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神位の書  作者: KATSUMI


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幕章 想い

時は四十年前に遡る。

…ここは

…何処なの…


「はっ」

ベッドから飛び起きたのは、一人の女性であった。

女性の髪は漆黒で、艶がありシルクのように滑らかで腰まで伸びでいる。目も特徴的で、きれながの目に瞳が大きく赤眼で妖艶な雰囲気を醸しだしている。唇は薄く小さくはあるが、形はよく綺麗な紅色で魅力があった。

また、体型は細身だが、胸は膨よかで通常の男なら目がいくであろう。


記憶が曖昧だったが、女性は我に返り少し笑みを溢した。

(…成功した)


辺りを見回すと丸い形をした木製テーブルがあり、湯気が立ち上って食欲を誘ういい匂いがするスープとパンが一つ置かれている。


そして椅子が2脚。その一つの椅子に男性が静かに腰掛けていた。


「そろそろお目覚めかと考え、お待ちしておりました」


男の見た目は六十歳は超えているようであるが、服装は白のシャツに黒のベストを合わせて黒のズボンを着用しており、英国紳士のような佇まいである。オールバックにし整った黒髪と凛々しく顎に立派な黒い髭が特徴的だ。


「…どれくらい経ちましたか、居士(コジ)

女性が居士と名乗る男に問う。

男の名は果心居士(カシンコジ)


「はい。三日程でございます、月夜様」

まるで質問される内容を把握していたかのように即答する。



「…まだ開解したばかりの力を使用したため、回復を要する時が必要です。そして…全てを超える更なる力が…」


そこまで月夜が言うと、それも予想していたように果心居士は答える。

「ご準備は出来ております」


月夜は目を閉じる。

(…スサ………。弟いや、天明…この世界…)

数秒の後、ゆっくりと目を開けた月夜。引き返すことができない決意した表情をした。


果心居士は思う。

(月夜様…本当に…よいのですね。

…それが貴方の出した答えであれば、わたくし果心居士は、従うのみでございます)




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



喪失感。

須佐能袁は途方もない悲しみと喪失感を味わっていた。

それと同様に疑問が脳裏に駆け巡る。


(駆けつけた時は既に、シャシは俺の目の前で業火の中で…あの業火は間違いなくシャナの【天叢雲剣(アマノムラグモ)】の力だった)


(一体あの仲の良かった二人に何があった!?…何度、問うても何故シャナは何も話さない)



実際には須佐能袁は二人の戦いを見ていない。

以前から帝であるシャナを密かに妬んでおり、命を狙った反乱とされている。

しかし、須佐能袁は二人の仲も知っており、それが何故、命の取り合いになるまで行ったのかが一向に分からず納得いかない。



(何かある…シャシは弟想いの姉でありシャナを愛していた…妬んでいただと!?…絶対にありえない)





「いかがなされましたか?須佐能袁様」

声が耳に入ってくる。

周りをみると15人全員が須佐能袁の顔に注目していた。

そう今、国の代表達が集まって話し合う場。つまり、大評議会の開催中であった。

「いやーすまないハハハ」



(…シャシ…反乱とされているが、何か大きな理由があるはずだ。真実を知る必要がある…)




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


(あれから四十年…)


(どれだけ調べようが何も分からなかった。十五年前の陽炎の事件、それに十年前の雫の件………全てがシャシが起こした反乱の動機と関係があるのではないか?…)



須佐能袁は考える。

月夜としての能力の進化と魔導へ踏み入れなければならなかったシャシ。

あれだけ慕っていたにも関わらず、姉シャシを殺めた天明。

(天明であるシャナは自由奔放でいつも何を考えているのか分からない性格…しかし帝である天明モードになった時は沈着冷静でいて、時に冷酷な一面も持ち合わせている…)


(全ての始まりは四十年前から始まっていることは確かだ… )






南の大陸の北部にある大国・大和( ヤマト)

その中心にある天空城ウラノスに向かう馬車の中、須佐能袁は外に目を向け流れる景色を眺めながら、一人呟いていた。






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