表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/63

魔族戦士育成

 「ツキヨミ様、いずれこの世界からまた時空の狭間に飛ばされると思いますが、この世界このままで良いのですか」影丸の言葉が頭から離れない。古代遺跡の転移陣を利用している神の存在が気にかかる。また戻ってくるかも知れない、魔族十人衆がツキヨミの眷属になってこの地を離れるとき、邪神が帰って来たら、魔族は滅びるかもしれない。


 なら、ツキヨミと影丸、魔族十人衆が古代遺跡の転移陣に入り邪神を相手にちゃんちゃんばらばら、するか。ツキヨミは人を殺せない、自分の眷属たちにも人殺しはして欲しくない。大体、転移陣に入っても邪神に会えるとも思えない。


 ツキヨミの館が完成し、魔族十人衆と眷属の動物が人間の国にやって来た、虎と狼、隼、黒猫が周辺を守った。魔族十人衆は変装術の特訓に明け暮れている。魔族が人間の国にいるのはいろいろ問題がある。


 幻影魔術は面白い、一瞬の剣戟の間に精神魔法で分身をつくる、十人衆からツキヨミ、影丸は幻影魔術を教わる、ほとんどマナを消費しない、もともと精神魔法全般についてはツキヨミ、影丸の知識のほうが遥かに深い、十人衆では二人には敵わない。ツキヨミは幻影魔術を応用することに夢中だ、すでに十人衆が見たこともないような、幻影魔術を展開する。これからは、忍術の修行が楽しみだ、互いに高め合う事が出来る。


 魔王とのマナ結晶鉱石買取の話は、途中のまま今日まで来てしまったが、古代遺跡の神が帰らねば、必要もないことである。魔王に今までのいきさつをツキヨミは説明した。「でもツキヨミさん、神が帰らぬ保障も無いのでしょう」魔王の心の不安をツキヨミは解消出来ない、魔王が話を続ける「マナ結晶鉱石は、わが国には利用価値がありません。ツキヨミさんが引き取ってくれるなら、争いの種も無くなります」


「魔王、マナ結晶鉱石は、あなたや、人間にとっても宝物といえる、いまは利用価値がなくとも、将来恵みを与えてくれるかも知れない。神があなた方を滅ぼしても手に入れたがっているものだ。」

 「ツキヨミさん、それはあなたがたも同じですか」

 「私には幾らかあれば充分だ、まったく無くとも問題ない」ツキヨミの答に魔王がさらに質問する、「ツキヨミさん、あなたにとって、この世界でマナ結晶鉱石より大事なものは何ですか」

 「魔族の命、人間族の命、ともに平和にくらすことだ、戦争の無い世界かな、だれにも死んでもらいたくない、みんな、わたしと関わった命なのだから」


 魔王を眺めながらツキヨミは語る「私は魔族十人衆が欲しい、しかし古代遺跡の神がまた勇者を異世界から召喚し、あなたの国を攻めるなら戦力は不足する、あなたの部下に魔族十人衆に続くものがいますか、3年の間に作り出せますか、作り出せないなら、私と十人衆が訓練して良いですか」魔王は了解してくれた。


 ツキヨミはある程度、時空の狭間に対抗できるようになっていた、このままでは3年でまた狭間に転移されてしまう。ツキヨミの抗いで転移のときを5年に延ばせると確信した。人間とちがって、神が確信したら成ったと同じことです。


 魔王は魔族戦士100人を選抜して、ツキヨミに引き渡した。訓練は血の滲むようなものだった、最初から実戦形式で、影丸、十人隊、眷属の虎、狼、隼、黒猫そしてツキヨミが選抜100人に容赦ない攻撃をしかける、一年があっという間に過ぎた、生きているのが不思議なくらいだ。

 2年目に幻影魔術を教えた、一瞬の剣戟の間に精神魔法で相手を攻撃する、出来るまで容赦ない攻撃を続ける、ツキヨミの知る全ての幻影魔術が使えるようになった。魔族が知る幻影魔術の10倍の種類がツキヨミによって開発されていた。いずれもマナの消費量はゼロに近い。

 3年目、魔族十人衆と同等の戦力を持つまで、死ぬような訓練が行われた、卒業である。これで、心おきなく魔族十人衆を眷属として貰える。


 マナ結晶鉱石の対価だが、なんで支払えばよい? ツキヨミの言葉に魔王は「すでに貰っているようですが、我が軍の戦力がここまで充実したことはありません」ツキヨミは「食料などいかがですか。豚、牛もあります、私は大規模な農場を経営しています」魔王が目を輝かせた、魔族の国は食料は足りているが、余裕があるとは言えない。


