第9話 俺のポーションが、ただのスライム薬ではなかったらしい
静寂の中で、鑑定が始まった。
まずは外観検査だそうだ。
セレーナが白い手袋をはめ、俺のポーション瓶を一本、光の当たる台の上にそっと置く。横から差し込む魔導灯の光が瓶を透かし、青みがかった液体の内部構造をくっきりと浮かび上がらせた。
「色調……安定。濁りなし」
低く落ち着いた声で、セレーナが言う。
「透明度……良好。微細気泡、ほぼ無し。沈殿……なし。粘度……標準範囲内。香り……刺激弱、草系統主体。揮発成分……後ほど詳細確認」
その言葉を受けて、横に控えていた若い薬師が、さらさらとペンを走らせた。
丸眼鏡をかけた細身の青年で、名をニルスというらしい。記録の手つきは慣れていて無駄がないが、ときおりこちらへ向けられる視線には、明らかに好奇心の光が混じっている。珍しい標本でも見るような目だ。やめろ、俺は瓶の中身じゃない。
外観検査が終わると、次は魔力計測に移る。
部屋の中央に据えられた魔導台に、セレーナがポーションを静かに置いた。台座に刻まれた複雑な魔法陣が、触れた瞬間にじんわりと淡い光を帯びる。まるで眠っていた何かが目を覚ましたみたいな反応だ。
やがて台の端に取り付けられた細い金属針が、かすかに震え始めた。
ピン、と張り詰めた空気の中、その震えがやけに大きく見える。
「通常回復ポーション、魔力保持率……」
ニルスが数値を読み上げようとして、ふっと言葉を詰まらせた。
針の先を凝視したまま、まばたきを忘れたように固まっている。
「どうしたの」
セレーナが一歩近づき、計器を覗き込む。
一瞬だけ、彼女の眉がわずかに動いた。
「……再測定」
短く、しかしはっきりとした声だった。
ニルスが「は、はい」と小さく返事をし、慌てて計測手順をリセットする。魔法陣の光が一度消え、再びゆっくりと点灯する。さっきと同じ手順、同じ静けさ、同じ緊張感。
針が、また震えた。
今度は、誰も声を出さない。
やがて震えが止まり、ぴたりと一点を指す。
ニルスが喉を鳴らし、小さく息を吸った。
「……九十二・四です」
部屋の空気が、音もなく凍った。
紙をめくる音すら止まり、遠くで鳴っていた時計の針の音だけがやけに耳につく。
「高いんですか」
沈黙に耐えきれず、俺は思わず口を開いた。
セレーナがゆっくりと顔を上げ、まっすぐこちらを見る。その目は冷静だが、さっきまでよりわずかに温度が低い。
「スライム核由来の一般的な回復ポーションなら、魔力保持率は三十から五十台で安定すれば十分とされているわ。六十を超えれば優秀。七十台に乗れば高品質と評価される」
そこで一拍置いた。
視線が、瓶へと落ちる。
「九十台は……上位魔獣の核を用いた特級品に限りなく近い数値よ」
「……計器が壊れてるとか」
自分でも苦しいと思いながら、口に出していた。
セレーナは即座に首を横に振る。
「今朝、協会規定の点検を済ませている。誤差は許容範囲内」
「そうですか」
続いて、成分解析に移る。
セレーナは細いガラス棒でポーションをすくい、小さな白い皿の中央に一滴だけ落とした。透明な液体が皿の上で丸く広がり、光を受けてわずかに青く揺れる。
そこへ、彼女は別の小瓶から魔導試薬を数滴垂らした。
じゅわ、と小さな反応音がして、液体の色がゆっくりと変化していく。淡い緑からやや深みのある青へ。さらに、その表面から薄い煙のようなものが立ち上った。
煙というより、魔力の筋だ。
糸のように細く、しかし確かに存在を主張する光の線が、空中でゆらゆらと揺れている。
セレーナは目を細め、その動きをじっと観察した。
さらに別の試薬を加える。
今度は液体の中心から円を描くように、淡い青い輪がゆっくりと広がった。水面に石を落としたときの波紋に似ているが音はなく、ただ静かに、規則正しく広がっていく。
その輪の重なり方を見て、セレーナの視線がわずかに鋭くなる。
ニルスのペンが、今度はさっきより少しだけ速く動いた。
部屋の空気は相変わらず静かだが、さっきまでとは違う種類の緊張が満ちている。
観察されているのはポーションのはずなのに、なぜか自分の内側まで覗かれているような気がして、落ち着かない。
……やっぱり、薬師会の静かな圧は苦手だ。
ニルスが小さく息を呑んだ。
「主任、回復反応だけじゃありません。細胞安定、疲労軽減、軽度毒素抑制、微弱な魔力循環補助まで出ています」
「通常回復のサンプルよね?」
「はい。ラベルは通常回復です」
二人が俺を見た。
俺は頷いた。
「通常回復です」
「あなたの通常は忙しいのね」
「俺に言われても」
セレーナはさらに解析を続けた。
疲労回復ポーションは、通常の疲労軽減に加えて、筋繊維の損傷抑制、睡眠不足による魔力乱れの補正、軽い精神安定反応まで示した。
解毒ポーションは一般毒だけでなく、魔獣由来の麻痺毒、腐敗毒、低位呪毒に対する抑制反応が出た。
低位呪毒。
俺はそんなものに対応させた覚えがない。
そもそも呪いの勉強などしていない。
「ロイドさん」
セレーナが言った。
「はい」
「これ、本当にあなたが一人で作ったの?」
「はい。ミーナが瓶洗いと帳簿を手伝ってくれていますが、調合は俺です」
「師匠は?」
「昔、村の薬師の爺さんの手伝いを少し」
「薬師学院は?」
「行ってません」
「調合資格は?」
「ありません」
「記録は?」
「最近ミーナがつけてくれています」
「それ以前は?」
「頭の中に」
セレーナは天井を見上げた。
薬師会主任が天井を見る。
この反応は最近よく見るが、どういうリアクションだ…?
