36話 回避できない事実
一方こっちは頑張っている。いろいろと。走る足音が聞こえる廊下、一人の男子高校生とロボット二体の足音だ。
栖春は彼是三十分以上は走っている。そろそろ体力の限界が来る。足が動かなくなりそうだ。腕も何か痛くなっているし体が悲鳴をあげている。
後ろにはまだついて来ているファーストとノイズがいる。
「マテ ニンゲン ホカク スル オマエ ハ モウ マケテイル」
ノイズが何か喋っているがそんなの関係ない。今はただ捕まらないようにするだけだ。
もうだめだ…このままじゃ………………いや、諦めて溜まるか!
栖春はもうひと踏ん張り、絶対に捕まらないという強い意志を見せた。さっきよりスピードが上がっている、ロボットとの距離がだいぶ離れた。
階段などを利用して、視界から逃れまくる。その繰り返しをして何分か経つと、もう後ろには誰もいなかった。
今のうちに…
栖春は適当な教室のロッカーの中に入った。ポケットからスマホを取り出してみんなにメッセージを送る。自分が無事なことを伝えて安心させるのがまず一番だ。
このあとはどうするか…あれ……………なんか……………すっごく眠くたってきた……………
走り続けた結果、疲労がすぐに溜まって脳まで悲鳴をあげてしまっている。すぐに休めと言っているのだろうか、とんでもない睡魔に襲われた。
こんなところで寝るわけにいかないと自分の顔をビンタするが、なかなか目が覚めない。
あああああ
バタン
動けない
ロッカーのドアが開いて外に出てしまった。でも眠すぎてもう動けない。なぜこんなに眠いのだろうかと考えることも出来ない。
目がだんだん閉じていく。栖春が最後に見た光景は、白い何かが刺さっている自分の腕だった。
「スバルから連絡来たよ」
「じゃあ無事なのか」
栖春を除いた五人の方は二体を制圧した様子だ。もう二時になるというのに簡単に見つかってしまうのか、それともまた別のものを見つけなくてはいけなくなるか。
とりあえず教室で待機していた五人は二体のロボットから何かないかと探す。武器で表面をぶっ壊して、中を覗いている最中だ。
「どこにあるんだ…?」
「そんな簡単に見つかるわけないでしょ?」
やはり見つけるのは難しいようだ。
「とりあえずここの教室来るように言ったけど」
「じゃあ、六対二で勝ち確!?やったぁー!!」
なんか騒いでる女子もいるが、とにかくみんなが集まるのはいい事だ。この怖い空気を壊すには仲間の存在と言うのは必要不可欠である。
それにしても、今どこにいるかが一番気になるところである。意外と近かったりして。
数分経つが、連絡がこない。
「返信来ないなー」
「…既読は?」
「ついてない」
いまは逃げているのか?ロッカーからわざわざ出て?
洸介は嫌な予感がした。そんな変な行動を栖春がするわけないと思っている。する確率はだいぶ低いはずだ。
だが、それ以外に可能性を考えるとしたら、一つしかない。考えたくもなかったアレなのかもしれない。
「まさかだけどさ
「それ以上…言わないで」
和貴が洸介の発言を遮った。
「絶対にそんなはずはない」
和貴の顔は、いろいろな表情が混じっていた。
心配、悲しみ、怒り、殺意などなど…複雑な表情だった。




