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第107話 石に触れる者

ケルト世界。


森外縁。


夕方。


木漏れ日。


境界石。


若い神兵が静かに苔を払う。


最近。


決まりが増えた。


毎日。


土地名を読む。


神名を読む。


忘れないため。


その時。


神兵の指が止まる。


石。


少しだけ。


文字が薄い。


急ではない。


だが。


昨日より。


少し。


風。


森が鳴る。


離れた場所。


黒い狼。


またいる。


以前より近い。


神兵が小さく言う。


「また来てる」


後ろ。


老神兵が答える。


「確認だ」


「壊れたか見てる」


若者が石へ触れる。


小さな祈り。


土地名。


神名。


森名。


風が少し揺れる。


狼が半歩下がる。


消えない。


だが。


越えない。


境界はまだ残っていた。


だから。


今日も名前を呼ぶ。


忘れないために。


(次話へ)


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