「主任、大丈夫ですか」
ニルスが心配そうに言った。
「大丈夫よ。久しぶりに胃が痛いだけ」
「うちの疲労回復、飲みますか」
俺が言うと、セレーナは即座にこちらを見た。
「今、未鑑定品を主任に勧めたわね」
「すみません」
「悪意はないのよね」
「はい」
「紹介状の通りね」
「紹介状、優秀ですね」
リタが横で笑いをこらえていた。
鑑定は、さらに深い段階へ進んだ。
今度はポーションではなく、素材そのものの検査である。
つまり、スライム核の純度測定だ。
正直に言えば、俺はこの時点で少し帰りたくなっていた。ポーションの数値がどうこう言われるだけでも十分に胃が重いのに、今度は材料まで調べられるとなると、いよいよ言い訳の置き場所がなくなってくる。
セレーナは俺が持ち込んだ未使用のスライム核をひとつ選び、銀縁の鑑定台の中央へ置いた。
小指の爪ほどの、青く透き通った小さな核だ。
俺からすれば、森で採って、洗って、乾かして、瓶に入れておいた素材のひとつでしかない。大きさも普通。色も普通。少し澄んでいる気はするが、うちではよく見る程度のものだ。
……たぶん。
最近、その「普通」が信用できなくなっている。
セレーナは核の上から、透明な半球状の魔導器具を静かにかぶせた。薄い硝子のように見えるが、表面には細かな術式が刻まれている。肉眼ではほとんど見えないほど細い線が、光を受けるたびにちらちらと浮かんだ。
「純度測定、開始」
彼女が短く告げると、鑑定台に刻まれた魔法陣が起動した。
先ほどのポーション検査とは明らかに光が違った。
淡い光ではない。
青白い円環が幾重にも重なり、台座の縁から中心へ向かってゆっくり収束していく。その輝きがあまりに強くて、部屋の照明が一段暗くなったように感じるほどだった。
スライム核の内側に、細い線が走る。
一本ではない。
何本も、何本も。
まるで透明な水の中に光の糸を沈めたようだった。糸は核の中心で絡まり、ほどけ、また別の形を作る。小さな素材の中に別の景色が閉じ込められているようで、思わず目を奪われた。
綺麗だなとは思った。
思ったが、たぶん今はそういう呑気な感想を抱いている場合ではない。
ニルスが計器に目を落とし、数値を読み上げようとした。
「スライム核、魔力純度……」
そこで、口が止まった。
ペン先も止まった。
さっきまで紙の上を忙しく走っていた手が、ぴたりと動かなくなる。
セレーナが無言で計器を覗き込んだ。
リタも横から身を乗り出す。
二人の表情が、ほんのわずかに変わった。
俺だけが分からない。
これがつらい。
怒られているのか、褒められているのか、危険物を持ち込んだ扱いなのか、まったく判断がつかない。分からないまま大人しく立っている時間ほど、心臓に悪いものはない。
「……主任」
ニルスの声が震えていた。
さっきの好奇心混じりの声とは違う。
何か、触れてはいけないものを見つけた時の声だ。
「分かっているわ。再測定」
セレーナの返事は落ち着いていたが、それでも普段より半拍だけ遅かった。
「はい」
ニルスが慌てて魔導器具の位置を確認し、台座の術式を一度切る。光がふっと弱まり、すぐにまた強くなる。
再測定。
また、魔法陣が光る。
また、核の中に光の糸が走る。
また、計器の針が震え、一定の位置で止まる。
そして。
また、沈黙が落ちた。
長い。
非常に長い。
実際には数秒だったのかもしれないが、俺には鍋を一つ焦がすくらいの時間に感じられた。
「数値、変わりません」
ニルスが小さく言った。
「そう」
セレーナは短く答えた。
それから、ゆっくりと俺のほうを向く。
その視線は静かだった。
静かすぎて、怖い。
怒鳴られるより怖い。
「ロイドさん」
「はい」
思わず背筋が伸びた。
「…このスライム核、どうやって採ったの?」
「普通に」
「普通に、という言葉を使う前に、三秒考えて」
俺は三秒考えた。
「スライムを見つけて、核の位置を確認して、粘液を崩さないようにナイフを入れて、核を傷つけないように分離して、粘液と別々に瓶へ入れます」
セレーナは目を閉じた。
ニルスは口を半開きにした。
リタは「すごいですね!」と小声で言った。
「それを、普通とは言わないわ」
セレーナが静かに言った。
責める口調ではない。
だが、否定としては十分すぎるほどはっきりしていた。
「いや、俺は普段からこうなので」
「その“普段”がおかしいのよ」
「スライム相手ならできます」
「……スライム相手なら、ね」
