召喚
ツキヨミは魔王に興味を持ちました。影丸と二人で魔族の国に行きました。人間族と魔族は遥か昔より争っています。魔族の特徴は、人間族にたとえるならば、忍者です。超人的体力をもち、幻術を使います。ツキヨミも影丸も忍者です。相性が良いのか悪いのか、国境に近付くと雰囲気が途端にかわります。
「見張られていますね、ツキヨミ様」影丸が小声で話しかける、「国境を越える人間は少ないのかも知れません、襲って来ますかね」懐からクナイを出す。二人はゆっくりと国境を越えた。ツキヨミは幻術を知らない。戦うのが楽しみなのだ、出来れは幻術を我が物にしてみたい。それは影丸も同じだ、せっかくツキヨミより忍術を教えてもらったのに、まだ一回も戦った事も無い。ダンジョン攻略は影丸にとって児戯だ、それはツキヨミにとっても同じだ、人殺しはいやだが戦いは好きだ。これからストレス解消の戦いがはじまる。二人とも上機嫌だ。
影丸は何日も気配を殺して敵と対峙している。一瞬の油断も命取りになる、このような敵にあったことは無い。影丸は気配を飛ばすことも出来る、飛ばした瞬間矢が飛んできた。何も無い空間に矢が一本刺さっている。気配を感じる前に気配を、感じるであろう方向に、矢をはなったとしか思えない。先読みと言うより、多くの戦いを経てきた戦士の予感のようなものだろう。てごわい、部下に欲しい。捕まえたらツキヨミ様に眷属にしてもらおう。この者たちなら狭間の中でも生きてゆける。
影丸は仕掛けることにした、くる途中で精神魔法で操った小動物を多く放つことにした。小動物の見るものを影丸も見ることができる、聞いているものを、聞くことができる。感情も読み取れる。
影丸は自然体で相手の風上をとれる、あまりに自然なので風上を取られたという意識すら敵にはない。気がついたときには、木の葉が一面に舞っていて、意識が暗闇のなかにしずむ。精神魔法で部下にする。
ツキヨミもまた対峙していた、人間とは比較にならない。まだ相手の姿すらみていない。ツキヨミはすべての気配をたっていた。人間相手なら、ツキヨミを見ても、そこに人がいると思わないだろう。神威をだして、男の姿をみる、人間と変らない姿があった。男もツキヨミに最大限の警戒をしている。剣技を楽しみたかった。男の間直にたった。男は驚くことも無く、ツキヨミに剣を突き入れた、ツキヨミは反転して男を斬った、幻だった。剣は空を斬ったのだ、幻術とは戦いに特化した一瞬の精神魔法であった。二人の敵がツキヨミを襲う、一人を斬り、反転して逃げる、斬った感覚がある。しかし斬られた男はツキヨミの太刀筋のままふたつに分かれて消えてゆく、面白い、おもしろい、ツキヨミは狂喜した。また幻影を斬って逃げる、何十回も繰り返されると、男の感情に変化が表れた、[楽しまれているのか、馬鹿な]動揺が現れる。隙が生まれた、男の首に刃が当てられた、精神魔法で眷属にする。
二人の男から魔族の全体像を聞いた。魔王とはこの国を統べる国王のような存在、十人の勇者がいる、幻影魔法の使い手である、この世界だけでなく、どの世界にいっても、これほどの使い手は、いないだろう。勝てるわけが無い、ツキヨミほどの神が一瞬精神魔法にかかるのだから。
「ツキヨミ様、嬉しそうですね、」影丸の言葉にツキヨミは答える「こんな楽しい事があるか、その10人を眷属にした場合、魔族は大丈夫なのかな、国は保てるのか、しかし欲しい」魔王に会わなければならないな、と考えるツキヨミだった。
眷族にした二人のおかげで、魔王に会うことは、容易くできた。美しい女性だった。あった瞬間、ツキヨミは魔王に精神魔法を掛けた。深い意味はない、とにかく穏やかに話し合いたかった、10勇士をもらっても国が保てるか? 人間の国家に蹂躙される恐れがないか? 人間国家はいまやツキヨミの協力者と部下の国だ、だれも知らないが。
ツキヨミは言う、「私があなたの国の十勇士を貰い受けた場合、あなたと、あなたの国が困る事を教えてください」余りに単刀直入な問いに精神魔法にかけられた女王は、不審に思うこともなく答えます、「人間の国が異世界から勇者を召喚して、わが国を蹂躙するでしょう」「異世界から勇者が来なければ、十勇士がいなくとも対抗できますか」「出来ます」「なぜ、人間はあなたの国を蹂躙しようとしますか?」「マナ結晶が多く産出できます、人間の国には少ない」「人間はマナ結晶をどうするのですか」「異世界の勇者の召喚につかいます」「人間の国家の目的はなんですか」「わかりません」問題は人間の側にあるようです。「また此処にきて宜しいですか」ツキヨミはお願いする、女王はニッコリして是非来てください、あなたが来たらすぐ通すように皆に伝えます、と言った。
