あとがき
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
(ここまで読んでくれた人、いるかな?)
タイトルで丸わかりの通り、この作品は「親子」をテーマに書かせていただきました。
ジャンルはファンタジーにしていますが……その皮を被った、私自身の「私小説」です。
ご察しの通り、私は親と喧嘩したままずっと会わず、その死に目にすら会えずに二人を亡くしました。本当に、バカな息子でした。
── 主な登場人物の設定
• コーセー:親の死に目に会えなかった「私」そのものです。
• エマ:地蔵菩薩、そして閻魔大王。
仏教では、閻魔大王は地蔵菩薩の化身(同じ魂が姿を変えたもの)とされています。地獄に落ちた死者を厳しく裁くのが閻魔の役目ですが、その本尊である地蔵菩薩は、地獄にまで赴いて人々を救おうとする慈愛に満ちた仏様です。まさに、私が描きたかった理想のヒロイン像でした。
• キアラ・ノッテ:中学生(思春期)の頃の私。
親に良い顔をしたい自分と、隠れてヤンチャする自分を表現するために、あえて「さるゆき(偽りの姿)」に憑依させました。双子にしたのは、親が大好きで、同時に大嫌いだったあの頃の心の葛藤です。
• マリン:高校を卒業し、親と大喧嘩して家を飛び出した頃の私。アサシンなのは、当時の私が重度の厨二病を患っていたからです。
• ヤスオ:結婚から1年を待たずにバツイチになった、21歳くらいの私。すべてを失い、酒に溺れていた本当にバカな時期の姿です。
• クルス:現在の私です。子供を授かり、初めて親の気持ち、その愛の深さを理解できた自分を重ねています。
• レンレン:私が憧れる「親の在り方」です。誰に笑われようが、子供のためなら何だってできる、そんな親になりたいという願いを込めました。
• マミ:幼少期の私。とにかく悪ガキで、よく親に電柱にくくりつけられていました(笑)。
── ストーリーに込めた設定等
① タイトルはミスリード
コーセーは、本当は「親より先に死んでいません」。
この設定にしたのは、私自身が親の死という「現実」を受け入れるまでに、それだけの時間が必要だったからです。「自分が先に死ねば良かった」と思った、かつての私の心の表れでもあります。
② エマが一緒に蜂になった本当の理由
「親より先に死んだ」というコーセーの嘘(罪悪感)を、閻魔でありながら否定せず、見逃して付き合ってあげたからです。嘘をついたペナルティとして、彼女は無断欠勤扱いになり、蜂へと落とされました。彼女は最初から、彼を救うために一緒に落ちてくれたのです。
③ 海底国家をファンシーにした理由
親と喧嘩して飛び出したマリンが、国(親)に帰ったら大歓迎されるエピソード。
「親は実はたいして怒ってないよ」ということを、物語が重くなりすぎないように描きたいためのファンシー空間でした。
後から兄弟に「オヤジは別に怒ってなかったよ」と教えられた、私のバカさ加減の裏返しです。
④ 乱発していた「スキル前借り」をやめた理由
これは冒険譚ではなく、コーセーの「心の成長」を描いた物語だからです。時空旅行ができる世界観なのに、過去のやり直し(喧嘩の前や親が生きている時代への帰還)をしなかったのも、「やり直せない現実の中で、今、自分にできること」を見つめ直すための更生期間だったからです。
⑤ 「4回目」と「5回目」の地獄
第60話で、コーセーはアマーラのお誕生日会を「4回目の地獄」だと言っていました。
そしてエピローグの最後、10分間の帰還を終えて目を閉じた彼が、本当の最後にたどり着いたのが「5回目」の地獄です。
人は死ぬと地獄で10回の裁判を受けると言われており(四十九日などの法要の由来です)、その「5回目の裁判」を担当するのが、まさに閻魔大王なのです。
「またエマの所に戻って来れるんだろ?」「ええ、ここに戻って来るわ」という約束は、この法廷での再会を指していました。
⑥この物語の終わり方は、ハッピーエンドにも、バッドエンドにも見えるように書いたつもりです。
最後にエマが告げた、
「二堂幸成。判決を言い渡す──」
この後に続く言葉が、「私と結婚すること」なのか、それとも「地獄行き」なのかは、読んでくださった皆さんの捉え方次第です。そのため、この後の展開を外伝や後日譚で書く予定はありません。物語はここで閉じさせていただきます。
結論として、私が何より伝えたかったこと。
それは、「後悔しないように、今、大切な人に言葉を伝えてほしい」ということです。
親と仲が悪い方は向き合うきっかけに。仲が良い方も、普段言えない感謝を伝えるきっかけに、この小説がなれたとしたら。
どなたか一人にでもその想いが届いた時、私がこの物語を書き上げた甲斐があるというものです。
人生に、やり直しはきかないから。
以上、田舎浪漫でした。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!では、また会う日まで。




