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■ 第79話 「石碑の増設」
ケルト世界。
森の外縁。
神兵達が石碑を運んでいた。
最近、この作業が増えている。
神名石碑。
固定領域形成用。
完全防御ではない。
だが。
霧侵食の進行を遅らせている。
神兵の一人が汗を拭う。
「最近、森広がってません?」
別の神兵が頷く。
「広がってる」
「でも遅い」
急激ではない。
静か。
それが今の侵食だった。
ケルヌンノスが石碑位置を確認する。
「ここだ」
神兵達が設置を始める。
地味な作業。
その時。
霧の奥で、黒い狼が立ち止まる。
沈黙。
以前見た侵食個体。
目がない。
輪郭が揺れている。
だが。
石碑設置区域へ入ってこない。
神兵が小さく呟く。
「やっぱ嫌がってる」
ケルヌンノスは石碑へ触れる。
神名。
土地名。
古い刻印。
その瞬間。
周囲の霧が少しだけ後退する。
黒い狼も距離を取る。
誰も叫ばない。
誰も突撃しない。
ただ。
静かに境界を押し返していく。
それが今の戦場だった。
――観測記録
観測層:第3層
対象:ケルト世界
状態:固定領域拡張段階
更新:
神名石碑増設を確認
変化:
霧侵食進行 微低下
評価:
局地固定効果 継続中
補足:
侵食個体は固定境界を回避傾向
追加記録:
狼型個体距離維持を確認
結論:
ケルト側境界維持 継続中
(次話へ)




