まで行くか」


 ボサボサの頭を戻せるところまで手で戻して、廊下に出る。

 う〜ん!いい朝だ!暗かったから分からないいけど、ここの廊下こんなに長かったんだな。

 隆介が、階段付近に近づいて行くと、階段の方から男性の声が聞こえてきた。


「いや〜!それにしても昨日のランクEのやつ、何の役に立つんだ?使えねーだろ?」

「そりゃーそうだな!豪華様は何であんなやつを使えると思ったんだ!捨てちまえばいいのによ!」

「まーそう言うなって!豪華様が望んだことだ。俺達は何もいえない。逆らえないって訳だ。当たり前だよな。何たってA+のお方だからな!」


 こいつら絶対にあの場にいた兵士だろ。でも無視だ無視。気にしてたらきりがない。

 そのまま隆介も曲がり、階段を降りて行くと銀色の鎧を着た男兵士2人と目が合う。


「おはようございます」


 このまま何も考えず風呂場にい…えっ?

 挨拶をしてそのまま降りて行こうとした瞬間急に視界がぐるんとなる。そして階段からゴロゴロと転がり、壁に激突する。


「つぅ!?」

「あははは!見たか今の!足引っ掛けただけで転がってたぞ!こいつは面白い!」

「おいおい〜ズール。豪華様の奴隷が死んだら俺達が悪くなるだろ?ま、でも確かに面白いな!ははは!」


 クソ!…この世界に来てまで虐めかよ…。この世界でもあるんだな…イテテテ…。ちょうどいいや。こいつらにすこ〜しイラっとしたから、こいつらで実験したろ。プライバシーとかこの2人は知らん。〈鑑定〉指定、2人のステータスを見たい。


〈承知しました。ステータスを表示します〉


=====================================


名:ズール 年齢31歳

性別:男 

種族:人間

ランク:C

体力:C

魔力:D+

腕力:C

敏捷:C

防御:D

魔防:D

運: D

魔法:〈火魔法D〉

ユニーク魔法: なし

称号:〈ウルド王国の兵士〉

加護:なし


=====================================


=====================================


名:ゲイ 年齢36歳

性別:男 

種族:人間

ランク:C

体力:C+

魔力:C

腕力:C+

敏捷:D+

防御:D+

魔防:D+

運: D

魔法:〈土魔法D+〉〈風魔法D〉

ユニーク魔法: なし

称号:〈ウルド王国の兵士〉

加護:なし


=====================================


〈土魔法を確認しました。習得しますか?はい・いいえ・保留〉


〈風魔法を習得しました。習得しますか?はい・いいえ・保留〉


 2つとも保留で…。


〈承知しました。保留に移動します〉11/∞


 さてと、早速使うか。


「ランク操作、ランク1DOWN、ズールの〈防御〉と〈火魔法〉を指定」ボソっ


〈承知しました。〈防御D〉〈火魔法D〉の2つを1DOWNさせます〉2/6


〈防御D〉→〈防御E+〉

〈火魔法D〉→〈火魔法E+〉


「おっ?今なんかゾワっとしたような?」

「きっと気のせいだ!さて俺らは仕事をしに行くぞ!あんなやつは放って置いて」

「だな!」


 2人は、笑いながら歩いていった。

 使えたな。いちいち指定をしなければいけないけど。ゲイの方は今回許してやる。名前が面白いから。まだ試したいことあるけどこれをやったら何が起こるか分からないからまずは魔物で試した後にでもやるか。

 よろよろと立ち上がり、階段を降りて行く。


「こんな姿誰かに見られたらまずいな。いつもどおりにしないと」


 何とか痛む体を持ち堪え、風呂場に向かう。すると、鏡が付いている洗い場に春香が顔を洗っていた。


「おはよう春香」

「あっ!おはよう隆介君!昨日はごめんね?」

「いいんだよ別に。春香のためだからな」

「ぼ、僕のため…」ボソッ


 春香は顔を少し赤くしながら目を逸らした。

 意外に春香は朝早いんだな。おっと…今痛みが走ったけど我慢我慢。


「どうしたの?顔色が悪いよ?」


 バレた!?いや流石にこれはバレるか…。でも何とか誤魔化さないと。


「あ、ああちょとな。夜寝付けなかったから寝不足になってしまったよ」

「それはしょうがないよ。僕も中々寝付けなかったから目を閉じて無理やり寝たよ。あっ!そうだ!僕の魔法で癒してあげるね!えい!」


 すると全身が緑色の光に包まれ、痛みも全て消えていった。

 これって回復魔法か!すげー!春香のお陰でさっきまで痛かった体が何ともない!


