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第211話「オーディンが口を開く」
四日間の沈黙の後、オーディンが議場に戻った。
誰も何も言わなかった。トールが腕を組んで壁に寄りかかっている。皆、何かを待っていた。
「増えている、と言った。説明する。」四日間、オーディンは神話圏の外側、概念の薄い領域を見ていた。そこに何かがある。形も意思もないが、存在している。侵食の源泉に近い何か。
「名前がない。名前を削るものが、名前を持つはずがない。だが増えている。速度は遅い。ただ確実に。」
トールが口を開いた。「戦えるか。」「戦う相手ではない。削られないようにするしかない。自分たちが何であるかを、忘れないようにするしかない。」それが四日間で出した答えだった。
観測層:第2層 記録単位:高位神情報共有 対象神話:北欧
備考:オーディンによる侵食源の性質記述を確認。定義不能存在との認識一致。
記録主体:Archive 状態:稼働中




