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3/11

③変態、再び…!


 いつの間にか、千葉先生の目は赤く充血し、肌の色は緑色へと変化している。


 徐々に口も裂け、ギラギラとした沢山の牙が、音を鳴らし始めた。



「食わせろぉぉぉぉぉぉ!」


 突然、凶暴な声を出し、千葉先生が襲いかかって来た。



「うっぎゃあぁぁぁ!」


 私は悲鳴を上げて、茜と共に逃げ出した。


 体育館から飛び出すと、無我夢中に来た道を辿る。



 途中に、トイレがあった。


 私は茜に小声で話しかけた。



(茜っ! トイレに隠れようよ!)


 茜は一瞬「えっ」と、小さな声を漏らしたが、すぐに頷いた。



 私達は、女子トイレの一番奥の個室へと、身を潜めた。


 両手で口を塞ぎ、乱れた呼吸を押し殺す。


 隣にいる茜も、口を真一文字に閉じて、気配を消そうとしている。




 シーンと、異様な静けさに包まれた。




「どこだぁぁぁぁ!」


 突然、静寂を引き裂く、怒鳴り声が響いた。


 怪物になった、千葉先生だ。



 私は身体を強張らせた。


 今、ドスッドスッと、不穏な足音がトイレ前を通過している。



 緊張はピークに達した。


 フーッ、フーッ。


 口を押さえる指と指の間から、息が漏れた。



 ドスッ、ドスッ……。


 千葉先生の足音が遠くなると、周囲は再び静けさに包まれた。


 引っ張っていた輪ゴムが緩む様に、硬直した体から緊張が解かれる。



 はぁ……助かった……。



 しかし安息の時間は、束の間だった。


 ガタガタガタ……。


 目の前にある、便器が震えている。




 えっ……何……?


 私と茜は息を飲んで、便器をジッと見つめた。


 と言うか、目が離せない。



 ガタガタ……。


 ゆっくりと。


 それは、ゆっくりと。



 閉じていた便座のフタが、持ち上がった。


 もう嫌な予感しかしない。



 やめて……本当にやめて、と心の中で叫ぶが、私の願いは、あっさりと打ち砕かれた。


 やはり便器から、何かが出てくるのだ。




 ——あの変態おじさんの顔だ!




『キシシシ……ワシの創り出した変態異世界からは、逃れられんぞい……』


 首だけ出して、ニタリと笑う変態おじさん。


 私は意識が遠くなりかけた。



「出たなぁ、変態ジジイ……!」


 こんな状況でも、茜は勇敢だった。


 隅に置いてある消臭スプレーを掴むと「悪霊たいさーん!」と叫んで、変態おじさんの顔面に噴射する。



 プシューーー‼︎



『ふんぎゃぁぁぁぁぁ‼︎ 目がぁぁ‼︎ 目がぁぁぁ‼︎ しみるぅぅぅぅ‼︎』


 さらに茜は、洗浄レバーを捻った。


「地獄に帰れー‼︎」




 バシャアーーーー‼︎‼︎




『おごぉぉぉぉ‼︎ 溺れるぅぅぅ‼︎』


 変態おじさんの頭が、クルクルと回転して、水と共に流れていく。



 ゴボゴボ……ゴボボ……。



.   。o

  o

   。

  o 

  。 



 ……え? 何?


 やっつけたの?






つづく……

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