 ツキヨミは大陸国家で造った雪を利用した超大型の低温食料貯蔵庫を10個つくり、魔族の国にプレゼントした。まだ雪が降っていないので、最初の雪は魔法でつくる。そこに米、小麦を山ほど入れた。また食料として牧場の豚、牛を多数プレゼントした。これだけで魔族1年分の食料は確保できた。ツキヨミのもらった土地は広大なのだ。


 ツキヨミはロボット100体を使い、マナ結晶鉱石を集め亜空間に収納させた、すべてを集める必要はない、神が興味をもたないぐらいの量は、残して構わない。亜空間はツキヨミの収納庫に格納した。何でも入って便利ですね。


 ここは人間の国です、ツキヨミの館で影丸と話しています。「ダンジョンは誰が作ったのでしょうか」影丸の言葉に、ツキヨミが話をつぐむように、言葉をえらびながら「不思議なものですね、私も欲しい、作りたい、影丸、命令よ、調べてきなさい」この瞬間ツキヨミたちの新しい目標ができた。あと2年ここにいられます、それからロボットの処分は未定となりました。


 「ツキヨミ様、ダンジョンの図書館で何か書いていませんでしたか」影丸が期待を込めてツキヨミを見る。影丸、駄目よ、一流の研究者は現場が命、初めから本に頼っているなんてつまらない、と怒られました。


 「影丸、もう一度ダンジョンを調べよう」二人は人の来ない階層を選んで、魔物を眷属にしてから一匹殺した、アイテムをドロップした、変化を見逃さないよう心の目で追い続けた。一定時間たつと魔物はダンジョンに吸収されていく、わずかの魔物の意識の残滓を追いかけていくと、徐々にダンジョンのあちらこちらから有機質の組織が集まり、アイテムを包み込むようにして魔物がうまれる。生まれると、ぽとりと壁から離れる、ツキヨミの眷属化は有効のままになっている。


 最深部からゆっくりと上がって罠の破壊と再生変化の追跡、転移陣の確認、ダンジョン鉱山の確認と古代遺跡の金属素材の関連性の確認をした。「ダンジョンは生き物でしょうか」影丸は不気味そうにつぶやく。「遺跡の神との関連を調べたいが、無理だな」ツキヨミは王から神が眠ったと聞いたとき、ことによったらダンジョンも眠ったのではないかと思った。眠ってない。魔物を殺してもアイテムをダンジョン内から取り込んで再生する。あるいは神が死ねば魔物の再生がとまりダンジョンも死ぬ可能性があるのかもしれない。


ツキヨミは国王に面会を求めました「国王陛下、魔物が出なくなったダンジョンはご存知ですか」「ツキヨミの領土に昔ダンジョンがあった、わしがこの世界に召喚されたとき、まだ魔物が出た、徐々に衰退するみたいだな」「生まれたてのダンジョンはありますか」「ないな」


ツキヨミは面倒くさくなって国王にダンジョンについて薀蓄を語りたくなるような、精神魔法をかけました。「国王様、いま国にはいくつダンジョンがありますか」「全部で8箇所ある、最大なのは、この王都にあるダンジョンだ」「衰退に向っているダンジョンはありますか」「3つあるな」「どのくらいダンジョンは寿命があるのですか」「20年ぐらいかな」あまり変りません。


 ツキヨミと影丸は自分の所有地内にあるダンジョンを見に行きました。入り口はすぐに見つかりました、小高い山があり、渓流が流れています。ピクニックには、ちょうどいい場所です。


 暗闇をどんどん歩いて行きます。ツキヨミも影丸も真の闇でも昼のように確認できます、神様ですから。魔物の気配は確認できません。火球魔法を使って周りを見渡すと結構広々としています。雰囲気を出すためダンジョン全体に照明魔法を使ってみました。自動視認機能があって、暗がりを視認すると照明の帯を自動で作ります。どんどん奥が明るくなって行きます。詳細にふたりで壁を見て行きます、役に立つ鉱物があるかも知れません。20Fで行き止まりになっています。川の音がかすかにします、洞窟の壁を魔法で透視します。洞窟が続いているのが分ります、壁を壊すと洞窟が続き、同時に光の帯が天井一面に広がって行きます。冒険者未踏の地です。ダンジョン全体が生き返ったように、急に大気が変ります。エマをふくんだ、エネルギッシュな大気が、ダンジョンを再起動しています。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