⑧変態との最終対決!
その時だった。
何処からともなく、真っ赤な風船が、フワフワと飛んできた。
「何これ? 何で風船が?」
それは私の目の前で、ピタリと止まる。
何気なく両手で、それを掴もうとした瞬間——
パン! と、破裂した。
一瞬、鼓膜に痛みが走った。
すると、モクモクと煙が広がり、人影が浮かび上がる。
ここで姿を現したのは、やはりマサクニだった。
『キシシシ……』
「わわっ、出たぁぁ!」
私は急いで、茜の背中へと隠れた。
強くなった茜は腕組みをして、自信に満ちた声で宣言する。
「来たか、変態ジジイ! 今度こそ、ボッコボコにやっつけてやるからね!」
『はっ、ちょっと見ない間に、小娘ごときが調子にのりおって!』
マサクニは、全身に力を込めた。
『どうやって文章を元に戻したのかは知らんが、この技を喰らえば、ひとたまりも無いぞい! 今度こそ、この小説は終わりじゃ! キシシシ』
なにか、またとんでもない攻撃をしてきそうな気配があった。
『お前ら小娘が、最も嫌うものを出してやるぞい!』
……最も嫌うもの?
『それは、これだっ! くらえっ、ゴキ◯リ一万匹シャワー‼︎』
ええっ、ちょっとー‼︎ 嘘でしょ‼︎
マサクニが空に向かって、大きく口を開ける。
すると口の中から、黒い霧が上空に放出された。
ブワッ!
途端に、夜が訪れた様に暗がった。
それは、ゴキ◯リの大群だった。
「うっぎゃあぁぁぁぁーーーー‼︎‼︎‼︎」
ゴキ◯リの雨が降ってくる!
私は両手で頭を抱え、しゃがみ込んだ。
「春香、心配しないでっ!」
「え?」
力強い茜の声がして、私は片目だけ開いて見上げた。
自信に満ちた表情の茜が、上空へ向けて、両手を広げる。
「チョコになれーーー‼︎」と茜。
キラキラキラッ……!
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線香花火の様な綺麗な光が、視界いっぱいに広がると、ゴキ◯リはハート形のチョコへと変わった。
バラバラッ!
辺り一面に、チョコが落ちてきた。
私は、ゆっくりと立ち上がった。
「凄いね茜、チョコに変えちゃうなんて」
「まあねー」と、茜は得意げな顔をした。
あれ?
茜がクチャクチャと、口を動かしている。
「何か食べてるの、茜?」
「チョコだよ」
「ええっ‼︎ それさっきまで、ゴキ◯リだったんだよ!」
「でも美味しいよ。春香も食べてみなよ、ほら」
「いや、いいよ、いらないよ!」
『お、おのれぇ……‼︎』
怨みのこもったダミ声がした。
私はハッとして、マサクニに目を向けた。
『ワシの奥の手を……お菓子にしよって……。もう手加減はなしじゃ。二人とも、トマト潰したみたいに、グッチャグチャにしてやるぞい!』
「ええっ、なんか凄い怖い事を言ってるんだけど……」
私は再び、茜の背中に隠れた。
マサクニは、サッカー用のゴールポストに向かって、手をかざした。
目測で高さは二メートル、横幅は五メートル程はありそうだ。
グラッ!
なんと念力により、その大きなゴールポストを宙に浮かせた。
だが、茜も負けていない。
マサクニと同じように、念力で重そうな朝礼台を、宙へと持ち上げた。
こちらは縦横、一・五メートルほどだ。
パラパラと砂を落としながら、鉄製の物体が二つ、宙に浮かんでいる。
その異様な光景に、私はゾクリとした。
『くらえっ!』
先に攻撃を仕掛けたのは、マサクニだ。
殺意に満ちたゴールポストが、猛烈な勢いで、私達に向かって飛んでくる。
茜も、朝礼台を投げつけた。
同じく、猛スピードだった。
ゴールポストと朝礼台が、空中で激しく衝突する。
バキーン‼︎‼︎ \\\\☆////
耳をつんざく、金属性の激しい音。
その衝撃音が伝わって、私の身体は小さく揺れた。
つづく……




