可愛くない上官と可愛い先輩
「………………………」
「おや。
その顔つきだと、
認識を改めてはいただけないようですね。
でも大丈夫。
私は諦めが悪いし、しつこいし、気も長いんです。
ルナンド団長が認識を改めていただけるようになるまで、
いつまででもしつこくつきまといますので安心してください。」
「…………………君は上官への口の聞き方がなっていないな。」
「あはは。
部下への思いやりの欠片もない上官の発言への正当防衛だとおもいますけど。」
ビュオーーーーー
氷の騎士様レオンハルト様の背後には猛吹雪が局地的に到来した。
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「お前、初対面で新しい団長とやらかしたらしいな。」
アンジェリカが食堂で日替り定食を食べていると、
真新しい近衛第1騎士団の制服に身を包んだフィリップに話しかけられた。
「おや。ルッツ先輩、耳が早いですね。
あちらがお買い得な喧嘩を売ってこられたのでつい。」
アンジェリカはへらっと笑ってフィリップに隣どうですかと席を勧めた。
「はぁ~~~~~~。
なんだってお前はすぐに物事を大事にするんだよ。
もうちょっと大人になれよ。」
「おや。
まさか先輩にそんなことを言われる日が来るとは。。
私の入団当初のことを考えると感慨深いものがありますね。」
「人の黒い歴史を持ち出すな!!
今は悪かったと思ってるよ!!
しかしお前は俺のときもそうだったけど、
昔から嫌味言われても適当におちょくってかわしてただろう?
新しい団長も適当にかわせよ。」
「ルッツ先輩にはなんだかんだ言われても、
話していると結局楽しかったので。
新しい団長はこう、なんというか話してても楽しくないし、
可愛いげがないんですよ。」
「…………。
怒るべきかどうか悩ましいところだが、
お前にそう言われてちょっと嬉しいと思っている自分が憎い。」
フィリップがくっとくやしそうにいうと、
「先輩はそういうところが可愛いらしいんですよ。」
と言ってアンジェリカはケラケラ笑った。