「はい」
そこだけ切り取れば、たぶん平和な会話だったと思う。
問題は、その直後だった。
セレーナが視線を上げる。
「あなたのスキルは?」
「あー……」
少しだけ言いづらい。
いや、別に隠しているわけではない。隠しても仕方ない程度のスキルだ。ただ、説明するとだいたい微妙な空気になるので、積極的に話したくないだけである。
「〈スライムキラー〉です」
ニルスが、がたっと椅子を鳴らした。
立ち上がりかけている。
「ス、スライムキラー!?」
反応がでかいな。
俺より驚いているじゃないか。
「知ってるのか?」
「名前だけは聞いたことあります! その、ええと……地方の冒険者記録とか、古い適性資料とかに、ごく稀に載ってる……」
言いながら、ニルスは困った顔になった。
続きが言いづらい顔だ。
「なんだ」
「いえ、その……かなり珍しい分類で……」
「回りくどいな」
「実用性が限定的すぎるって評価のやつです」
「まあ、そうだな」
結局わりと直球だった。
ニルスは慌てて両手を振る。
「ち、違うんです! 馬鹿にしてるわけじゃなくてですね、僕も実物を見るの初めてで!」
「俺も他人で見たことない」
そもそも、そんなスキルを授かる人間がそう何人もいてたまるか。
スライム限定特効。
字面だけ見ると、子どもが冗談で考えたみたいな能力である。
ドラゴンでもなく、魔王でもなく、スライム。
世界はもう少し夢を見せてくれてもよかったと思う。
「授かった時、周りの反応どうでした?」
ニルスが恐る恐る聞いた。
「村の連中に“畑の水路掃除には便利そうだな”って慰められた」
「ああ……」
「あとは“下水処理で食っていけるかもしれない”とか」
「……」
「泣いてないぞ」
「その話の流れで泣いてないの強いですね」
強くない。
慣れただけだ。
セレーナは会話を挟まず、鑑定台の上のスライム核をじっと見つめていた。
やがて、腕を組んだまま口を開く。
「この核は、本来のスライム核としては異常なほど純度が高い」
さらっと怖い単語を使わないでほしい。
俺は咳払いをごまかすように視線を逸らした。
「通常、スライムは周囲の魔力や不純物を無差別に取り込む性質を持つわ。土、水、腐葉土、腐食物、空気中の魔力残滓……とにかく何でも吸う。だから体内の魔力構造が安定しにくい」
セレーナは核を指先で軽く示した。
青い光が、薄く揺れる。
「核も小さく脆い。採取時に少し衝撃を与えただけで内部構造が崩れるし、雑に抜けば不純魔力が混ざる。結果として薬効は不安定になり、保存性も落ちる」
「だから安いんですね」
「ええ。低級素材としては優秀だけれど、高品質素材として扱われることはまずない。一般的な薬師は、品質を安定させるために別素材を混ぜる前提で調合する」
それはなんとなく分かる。
実際、王都の薬房では魔獣核や高級薬草を使うと聞いたことがある。スライム素材は数合わせ、あるいはコスト調整用くらいの扱いなのだろう。
セレーナはそこで一度言葉を切った。
それから、俺の持ち込んだ核を見る。
「でも、あなたの採取した核は違う」
部屋の空気が静かになる。
ニルスもリタも、黙って聞いていた。
「採取時の損傷が、ほぼ存在しない。核内の魔力構造が崩れていないだけじゃない。不純魔力そのものが異常に少ないの」
セレーナは透明器具の内側を指した。
青い核の中心では、光の糸がほとんど濁りなく揺れている。
さっきは綺麗だな程度にしか思わなかったが、比べる対象を知っている薬師から見れば、あれはかなり異様らしい。
「粘液素材のほうも同じ傾向が出ているわ。雑味になる成分が少なすぎる」
「雑味って、食い物みたいですね」
「実際、薬も調合物よ。余計な成分が減れば反応は安定する」
なるほど。
言われれば、たしかにそうかもしれない。
「まるで――」
セレーナがゆっくり言った。
「スライムという魔物の“余計な部分”だけを綺麗に削ぎ落として、薬効に必要な特性だけを残しているみたいな採取なのよ」
俺は首を傾げた。
そんな器用なことをした覚えはない。
俺はいつも通り森でスライムを狩って、核を抜いて、粘液を分けて、素材瓶に詰めていただけだ。
ただ、まあ。
他の魔物相手よりは、ずっとやりやすい感覚はある。
核の位置も分かるし、どこを切れば崩れにくいかも感覚的に分かる。粘液の流れ方も読めるし、余計な傷をつけない取り方も自然と手が動く。
だが、それを説明したところで。
「……そんな顔されても困る」
