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■ 第69話 「夜の巡回路」

現実世界。


日本。


深夜。


住宅街。


警備員の中村 恒一は、夜間巡回をしていた。


最近、夜勤中の違和感報告が増えている。


黒い影。


ノイズ。


“誰かに見られている感覚”。


警備会社内でも少し話題になっていた。


だが。


大騒ぎではない。


都市伝説程度。


中村も最初はそう思っていた。


その時。


街灯が一瞬だけ黒く瞬く。


沈黙。


中村が止まる。


最近は慣れてきた。


ポケットからメモ帳を出す。


『○月○日』


『夜間巡回中』


『異常反応 小』


書く。


最近、掲示板で覚えた。


記録。


確認。


忘れない。


その瞬間。


空気が少し軽くなる。


中村は息を吐く。


「……本当に効くんだな」


その時。


道路の向こう側。


黒い人影が立っていた。


沈黙。


目がない。


輪郭が揺れている。


だが。


近づいてこない。


中村も動かない。


最近は、“距離”が重要だと分かっていた。


人影は数秒こちらを見る。


そして。


静かに曲がり角へ消えた。


中村はメモ帳へ追加する。


『人型接触』


『敵対行動なし』


最近はこれが多い。


観察。


確認。


接触距離測定。


世界は静かに変わっていた。


――観測記録


観測層:第3層

対象:現実世界


状態:夜間巡回段階


更新:

局地人型接触を確認


変化:

人類側対処定着傾向


評価:

夜間生存率 微上昇


補足:

侵食側は現在観察傾向を維持


追加記録:

巡回職種で適応進行を確認


結論:

現実側局地管理段階 継続中


(次話へ)


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