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【完結】3年ぶりに目覚めたら、いきなり溺愛始まりました!?  作者: らしか


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第五十一話

海辺の街、王都での視察をあらかた終え、滞在期間も残り短くなってきた。そして、今回の訪問における重要な予定のひとつ、教会視察の日。


ノーランたちは2年前に訪れ、3人の愛し子と面会した。今回も同様に、面会の予定が入っている。私は初めて会うので、少しばかり緊張している。



「お初にお目にかかります、フェリシア・エライユと申します。先の件ではご協力いただきありがとうございました」


私の挨拶に答えたのは、私たちよりも少し年上に見える女性だった。


「初めまして、ティルスと申します。無事に生還なさったと報告を受けた時には大変安堵致しました」


貴族出身ではないそうだが、立ち居振る舞いから気品を感じる。

彼女の他にも男性が2人。ルピア様とクレイヴ様だと紹介を受けた。どちらも軽く挨拶をするだけで、ほとんど発言はしない。人見知りなのだろうか。


「聖堂でのお祈りをご希望と聞いておりますが、何か目的がおありなのでしょうか?」


ティルス様という女性はなかなか頭の回る方のようだ。クロサイトにも聖堂はあるので、わざわざルピナスに来てまで祈りを捧げる必要はない。それならば、何かしらの目的があってきたと考えるのが自然。


「実は、再び大精霊様との連絡が取れなくなってしまったのです。確認したい事があるので、聖堂でのお祈りをさせていただきたく、こちらに伺いました」


私が人間界に帰ってきてからしばらくの間は、ピシュル様と話をする事ができていた。しかし、ノーランはおろか、半精霊である私とジェフでさえも連絡がつかなくなった。

原因として考えられるのは、大精霊ディレンスの処罰に関すること。ジェフが目覚めた時に、ピシュル様が直接処遇を決めると仰ったそうだ。もし仮にディレンスが反抗的な態度を見せていた場合、同じ大精霊同士手を焼いておられるのかもしれない。


そう考えた我々は、以前連絡がつかなかった際に話す事ができたこのルピナスの聖堂を訪れると決めた。何も確証はないが、精霊と連絡が取れないという状況は普通はあり得ない事なので、なるべく早く原因を探り、解決したいところだ。


「それはまた大変なことになっていたのですね。もちろん協力させていただきます」


ティルス様との話にひと段落ついた時、急にルピア様が口を開いた。


「エライユ様の加護精霊は誰なの?」

「聖の精霊フィアです。それがどうかされましたか?」


ちなみに、ピシュル様以外の精霊たちとは連絡が取れている。ただ、ピシュル様のことを聞いても分からないと言われてしまう。


「そう、だよね…」


私の答えに、ルピア様は何やら考え込んでしまった。ジェフの方を見やったが、彼も首を傾げている。


「ルピア、どうかしましたか?」

「…精霊の気配がするんだよ。どの精霊とも違う、僕が知らない精霊の」

「武・知・聖以外の精霊ということですか?」

「多分ね」


密かに、私たち4人側に緊張感が走る。おそらく、ルピア様が言っているのは、私とジェフのことだ。私たちは半精霊であるため、既存の3属性に分類されない存在。しかし、精霊よりも力は弱く、同じ愛し子でも分からないと想定していたのだが。


「以前、アーヴァイン様にはお話ししましたが、ルピアは精霊の気配に敏感なのです。姿見に宿っていた精霊の気配を大精霊のものだと気がついたのも彼でした」


ジェフはノーランに判断を仰いだ。これは、私とジェフが勝手に明かして良い事実ではないからだ。

精霊という存在は、人間には持ち得ない力を持ち、国の発展に大きく寄与するとされている。そのため、精霊が現れない国では、精霊をいかにして自国に呼ぶかという研究がなされているなんて話を聞いた事がある。それほど、この世界において精霊の力というものは多大なのだ。

故に、私とジェフが人間でありながら精霊の力を使用できるようになったという事実は、国のパワーバランスを崩しかねない。ルピナスは精霊が現れる国ではあるが、クロサイトほど愛し子は多くない。その上、精霊信仰に厚い国だ。他の国々と同様に、精霊の力を求めているだろう。

そんな状況で、私たちの事情を説明することは、難しい。クロサイト王家のとって、私とジェフは有事の際の切り札でもあるのだから。


ノーランは少しの間悩んで、頷いた。

それを確認したジェフは、頷き返して口を開く。


「お三方を信頼し、お話ししたいことがあります」


ジェフは、私が陥っていた状況から助けるまでの経緯と半精霊のことを説明した。途中、ティルス様とルピア様は驚いたような表情をしていたが、話を中断させることなく、最後まで黙って聞いていた。


「…というような事があったのです。そのため、ルピア様が感じた精霊の気配は、私と彼女のものだと思われます」

「それは大変ご苦労をなさりましたね。話してくださりありがとうございました」


ティルス様はこの話の重要さと危険性をすぐに察知したようで、このことは決して口外致しませんと誓った。



そして、ひと通り話を終えた私たちは聖堂に案内してもらい、ピシュル様との対話を試みる。ピシュル様の加護を受けているノーランと、半精霊であるジェフと私が祈りを捧げる。


しばらくして、パチン、と祈りが切れた。他の2人も同様の状態らしく、私たちは目を見合わせて首を傾げる。今までこんなことは起こった事がなかった。

そもそも祈りというものは切れるものではないし、精霊たちが拒むものでもない。それが切れたということは、ピシュル様側に何かしらのイレギュラーが起こったということだ。

しかし、私たちでは何も分からないし、対処のしようがない。ここはひとまず、退く他ないのだ。

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