俺が言うと、セレーナは深く息を吐いた。
「困っているのは、むしろこちらよ」
「そんなこと、できます?」
「普通はできないわ」
普通は。
最近、嫌な響きになってきた。
「つまり、どういうことですか」
俺が聞くと、セレーナは少し考え、言葉を選ぶように話し始めた。
「あなたのポーションは、単なるスライム素材で作られた安価な回復薬ではない。高純度のスライム核と、損傷の少ない粘液を土台にして、スライム素材が本来持っているはずの性質を、非常にきれいな形で引き出している」
「スライム素材が本来持っている性質?」
「スライムは弱い魔物よ。けれど、生命力は高い。形を変え、傷を塞ぎ、毒や腐敗物を取り込んでも分解し、水分と魔力を保持する。その特性は、低級素材として見られてきたせいで十分に研究されていない。通常の採取品では不純物が多すぎて、効果が安定しなかったから」
ニルスが興奮気味に続けた。
「つまり、ロイドさんの素材は、スライムが持つ再生補助、毒素緩和、疲労拡散、魔力保持の性質を、ポーションとして利用できる水準まで純化している可能性があります。これは既存のスライム素材研究ではほとんど例がありません」
「例がないのは困るな」
「困るどころか大発見です!」
「大発見も困る」
リタが「ロイドさんらしいですね」と笑った。
笑いごとでは、たぶんない。
……たぶん、という言い方になるのは、俺自身がその重大さをまだ飲み込めていないからだ。
数値が高い。
普通の素材より、ずっと質がいい。
薬師会の計器がそう示しているらしい。
そこまでは分かる。目の前で針が変な位置まで振れているのも見たし、ニルスが口を半開きにしたのも見たし、セレーナがさっきから冗談を言う余裕のない顔をしているのも分かっている。
分かってはいる。
しかし俺の中にある判断材料が、あまりにも貧弱だった。
俺は王都の研究者ではない。薬師学院で素材学を何年も学んだ秀才でもない。高級薬房で希少素材を扱ってきた職人でもなければ、王宮御用達の調合師でもない。
辺境の村でスライムを狩り、粘液を瓶に詰め、核を砕き、鍋の前で焦げつかないよう必死にかき混ぜてきただけのおっさんである。
そんな人間にいきなり「規格外です」とか「前例がありません」とか言われても、どう反応すればいいのかよく分からない。
褒められているのか。
叱られているのか。
それとも、何かとんでもない面倒の入口に立たされているのか。
そこが分からないから怖い。
森で熊に出くわしたなら逃げればいい。毒蛇を見つけたなら近づかなければいい。スライムならまあ、俺の場合はだいたいどうにかなる。
だが薬師会の鑑定室で専門家たちが揃って黙り込み、計器と記録板と俺の持ち込んだスライム核を見比べ始めた時の正しい対処法など、俺は知らない。
経験値がないのである。
「主任、どう評価しますか」
ニルスが慎重に聞いた。
さっきまでの珍しいものを見つけた子どもみたいな声ではない。薬師会の助手として、正式な判断を仰ぐ声だった。
セレーナはすぐには答えなかった。
計器を見る。
記録板を見る。
鑑定台の上に置かれた、青く澄んだスライム核を見る。
それからもう一度、計器を見る。
まるで自分の知識の棚に、どうしても収まりの悪い石ころを無理やり入れようとしているような顔だった。
鑑定室の空気がじわじわ重くなる。
部屋そのものは静かだ。誰も騒いでいないし、窓の外から聞こえる馬車の音も遠い。なのに、妙に息苦しい。魔導器具の低い駆動音だけが、鍋底に残った焦げみたいに耳にこびりつく。
俺としては、もっと軽い話で終わってほしかった。
「品質は良好ですね」
「流通許可は問題ありません」
「少し高めに売っても大丈夫でしょう」
せいぜい、その程度だと思っていたのだ。
商売の話ならまだ分かる。材料費がどうとか手間賃がどうとか、瓶代が地味に痛いとか、最近客が増えて仕込みが追いつかないとか、その辺なら俺にも理解できる。
ところがセレーナの表情を見る限り、どうもそういう話ではない。
値段をつける顔ではない。
珍しい商品を見つけた商人の顔でもない。
“研究者の顔”だ。
それも今までの常識を少し横から殴られた時の顔に近い。
……やめてほしい。
俺は別に、常識を殴りたいわけではない。
静かに店を開けて、買いに来た村人にポーションを渡して、夕方に帳簿をつけて、夜は温かい飯を食って寝たいだけなのだ。
なのに今、薬師会の上級薬師が俺のスライム核を前にして「これは何だ」と言いたげな顔をしている。
