⑥変態との対決に向けて
頼りない阿部さんだが、ふと余裕の笑みを見せた。
ゆっくりと私達に、掌を向ける。
「ですが、心配はいりません」と言い、胸の内ポケットから金色の液体が入った、怪しい小瓶を取り出した。
「何ですか、その気味悪い瓶……」
私は嫌悪感を抱きながら、問いかけた。
「これは闘神水と言われる、僕の生まれ故郷で古くから伝わる、聖水です」
「それで……?」
「これを飲めば、一時的に超人的な力を発揮出来る! ……らしい」
「らしい⁉︎」
「いや本当に、飲めば必ずマサクニを倒せる! ……と願う」
「願う⁉︎」
思わずツッコミを入れる私に、阿部さんが小瓶を近づけてきた。
悪徳セールスマンの様な笑みを作り、ポンと小瓶の蓋を取る。
「いやっ……!」
私は逃げ出したくなった。
「いいから、いいから。ほらっ、騙されたと思って。飲んでみて下さい!」
「うわっ、ちょっ、くさ、臭いですよ! 色といい、これオシッコじゃないですか?」
「大丈夫ですよ、ほら僕を信じて、一気に!」
「臭い、息が出来ないっ!」
見るに見かねた茜が、私達の間に割って入った。
「ちょっと阿部さん、やめなよ! 春香が嫌がってるじゃん!」
そう言って茜は、阿部さんの持つ小瓶を取り上げた。
「……私が、飲むよ」
「えっ? 茜、いいの? 凄い刺激臭だよ」
「でも、これを飲めば強くなれるんでしょ? 私、強くなりたい! それで、あのジジイをやっつけたい!」
「でも……」
パチパチパチ……。
阿部さんが、感心した様子で拍手をする。
「いやぁ、さすがです! 茜さん……でしたっけ? 君は見どころがあります! さあ、一気に飲み干して! ほら!」
茜は、一つ深い呼吸をすると、覚悟を決めゴクリと飲み干した。
「うわっ、何これ! にっが! オエッ!」
「だから言ったでしょ、茜!」
「オエッ、吐きそう! これオシッコだよ! 絶対にオシッ……、うう……ううう……」
「茜、大丈夫? えっ何? 死ぬの? 死んじゃうの、茜?」
「……ううぅ……うおぉぉぉーー‼︎」
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ー ー カッ‼︎ ー ー
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茜の身体から、七色の光が放たれた。
同時に、茜を軸に渦巻き状の強風が吹き荒れる。
私は乱れた長い髪と、めくれそうなスカートを押さえながら、茜を見た。
彼女はオレンジ色のオーラを発しながら、五十センチほど宙に浮いていた。
足元には、薄っすらとクレーターが出来ている。
「す……凄い……」
異次元の力を持った茜に、私は驚愕した。
つづく……