「どう?治った?」

「ああ!凄いよ春香!流石俺の親友だよ!」

「そこまで褒められると何か照れるな〜」


 春香に感謝をして顔を洗い、2人で部屋に戻る。

 回復魔法極めれば腕とか再生できそう!ランクSSSだったらどうなるんだろ?興味ある!あるけど春香のステータスを見ない。


「朝ご飯ができるまで、隆介君の部屋に遊びに行っていいかな?」

「勿論いいよ。どうせ暇だしね」


 2人は会話をしながら部屋に戻り、扉を開けるとふわっといい香りがして、目の前のベットでは、横になって俺の使った枕を抱きしめている美菜、ソファーに座って飲み物を飲んでいた鈴菜、高そうな白と金が入っている模様のティーポットを持った、可愛いメイドが1人鈴菜の隣に立っていた。


「あー!隆介どこ行ってたの!せっかく僕が起こしに行ってあげたのにいなかったんだよ!ブーブー!」

「それは美菜が遅いからよ。隆介は鐘の音が鳴るとともに起きたんだと思うわ。だからその前に起きて行かないと」

「おはようございます隆介様、春香様!朝ご飯の用意はできております!鈴菜様、紅茶のおかわりはいかがですか?」

「ええ貰うわ。ありがとう」

「分かった!鐘が鳴る前に行けばいいんだね!」

「ほどほどにしなさいよ」


 何してんの2人とも?朝から俺の部屋でくつろいで。あっ、いい匂いがすると思ったら朝ご飯がテーブルにある。俺達の分も。てことは昨日みたいな所に行って豪華達と合わなくてすむってところか。気が休めるから部屋で食べれるからいいけど。


「どこって普通に風呂場に行って、顔を洗いに行っただけだよ」

「ふ〜ん。でぇ?春香君もそこにいたと」

「うん!たまたま隆介君とね!でも他の人はどうだろ?僕が出会った兵士の人や、メイドさん、執事さんは6時前には起きてたみたいだけど。クラスメイトはまだ女子数人しか見てないかな?」

「そう。ありがとう春香君。さて、朝ご飯を冷めないうちに食べましょう」

「食べよ!」


 2人とも待っててくれたのか。先に食べててくれても構わないのに。でも皆んなと食べた方が賑やかだしそれはそれでいいな。あ、勿論豪華とその仲間達はいらん。

 鈴菜が座っているソファーに春香が座り、美菜は反対側のソファーに何故が枕を抱きしめて座る。


「美菜?何をしてるの?」

「何をしているのかしら?」

「美菜さん?」

「あっ!無意識で持ってきちゃった!置いてくる!」


 3人に言われて気づいた美菜、慌ててベットに枕を置きにいく。

 流石美菜、朝から元気があるな。俺そんな元気ないわ。てか俺の使った枕抱きしめて何してんだよ…。


「じゃ、じゃー改めて食べよ!いただきます!」

「次から気をつけるのよ。いただきます」

「美菜さんらしいよ。いただきます」

「メイドさん、朝ご飯の用意ありがとうございます。いただきます」

「いえいえ!勇者様達のメイドとして使えるのは光栄です!どうぞ召し上がってください!」


 メイドに感謝して、テーブルに置いてある朝ご飯を、4人で会話をしながら食べる。

 朝ご飯のメニューは、塩加減がいいハムとサラダのサンドウィッチ、ハムエッグ、サラダ、食べやすいように切ってあるみかん。飲み物は紅茶。

 うんこれ喫茶店とかに出てくるメニューだね。異世界でも同じなのかここは。でも美味しい。


 食べ終わった4人はお皿を片付けようとしたがメイドに止められた。なんでも『勇者様達は国の宝です!そんな方達に手伝ってもらうわけにはいきません!』とのこと。

 はぁ〜…国の宝、ね〜。俺は入ってないだろうけど。ま、取り敢えず訓練場行くまではここで待機するか。向こうに行ったら剣の練習を1人でしよ。どうせ皆んな魔法使うだろうし。兵士達とかも俺には興味ないだろうしね。


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