非常に居心地が悪いし、なんなら今すぐに逃げたい。
できれば森へ帰りたい。
スライムはいい。
跳ねる。斬る。素材になる。
話が単純だ。
だが人間、とくに頭のいい連中が難しい顔を始めると、話は急に粘つく。説明、確認、再鑑定、報告書、上への相談、場合によっては王都への照会。そういう面倒な単語が、聞いてもいないのに頭の中で勝手に列を作り始める。
俺は大発見なんてものに立ち会ったことがない。
だから、それが本当に価値のある発見なのかどうかも分からない。
分からないが、ひとつだけ分かることがある。
たぶん、このあと俺は面倒なことになる。
そして大抵の場合、面倒な話に巻き込まれた時、一番疲れるのは現場の人間だ。
つまり。
嫌な予感しかしなかった。
「暫定評価を出すわ」
セレーナは記録用紙にペンを走らせた。
「青ぷよ薬房製、スライム核由来回復ポーション。魔導核製法。主成分は高純度青スライム核抽出液および安定化粘液基質。通常回復分類に収まらず、複合効能を持つ可能性あり。回復、疲労軽減、軽度毒素抑制、魔力循環補助を確認。素材純度は異常値。既存規格では中級上位から高級下位相当。ただし未知特性が多いため、追加鑑定を要する」
「異常値って書くんですか」
「書くわ」
「もう少し穏やかな言葉に」
「鑑定書は穏やかさより正確さよ」
「ですよね」
セレーナはさらに別紙を取り出した。
「販売について。現時点では低級ポーションとして売るのは不適切。価格も現在のままでは市場混乱を招く可能性が高い。薬師会としては、仮に店頭販売を続ける場合、品質表示を改め、販売数を管理し、効能を過小表示しすぎないことを勧めるわ」
「効能を過小表示しすぎない?」
「あなた、これを普通の回復薬として売っているのでしょう」
「はい」
「買った人が、普通のつもりで飲んで予想以上の効果を得る。効きすぎる薬は、弱い薬と同じくらい扱いに注意が必要よ。特に疲労回復系は、無理が利くように感じて過労を招くこともある」
婆さんの畑が頭に浮かんだ。
猟師が山を歩き回った話も。
俺は少し反省した。
「……説明書きを作ります」
「そうしなさい」
「値段も上げるべきですか」
「上げるべきね」
「ですよね」
「村内向けに低価格枠を残す方法はあるわ。医療用途や常連向けの扱いは商業組合と相談しなさい。一般販売品は少なくとも銀貨数枚の価値がある」
「銀貨数枚」
「高品質品としては妥当よ」
俺は天井を見た。
また天井だ。
最近、天井を見る回数が増えた。
銅貨八枚で売っていたものが、銀貨数枚。
値上げというより、別物である。
客は怒るだろうか。
常連は困るだろうか。
転売屋は減るだろうか。
行列はどうなるだろうか。
考えることが多い。
…多すぎる。
「それと、資格について」
セレーナは俺をまっすぐ見た。
「あなたの調合技術は、正式な教育を受けていないにしては高すぎる。知識に穴はある。記録も足りない。安全管理も改善が必要。けれど、素材処理と魔導核製法の実技に関しては、認定調合師の実技水準を超えている可能性があるわ」
「超えてるんですか」
「少なくとも、スライム素材に関しては」
「スライム限定ですけど」
「そこが重要なのよ。専門特化型として扱えるかもしれない」
「そんな資格が?」
「通常の薬師資格とは別に、素材別認定調合師という枠があるわ。鉱石系、獣骨系、毒草系、魔核系など、特定分野の実技に優れた調合師を登録する制度よ。あなたの場合、スライム核系の特例審査を申請できる可能性がある」
「特例」
嫌な響きだ。
何が嫌かと言えば、特別扱いという言葉には、だいたい後ろから面倒事が足音を消してついてくるからである。親切そうな顔をして近づいてきて、気づけば書類だの責任だの義務だのを両手いっぱいに抱えさせられる。俺はそういうものに、まったく向いていない。
「普通の試験では駄目なんですか」
俺がそう尋ねると、セレーナは手元の書類を一枚めくり、考えを整理するように視線を落とした。
「受けても構わないわ。ただ、正式な薬師資格を通常の手順で取るとなると、基礎薬学、毒物管理、薬草分類、薬師法規、それから調合実技まで、かなり広い範囲を学ぶ必要があるの。どれも大切な分野だから、短期間で形だけ覚えればいい、というものでもないわ」
「ですよね」
「店を続けながら現実的に進めるなら、まずは暫定登録を行って、販売できる品目や量を制限する。そのうえで、定期講習と実技確認を受けてもらう形がよいと思う」
