精神魔法
魔法の訓練も何とか終了し、こんどは、実技試験です。この王都には巨大なダンジョンがあります、ツキヨミもアニメでダンジョンと言う言葉は知っています。少年が冒険者にあこがれてダンジョンに入るのです、モンスターを倒すと、アイテムがドロップして出てきます。それを冒険者ギルド持って行くと買取ってくれるのです。ツキヨミと影丸は張り切ります。娯楽の無い時空の狭間にいたら、血の滲む訓練だって楽しいです、頑張ります。
「今日はこのダンジョンにもぐってもらう、1Fを完全制覇せよ」教官の命令は絶対です、ツキヨミと影丸は1F制覇に向かいます。なにせ巨大ダンジョン、1Fといっても広大です、迷路や罠がいたるところにあります、洞窟の入り口は露店が多く出ています。「魔物は切っても一晩で復活する、遠慮なく退治しろ、アイテムは全部お前たちの今日の日当だ」この言葉に勇躍前進して魔物退治をします。
怪物、魔物を貸し与えられた剣で斬るとアイテムがドロップしました、不思議な世界です。面白くなり、全ての魔物を退治しました。時間が余ったので2F、3Fと降りていくと少しずつ、魔物が強くなって来たのがわかります。あまり不自然にならないように帰ることにしました。袋につめたアイテムは大黒様の袋のようになり、影丸が運びました。
ギルドで換金してもらい、街の見学です、一日で一人50万ぐらいになりました。ツキヨミ様、面白かったですね、明日も頑張りましょう。
そこに血だらけの男が飛び込んできました。「大変だ、魔物が街の人を襲っている」すぐにギルドの強制依頼により、そこにいる全員が魔物退治に向かいました。「ツキヨミ様、あれを、」影丸の言葉に反応して視線をむけると、若い女性が顔から真赤な血を出しています。「影丸、魔物をよせつけるな」ツキヨミは女性の顔に手をかざし、治癒魔法で治療します、ひどい傷です、顔は女性の命、全力で女性の顔を復元します。
被害は大きく怪我人が多数でました。影丸とツキヨミは治癒魔法に掛かりきりで、魔物の方は他の冒険者にまかせきっりです。
次の日、国王から呼ばれ、公爵に会います。「ありがとう、君のおかげで娘の命が助かった、顔に傷ひとつ無い」この国に来て初めて人に感謝されました。この方と王様に精神魔法で協力者になってもらいました。敵対するものは皆、影丸の部下です。
国王から感謝の気持ちとして、土地を提供されました。しばらく魔王との戦いは無いそうです、土地は広大ですが荒地です。開拓して住めという意味でしょう。ツキヨミと影丸は毎日ダンジョンにもぐります、何とか建物を建てないとまずいからです。
今日は4Fから6Fまで降ります。各階にダンジョンマスターがいるようです。影丸独りが頑張ります。深い階層だとアイテムが高額になります。今日の売上げは100万円です。明日は7Fから9Fまで予定しています。ツキヨミは最下層までいって探検ごっこをして遊んでいます。
「影丸、最下層で面白いものを見つけた」「なんでしょうか?」
最下層にいるツキヨミの前に古代遺跡がありました。中に入ると、保存状態は良く図書館、多くのロボット、工作機械、素材の山がありました、オリハルコン、アダマンタイト、ミスリル、まだまだあります。図書館から魔法の本を探して速読術でよみます。目をカメラのようにしてページごと目を通します、読んではいけません、目に焼き付けた文字列が後から文章として脳で組みあがってきます。これによるとフュージョン魔法があります。素晴らしいことです、溶鉱炉、精錬所が必要ありません。大体精錬済みの純度100%素材の山があるので、これを使えばいいのです。
取り合えず、ツキヨミは最下層全部に強力な結界を張り、隠蔽工作もバッチリ、転移魔方陣を作りました。これで最下層にはツキヨミと影丸以外は入れません、富の独占です、きたないです。
今日は影丸とロボットの修理です。半自動の工作ロボットで農耕用に使うつもりです。人格がないので気がらくです。取り合えず10体修理して頂いた土地に送ります。広大な土地をすべて開拓して農場、牧場にするつもりです。24時間働いてくれるのは、嬉しいです。
国は協力的です、国王始め貴族はすべて協力者です。あとの者はみな影丸の部下です、怖い話です。でもツキヨミは協力以上のものを求めていません。だれも国家は今までのまま、国王が統治して貴族がそれを実行すると思っています。自分の意思だっと思っているから怖いのです。精神魔法はいけません。
ツキヨミは古代遺跡の全ての本を読みきり暗記しました。やはり神様は違います。影丸も頑張り、全てのロボットを修理しました。いまツキヨミと影丸の館を造っています。ツキヨミより芸術学園の全ての技を伝授されました。詳細な建築図面を書き、ロボットたちを指示しています。ロボットは半自動のため命じられた仕事以外出来ません。指示のための簡単なプログラムもツキヨミが読んだ本の知識から覚えました。古代遺跡からPCが発見されました。作業は飛躍的に能率化しました。
まだ作物も出来ません、化学肥料の工場も作りました。燃料は取りあえずメタンガスを使って動力としています。この辺りの山には地下に大量のメタンガスがあります。ただパイプを挿しガス貯蔵庫を造れば簡単に実用化出来ます。
ロボットの燃料は原子炉です、今期の収穫まで使い、後は安全を確認してから、停止状態にして元の場所に保管するか、だめなら太陽に破棄するしかありません、ツキヨミが持っている知識よりかなり遅れています。そのための計画も影丸によって図面化されています。
魔法のエネルギーはやはりマナでした、大気中にマナ魔法エネルギーが充満していますが、あまりこの世界に干渉したくありません、マナ原動機は作成せず、開拓、土質改良、1期目の作物収穫が終わったら、あとは人を雇うか、農地として売却した方が良いと影丸と話し合いました。収益は大幅に減りますが、ツキヨミたちは、時空間の旅人に過ぎません、いつ時空の狭間に呼び戻されるか分りません。




