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第127話 欠けた文字

ケルト世界。


森外縁。


夕方。


霧。


風。


境界石。


今日も。


名前を呼ぶ。


土地名。


森名。


神名。


忘れないため。


若い神兵が息を止める。


石。


一文字。


少し欠けていた。


昨日まで読めた。


急ではない。


だが。


進んでいる。


老神兵が静かに膝をつく。


指でなぞる。


「まだ読める」


短い言葉。


森奥。


黒い狼。


六匹。


近い。


以前より。


明らかに。


だが。


越えない。


見ている。


待っている。


試すように。


神兵達が声を揃える。


土地名。


神名。


森名。


風。


狼が少しだけ下がる。


だが。


消えない。


老神兵が小さく言う。


「読めるうちは残る」


夕方。


鳥。


木々。


森は今日も静かだった。


(次話へ)


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