神代封呪録・第六章 試練 第一節 百鬼夜行 第一話 対策本部
神代封呪録・第五章 試練 第一節 百鬼夜行 第一話 対策本部
緊迫した空気が漂う対策本部の一室で、作戦参謀の声が低く響き渡った。
「来る十二月二十四日、百鬼夜行が開催される。これより我々は、その全面的な警戒態勢に入る」
室内には、討魔庁の精鋭たちと警察庁の幹部たちがずらりと並び、スクリーンに映し出された不気味な赤いデータを見つめている。これまで、百鬼夜行の先頭に立ち、無数の妖たちを率いてきたのは総大将・ぬらりひょんであった。しかし、そのぬらりひょんは先日、討魔庁の総力を挙げた作戦によって見事に討ち取られた。
大きな統率者を失った現在、今度の百鬼夜行はかつてない異常事態に直面している。先頭を務める次期統率者の座を巡り、妖たちの間で激しい主導権争いが勃発しているのだ。
「先頭になるということは、全妖の中で最も強大であり、圧倒的なカリスマ性を備えていることが求められる。しかし、現在に至るまで誰がその座に適任であるのか、妖どもの意見は完全に割れ、内部で激しく揉めている最中だ」
参謀が険しい表情でペンを机に叩きつける。
「問題なのは、当日を迎える前に、妖同士の小競り合いが人間の生活圏にまで波及している点だ。すでに、彼らの内紛に一般市民が巻き込まれるという痛ましい事件が複数発生している。被害は拡大の一途をたどっており、いつ大規模なパニックが起きてもおかしくはない。全員、今から危機感を強く持ち、常に周囲への注意を怠らないよう心がけて頂きたい」
室内がさらに重苦しい沈黙に包まれる中、今後の具体的な運用方針についての指示が下される。
「そして今回の作戦において最も重要な連絡事項がある。不測の事態に迅速に対応するため、今回は警察庁と討魔庁の捜査官が二人一組のバディを組み、共同で警戒および鎮圧にあたることとする。互いの技術と権限を補い合い、この危機を乗り切ってほしい」
資料を閉じる乾いた音が響く。
「以上だ! これより各員、持ち場へ移動せよ。解散!!」




