08話 一日目、終了
「ひとまず、さっきの奴に見つからないよう今日は退散しよう」
勝てないものには勝てないようにやっぱり怖いものは怖いのだ。さっきから鳥肌が立ってしょうがない栖春は変えることを提案した。もちろんあと二時間二十分残っている、午前六時まではまだまだだ。
「いやいや、さすがにここまで来て変えるわけにはいかないよ」
祥平にその提案を一蹴された栖春は膝から崩れおち、額を床にぶつけた。もう助からないことを悟った栖春は諦めるしか選択肢はなかった。可哀そうに。
そうは言ってもあんなことあった後に何をするか、そこが気になってしょうがない和貴は祥平に質問した。
「これから何するの?」
「暇つぶしのゲーム」
夏休み前から持ち運べる程度のゲームを持ってくるように祥平に言われていた三人はバッグの中からそれぞれ取り出した。洸介はトランプ、言っていた張本人の祥平はUNO、栖春はゲーム機、和貴は麻雀セットを持って来ていた。
「トランプって…」
「なんだよ悪いか」
定番中の定番を持ってきた洸介に対し、祥平は少し笑みがこぼれた。その中でも一番輝いていたのは、和貴が持ってきた麻雀セット。どっから出したのだと言いたいくらいの大きさだ。
「よーし、今宵はこれらで遊ぶぞォォ!」
二時間十八分後、一通りすべての遊びは終わった。午前六時まであと二分、もう四人は帰る準備をしていた。教室のカーテンを開けるともう外は明るいことが分かった。
「もう朝かよ…」
夏は朝が来るのが早く、夜が来るのが遅い。太陽と地球の位置関係により太陽の沈む時間と昇る時間が変わってくるのだ。
オレンジ色の太陽を四人は見つめる。すると、何やら物音が聞こえてきた。
ガチャ
ミシ……………
あの音だ。またあのロボットがやって来た。それを感じた四人はすぐ机の下に隠れる。またここでやり過ごすわけだ。四人は息を殺してずっと何処かに行くのを待っていた。
そして時はやってきた。教室のドアが勢いよくガラガラと開く。四人は手で口を覆って絶対に声が漏れないようにした。…………………のだが、ドアを開けた瞬間、そのロボットはクルリと別の方向に向いて歩いて行った。
何が起こったよくわからなかった四人は机から出て、教室に出た。そしてロボットが向かった方向に顔を向けるが、ただただ無駄に長い廊下しかなかった。ロボットの姿はなかったのだ。
「な、なんだ…?」
「さっきのロボカスは…?」
四人が困惑している中、また別の音が聞こえてきた。下の階からだ。
…やべ、そういえば今はもう六時…先生の一人が入って来てもおかしくはない…………………ということは………
「先生が学校に入って来た説ある?」
「メーティー、多分あってる」
四人は慌てて教室を飛び出し、学校から出ようとした。すると廊下に何かが落ちていることに気づく。洸介はサッと拾って、他の三人と並走した。
一方そのころ、秘密の場所にて。いつもの通り、白衣と黒衣がいた。目の前にはさっき廊下で謎に消えたファーストがある。
「おお、六時になったら来た」
「…どうやって?」
白衣は嬉しそうにファーストを見つめるが、黒衣は不思議そうに見つめる。
「そういうプログラムにしたんだよ、最近のロボットはプログラムさえすればワープもできるんだぁ」
「は、はぁ…」
白衣はファーストに「六時になったらここに戻る」ようにプログラミングしていたのだ。
実は白衣は天才と言われていて、頭が非常に良い。プログラミングなんてちょちょいのちょいだとか。
黒衣はそれに感心してるのか、何とも言えない表情で見ていた。
「…動画でも見るか…たしかここに………あれ、USBがない…まあいいか」
機体に刺さっていたはずのUSBメモリが消えていることに気が付いた。そのメモリで動画を撮影していたのにも関わらわず落としてしまったのに、別に悔しかったり悲しかったりはしていない。
「明日は…………『ノイズ』も動かすか…………………」
「…そうですか」
一日目、終了。