「講習」
「ええ」
セレーナは当たり前のようにうなずいた。
「あなたには勉強が必要よ」
「ですよね」
逃げられない。
騎士団には納品しろと言われ、商人には卸せと言われ、今度は薬師会から勉強しろと言われた。俺はただスライムを狩って、釜をかき混ぜて、村人に細々とポーションを売っていただけなのに、いつの間にか人生が妙に学び直しの方向へ進んでいる。
四十手前のおっさんが、今さら基礎からポーション学を学ぶことになるらしい。
若い頃、学院に行かなかった分が、ここでまとめて請求されている気がする。人生の宿題というものは、放っておくと消えてくれるわけではない。むしろ利子がつく。しかも、忘れた頃に分厚い束になって戻ってくる。
「ところで」
セレーナの声が、少しだけ変わった。
さっきまでの事務的な響きではない。薬師会の職員としてではなく、研究者としての興味が混じった声だった。
「はい」
「この高純度スライム素材だけれど、研究用に少量提供してもらえないかしら。もちろん、正式な契約書は用意するし、対価も薬師会の基準に沿って支払うわ」
来た。
研究。
やはり来た。
俺は机の上に置かれた青い素材瓶を見た。中の粘液は、光を受けて妙に澄んでいる。俺にとっては毎日のように採っている見慣れた素材だが、王都の薬師会からすれば、どうやら見慣れたものではないらしい。
「どれくらいですか」
「まずは粘液を三瓶、核を十個」
「少量とは」
「研究部なら百個欲しがるわ」
「十個でお願いします」
「賢明ね」
セレーナは涼しい顔で微笑んだ。
この人、落ち着いているのに、押すところはちゃんと押してくる。
王都の人間は、笑顔で距離を詰めるのがうまい。商人もそうだったが、研究者もそうらしい。違いがあるとすれば、商人は金貨の匂いに敏感で、研究者は珍しい素材の匂いに敏感なところだ。
どちらにせよ、俺の静かな暮らしにはあまり優しくない。
「研究成果については、こちらから定期的に共有するわ。あなたにとっても、スライム素材の特性を理解する助けになるはずよ」
セレーナはそう言って、机の上の素材瓶を指先で軽く叩いた。
瓶の中で、青い粘液がとろりと揺れる。光の加減によっては宝石みたいにも見えるが、森で採っている時はただのぷるぷるした塊だ。村の子どもなら棒でつついて遊ぶし、畑仕事の連中は「また水路に詰まってる」と文句を言う。その程度の存在だった。
少なくとも、俺にとっては。
「それは確かにありがたいですね」
俺は正直にそう答えた。
ありがたいものはありがたい。
実際、俺はスライムのことを知っているつもりで、ほとんど何も知らなかったのかもしれない。今まではただ、狩れて、採れて、使えるから使っていただけだ。粘液の状態がいい日、悪い日。核の色が濃い個体。雨の日の採取量。そういう経験則だけでやってきた。
しかし薬師会の連中は違う。
純度がどうとか、魔力保持率がどうとか、成分反応がどうとか、俺にはよく分からない言葉を並べながら、あのスライム素材を宝物みたいな顔で見ている。
たぶん、本当に何かあるのだろう。
スライム素材の価値。
効能。
危険性。
保存性。
あるいは、俺自身がまだ気づいていない性質。
知らないままでは、これから先、店を続けていくには足りない気がした。今までは辺境の小店だったからよかった。だが、騎士団が契約書を持ってきて、王都の商人が卸しの話を始め、薬師会まで動き始めた以上、「なんとなく作ってます」では通らなくなっていく。
世の中、規模が大きくなるほど「勘でやってます」は許されなくなる。
悲しいことに。
「分かりました。少量なら提供します」
「助かるわ。契約書はこちらで作成する」
「また書類ですか」
「必要よ」
「ですよね」
最近、この「必要よ」でだいたい逃げ道が塞がる。
騎士団もそうだったし、薬師会もそうだった。どうやら世の中には、俺の平穏を削ってでも必要とされるものがあるらしい。そして、その中心にはだいたい書類がいる。
書類仕事という魔物は、薬師会にも生息していた。
しかも、かなりの数が繁殖している気配がする。
机の端には書類の束。
棚にも書類。
後ろの箱にも書類。
王都の役所というのは、木と紙でできた迷宮なのではなかろうか。下手をすると森より遭難率が高い。
その時だった。
鑑定室の外が、少しだけ騒がしくなった。
最初は小声だったが、静かな部屋では意外とよく響く。
「主任、本当ですか」
