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第141話 消えた地名

現実世界。


朝。


図書館。


曇り空。


司書の女性が郷土資料を整理していた。


最近。


確認作業が増えた。


理由。


思い出せない言葉。


忘れる地名。


小さな異常。


その時。


男性利用者が首を傾げる。


古地図。


指を止める。


「ここ」


沈黙。


「何て読むんでしたっけ」


地名。


書かれている。


読める。


だが。


頭に残らない。


司書も見る。


数秒。


忘れる。


紙に書く。


すぐ忘れる。


また見る。


また忘れる。


沈黙。


窓の外。


黒い鳥。


五羽。


以前より増えた。


誰も気づかない。


司書だけが小さく記録する。


『地名保持困難』


『鳥数 五』


『接触なし』


外。


通学路。


出勤。


生活。


今日も世界は動いていた。


少しだけ。


何かを失いながら。


(次話へ)


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