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さっく・あうと  作者: 音色利揮
三日目
21/51

20話  こんにちはどっかいけ

「ねえな証拠やらなにやら、ゴミしか落ちてないぞ」

「それな」


 四階のとある教室。栖春と和貴は他の三人と同様爆破計画に関する何かを探していた。なんでこんなことに巻き込まれてしまったのか…可哀そうに…

 だがこの事件に気づかずに夏休みを終えたら栖春たちもろとも学校が吹き飛んでいた。気づいたのも不幸中の幸いである。


まーじで退屈やな…あああああああああああああああああああ


 栖春は耳を澄まして気づいてしまった。嘘だと言いたいが現実を変えることができるのは神のみ。現実逃避をするしかなかった。

 聞こえてしまったのだ、ガチャガチャという機械音が。

 慌てて栖春は和貴の服の袖を引っ張りロッカーの中に隠れた。


「ちょ、どうした

「シッ黙れ」


 栖春は和貴の口を手で抑えた。

 その瞬間ドスドスと振動が床から伝わってくる。教室のドアが勢いよく開いたのも音で分かった。

 ロッカーの扉の隙間から極細の赤い光が差し込む。

 息をむ。ただそれしか今はできない。


頼む頼む頼む頼むお願いお願いお願いお願い……………………


 そして見つからないように祈る。もうそれしかない、神を頼るしかない。


ドンガシャンドンド

ゴンデン


何の音だよ…!


 心の中で栖春はツッコんだ。

 少し時間が経って、やっと教室からファーストが出て行った。


ギィィ…


「はーーーやっと行ったよあのやろう…」

「ありがと栖春」


 ファーストが消えてホッとする二人。このロッカーが優秀なことに気が付いた。男子高校生二人が入っても少し余裕があった。なかなか良いと中を懐中電灯で照らす。

 栖春はロッカーの中で文字を見た。仔美たちと同じように。


「なんだこれ…赤でなんか書いてあるぞ和貴」

「ほんとだ。なにこれ……………………m?」


 今度の文字は『m』である。綺麗な赤色のペンキで汚い字で『m』。なんだよこれ、気持ち悪い。


「まって、この文字さ」


 和貴は何かに気づいた。この文字のことに。

 和貴はゆっくりとロッカーに近づき中をのぞく。栖春が手に持っている懐中電灯を奪ってロッカーの中を照らし、顔を近づける。まじまじと文字を見つめる。


「…あの紙の字と似てる気がする」

「…えまじ?」

「デジタルフォントだけど、癖は隠せてない」


 和貴がとった行動に少し驚かされた栖春だが、事情を聞くと素直に納得した。

 和貴は爆破計画のことが書いてある紙を今持っている。ポケットから取り出してロッカーの中の文字と照らし合わせると、はねの部分やはらいの部分の特徴が一致していることが分かった。


「おまえよく気づいたな…」

「だってこういうのは犯人じゃん。ほぼお約束だよ」




 もう時間はない。六時まであと三十分もない。今のところ収穫は仔美と円得の黒の『p』と栖春と和貴の赤の『m』、そして栖春と和貴が拾った『よくわからないもの』のみだ。

 まあ収穫がゼロなことよりよっぽどマシだが、まだ足りない気がする。

 もっと暗号的な何かを見つけなければならない。ていうかこれ何の暗号だよ。


「いったん集合したけど…まあ、あと三十分だし帰ってもいいかもな」

「いや、今日は最後までやろうよ」

「うん。ロボットだって全然見てな

「お前フラグ立てるなよ」


 あーあ。円得がフラグ立てちゃった。どんまいみんな。頑張って。


ギャシャギグ


「「「「「「あ」」」」」」


 目の前にはファーストがいた。赤い光がこちらに来た。もう、逃げるしかない。

 全員は一斉に走って逃げた。

 現在時刻は五時三十二分。午前六時まであと二十八分。

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