「スライム素材で九十台って……」
「青ぷよ薬房のやつだろ」
「例の辺境の店主?」
「信じられん……」
扉の向こうで、何人かがひそひそ話している。
ひそひそ話というものは、本人に聞こえた時点でだいたい失敗している。
セレーナがすっと視線を扉へ向けた。
すると外の声が少し小さくなったが、完全には消えなかったようだ。
「……興味を持たれてますね」
「薬師は好奇心が強い生き物なの」
「強すぎません?」
「研究職は大体そうよ」
なるほど。
商人は利益の匂いに群がり、研究者は未知の匂いに群がるらしい。
どちらも目が怖い。特に、自分では隠しているつもりで全然隠れていない時が怖い。
扉の向こうでは、まだ小さくざわめきが続いていた。
どうやら薬師の好奇心というものは、厚い扉くらいでは止められないらしい。
リタが楽しそうに言った。
「ロイドさん、薬師会で有名になりましたね!」
「嬉しくない」
「すごいことですよ!」
「すごくなくていい」
「無理ですね!」
「元気に断言するな」
セレーナは鑑定書に印を押した。
薬師会の紋章が、紙の上に緑色の魔力光を残す。
「これが暫定鑑定書よ。商業組合へ提出しなさい。正式鑑定には数日かかるわ。追加検査のために、サンプルを預かる必要がある」
「分かりました」
「それから、青ぷよ薬房として販売を続けるなら、しばらくは品目を絞りなさい。通常回復、疲労回復、解毒。この三つだけ。試作品は外へ出さないこと」
「試作品、人気なんですが」
「出さないこと」
「はい」
薬師会主任の圧は、商業組合主任とは違う方向で強い。
クラウスは数字で首を絞めてくる。
仕入れ値、販売価格、利益率、在庫回転、契約本数、納品予定。そういうものを淡々と並べて、「このままでは商売として破綻します」と眼鏡の奥から刺してくる。あれはあれで怖い。数字というものは感情がないぶん、言い訳を聞いてくれない。
一方で、セレーナは安全性で逃げ道を塞いでくる。
効能の強さ、成分の安定、過剰摂取の危険、表示義務、保管条件、使用者への説明責任。こちらが「でも、今まで問題なかったので」と言おうものなら、「今まで問題がなかったことと、今後も安全であることは別よ」と静かに返してくるに違いない。
どちらも正しい。
正しいから困る。
間違っている相手なら、こちらも強く出られる。しかし正しい相手に正しいことを言われると、四十手前のおっさんは黙って椅子に沈むしかない。
「あと、ラベルを改めること。『普通の回復薬』では駄目よ」
セレーナは鑑定書の端を指で押さえながら言った。
「何て書けばいいんですか」
「高純度スライム核回復ポーション、暫定分類・複合回復補助薬」
「長い」
「正確よ」
「青ぷよ回復薬では」
「可愛さで効能を隠さない」
「はい」
怒られた。
青ぷよ回復薬、響きは悪くないと思ったのだが、薬師会では通用しないらしい。確かに腰痛持ちの婆さんが飲む薬と、冒険者が傷口に使う薬と、騎士団が正式に備蓄する薬が、全部「青ぷよ」で片づけられるのは問題かもしれない。
問題かもしれないが、長い名前は客が覚えられない。
俺も覚えられない。
店主が覚えられない商品名というのは、商売としてどうなのだろう。
「正式な分類名は鑑定書に記載しておくわ。店頭表示は、効能と注意事項が分かる形に簡略化して構わない。ただし、『普通』という表現は禁止」
「普通じゃないからですか」
「ええ」
「そこが一番納得いかないんですが」
「納得は講習でしてもらうわ」
講習…か、また出たな。
最近俺の周囲では、契約書、鑑定書、講習という三つの言葉がやたら元気に跳ね回っている。スライムより元気に跳ね回っている。スライムは狩れば素材になるが、書類と講習は狩っても減らないんだよ…
俺は鑑定書と紹介状の控え、追加検査の預かり証を受け取った。
紙が増えてきたな。
一枚一枚は薄いくせに、鞄に入れると妙に重い。まるで現実そのものが折り畳まれて詰め込まれているようだった。来た時より確実に荷物が重い…いや、荷物というより責任が重い。
鑑定室を出ると、廊下に数人の薬師がいた。
みんな何気ない顔をしている。
棚の資料を見ている者。
壁の掲示板を眺めている者。
たまたま通りかかったように足を止めている者。
そして全員何気ない顔をしながら、こちらを見ている。
何気なさとは何か。
少なくとも、あれは失敗例だ。
「あなたが青ぷよ薬房の……」
「スライム核の純度が九十台という……」
