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第222話「アテナが待つ夜」
クレアスからの連絡がないまま、もう四日経っていた。
アテナは待つことに慣れていた。戦術家は待機が仕事の半分だ。だが今回の待機は質が違った。連絡が来ないのは失敗の可能性だけではなく、場所の性質の可能性でもある。日本圏は概念の密度が高い。高い場所では、通常の連絡経路が機能しないことがある。
地図の前に立ちながら、アテナは別のことを考えていた。もし自分が行っていたら何を聞けたか。アテナが行けば、もっと戦術的な情報を引き出せたかもしれない。同時に、クレアスが聞けたことを聞けなかったかもしれない。先入観が少ない、と判断した理由は、今も正しいと思っている。
夜明け近く、地図の前で少しだけ眠った。資料室の床で、腕を枕にして。アテナ本人は眠っているとは認識していなかったが、観測記録にはその時間が「静止」として刻まれた。
観測層:第2層 記録単位:高位神状態観測 対象個体:アテナ
備考:静止中も思考記録は保持されている。
記録主体:Archive 状態:稼働中