「ツキヨミ様、十勇士はすべて精神魔法で部下にしました」影丸の言葉にツキヨミはニッコリする。
ツキヨミと影丸はマナ結晶体の鉱山に向かった、十勇士の案内なのですぐにわかった、むき出しのマナ結晶体がごろごろある、おそらく、この星のマナ結晶体のほとんどがあるのだろう、このマナ結晶体をツキヨミや影丸のいる世界から僅かに異なる亜空間におき神威により関連付けば、自分の体の一部として使える、いや、たとえ影丸の心臓や脳といった重要器官を亜空間におけば、戦いで心臓を貫かれようと、生きている。試したくなった。
「影丸、異世界の人間を召喚できると思うか」ツキヨミのといに「大きな魔法の力と術式、人間には無理だと思います、多分神が関わっていると思います」
ツキヨミは魔王の前にいる、「お聞きしたいことがあります、あなたと、あなたの国にとってマナ結晶体は重要な鉱山なのですか」「私たちは使いません、必要ないものです」「ならば、この国にあるすべてのマナ結晶体を私に譲ってくれませんか、対価は払います、今すぐでなくとも良いです、皆と相談して考えてください」
「影丸、精神魔法で魔族の貴族は協力者に、部下は影丸の配下にしろ、このままでは、とんでもない悲劇になりそうだ。」ツキヨミの言葉に影丸はすぐに動きます。
ツキヨミたちが呼込まれた魔方陣、書いてある術式はすべてわかる。古代遺跡にあった図書館のなかに、魔方陣の考え方があった。応用の仕方で召喚魔法になる。ためして見るか、
ツキヨミは召喚魔方陣を描いた、最初はこの世界のダンジョンに住む魔獣を思い描き、召喚する、光とともに狼に似た巨大な美しい魔獣が現れた。「汝、我の眷属となるや、まとらわねば我に戦いを挑め。」獣はツキヨミに頭をたれた。
次に境界の狭間に住む最強の魔獣を思い描く、魔方陣に向かい召喚する。光とともに黒猫が出てきた。「汝、我の眷属となるや、まとらわねば我に戦いを挑め。」黒猫はツキヨミに戦いを挑んだ。さんざんな目にあって魔獣は頭をさげた。
その次にツキヨミは時空の狭間の最強の魔獣を呼び寄せた、「汝、我の眷属となるや、まとらわねば我に戦いを挑め」
召喚されたのは隼であった、魔獣は戦いをさけた。時空の狭間ではツキヨミは有名人であった。だれが逆らう。
これからが問題である、だんだん難易度を上げていった。「異世界に住む最強の魔獣よ、ツキヨミが命じる、我が眷属となす為、汝を召喚する、いでよ! 」たちまち暗雲が起こり巨大な虎が姿をあらわした。負けたらこまると思いながら、さっきの言葉を言う「汝、我の眷属となるや、まとらわねば我に戦いを挑め。」虎はツキヨミの顔をぺろりと舐めて、傍らにはべった。頭をたれていないけど、大丈夫かな、ツキヨミは不安である。
要領は、わかった、これが普通の人間に出来るのかが問題だが、分らない、人間を召喚して見たかったが、もとの世界にかえす自信がなかったため、やめた。
転移陣で人間の国に戻り、国王に会う、「国王陛下、お久しぶりです、お元気そうで喜ばしいことです」「ツキヨミ、今日は何か大事な話があるとか」「はい」
「勇者の召喚の件ですが、いままで、何人の勇者を召喚したのでしょうか」
「20人位かな、いま生きているのは三人だけだ」王の言葉にツキヨミの目に悲しみの色が浮かぶ、
「その三人はいまどこで暮らしていますか」「わしと、あとは召喚のときあった男だ、もう一人は公爵だ、おまえが助けた娘の父親だ」「召喚は神の祝福で始まったのですか?」ツキヨミは緊張して聞く、場合によっては神同士の戦争になる。「神はいたが、いまは眠りについている、ダンジョンの下に古代遺跡があった、いまは誰も行けない、この間まで行けたのに無念だ」と王様。ツキヨミは古代遺跡を結界で隠してしまったことを思いだす。「魔王との戦争がしばらく無いと、王様が言ったのは、神様が眠ってしまったからですか」「そうだ」「神様がいないと、勇者の召喚も出来ないのですか」「そうだ」
「魔王を倒したら、あとは、どうするつもりなのです」「マナ結晶鉱石を魔族の国から奪う」「奪ってどうするのですか」「神が命令した、いまはいない」このようにして王様との会見はとりあえず終わりです。
魔王の国に戻ってきました、転移陣は便利です。
「影丸、古代遺跡をもう一度調べよう、神は古代遺跡に住んでいるようだ」ふたりは、転移陣を通りダンジョン最下層の古代遺跡に着きました。入れるのはふたりだけです、やがて見落とした小部屋を発見しました。巧妙に隠蔽されているので、わかりませんでした。
小部屋にあったのは転移魔法陣です、神はここから出入りしていたようです。転移陣はどの空間に繋がっているのか、入ってみないと分りません。だれも入りたくないです。