「少しだけ製法について確認を……」
「採取時の魔力干渉はどう処理を……」
「研究部へ一度、話だけでも……」
俺は半歩下がった。
こいつら、距離がやけに近いな…
いや、正確には素材との距離が近いのか。彼らが見ているのは俺ではなく、俺の鞄だ。もっと言えば鞄の中の鑑定書であり、スライム素材であり、製法である。
俺は今、人間というより資料の付属品として見られている気がする。
その時、リタが笑顔で前に出た。
「皆さん、正式な問い合わせは鑑定部を通してくださいね!」
声は相変わらず明るいが、立ち位置は完全に盾だった。
見た目に反してかなり頼もしい。
商業組合の人間なのに、薬師会の廊下では妙に強い。あの笑顔の裏に、受付嬢として日々客と商人と職人をさばいてきた経験が詰まっているのだろう。人は書類と苦情を浴びると、強くなるのかもしれない。
セレーナも鑑定室の扉の前に立ち、静かに言った。
「彼は本日、商業組合へ戻る予定です。囲まないように」
声は荒くないし、怒鳴ってもいない。
それなのに、廊下の薬師たちは一斉に動きを止めた。
主任という肩書きは伊達ではないらしい。薬師会におけるセレーナの一言は、調合釜の火を止める水より効く。
薬師たちは名残惜しそうに視線を残しながら、少しずつ散っていった。
「後日、正式に……」
「資料だけでも……」
「検査結果の写しを……」
小声が完全には消えないところが、実に薬師らしい。
危うく囲まれるところだった。
薬師会、怖い。
森でスライムに囲まれるほうがまだ気楽だ。あいつらはぷるぷるしているだけだし、こちらが動けば逃げていく。薬師は逃げないどころか、むしろ寄ってくる。
外へ出ると、昼の光がやけに眩しかった。
レスタルムの街は相変わらず賑やかだった。薬師会の前を荷馬車が軋みながら通り、市場のほうからは焼いた肉と香辛料の匂いが流れてくる。石畳の上では商人が声を張り、通りの向こうでは子どもたちが水路のそばを走っていた。
さっきまで鑑定室の中で聞いていた数値や専門用語が、街のざわめきに混ざって少しだけ遠くなる。
けれど、鞄の中の鑑定書は現実だ。
俺のポーションは、ただのスライム素材でできた安物ではなかった。
本来ならありえないほど高純度のスライム核を使い、スライムという低級魔物の中に隠れていた効能を妙な形で引き出した、分類しきれない可能性を持つポーション。
セレーナは、そういう意味のことを言った。
唯一無二。
やめてほしい。
世界で一つしかない、みたいな言葉は、聞こえはいいが商売人にとっては危険だ。客が増えるし価格が上がるし、ついでに偉い奴らまで来る。研究者が来る。書類が増える。講習が増える。最終的に腰に来る。
「ロイドさん、大丈夫ですか?」
リタが横からのぞき込んできた。
「大丈夫じゃないが、倒れるほどではない」
「鑑定結果、すごかったですね!」
「すごいと言われるたびに、俺の仕事が増える気がする」
「増えますね!」
「少しは否定してくれ」
「嘘はよくありません!」
正しいけど、優しくない。
俺は深く息を吐き、空を見上げた。
青い空。
白い雲。
城塞都市の赤茶けた屋根。
遠くから聞こえる川港の鐘。
本来なら、こういう日は店先で薬草を干しながら、昼飯に何を食べるか考えているくらいでよかった。俺はただ、スライムしか狩れない無能スキルで、細々とポーションを作って暮らしたかったのだ。
村の人が喜んでくれて冒険者が助かって、店が潰れない程度に売れれば、それで十分だった。
それなのに気づけば商業組合で登録し、薬師会で鑑定され、俺のポーションは未知の可能性などというやたら重い言葉を背負わされている。
「……スライムって、もっと気楽な魔物じゃなかったのか」
俺がつぶやくと、リタが明るく言った。
「ロイドさんが気楽じゃない素材にしちゃったんですよ!」
言い返せなかった。
たぶん、間違っていない。
俺は鞄を抱え直し、商業組合の方角へ歩き出した。
これからクラウスに鑑定結果を見せなければならない。
あの偏屈主任はたぶん無言で鑑定書を読み、眼鏡を外し、丁寧に布で拭くのだろう。そしてこちらの胃が痛くなるくらい落ち着いた声で言うのだ。
値上げしなさい、と。
見えるぞ。
今からその光景がはっきり見える。
見えるから胃が痛い。
自作の胃薬を作るべきかもしれない。
もちろん、薬師会の鑑定を受けてからだ。
もう勝手に試作品を売るのはやめよう。
たぶん。
なるべく。
できる範囲で。




