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僕の目標

最近のトッドは二つのことで頭がいっぱいだった。


一つ目はミルが言っていたこと。

「僕はクラフトマンになる目標ができた」


この言葉はトッドの頭の中で鐘のように鳴り響いていた。

なんだかミルが先頭を走っているようで、遅れを取ってしまったようで、

何だか悔しさが手から滲んでくるようだった。


トッドは自分に語りかけてみた。

「じゃあ僕は一体何になりたいんだ?」


返ってくる言葉はいつも同じだった。

「なりたいじゃなくって、何をやらせてもらえるかだ。

 僕に何かを選ぶなんて許されてない。

 カードゲームも本当に好きで始めたわけじゃないんだ」


トッドはいつも一つ目のことで眠れない夜があった。しかし今は違う。

今は考える前にファイヤードラゴンを眺めるようになっていた。

初めはカードに描かれた鋼の鱗、すべてを切り裂く爪、吐き出す炎。

トッドにはない強さを持っていて、人間にはない美しさがあった。


「完璧だ、絶対だ」


そしていつしかトッドは真剣に思うようになった。

「カードに閉じ込められている……まるで僕自身のようだ。

 このドラゴンが大空を羽ばたくところを、この目で見てみたい」



――トレードショップ『ジョンのお店』にトッドはいた。


「やあ、トッド。久しぶりだね。

 最近トーナメントに参加してないようだけどどうしたの?」


「うん……ちょっとね」


「トッドでも悩むことってあるんだね」


「ミル、ずっと不思議に思ってたんだけどカードに貼るシールのことさ。

 どうして観賞用と競技用に分かれてるんだろう?」


「そう言われれば……観賞用はトーナメント会場以外でも使えるけど、

 競技用シールはダメだよね。試合が終わったら回収されちゃうから」


「しかも競技用にはスペルが書かれてない」


「そう言われればだね」


「これは何か別の仕掛けがあるんだよ」


「うーん……そうかもね。

 トッドは何をやりたいの?」


「えっ?」


「だって今まで『フリースタイル』のカードには興味なかったじゃない?」


「そんなことないよ」


「もしかしてトッドって、そのドラゴンを……」


そう言いかけたミルの口をトッドはふさいだ。


「バカッ、ここでそんなこと言うなよ!

 おじさんに気づかれるだろ!!」



「トッド息できないし、乱暴しないでよ」


「ごめん、ミル」


「僕はそれこそ、おじさんに聞いてみたらって思ったんだけど。

 だってそれを作ったのは半分はおじさんだから」


「それはそうだけど、絶対内緒にしてくれよ!」


「わかったよ、トッド」



トッドは家に帰ってからもカードを眺めていた。


「そもそもスペルが分からないと、どうにもならないな」


トッドは立ち上がって叫んでみた。


「出でよ!ドラゴン」

「ドラゴン!出てこい」

「蘇れドラゴン!」

「戦えドラゴン!」



(だめだ考えるな、感じるんだ)



「燃えよドラゴン!」


トッドはいろいろ試してみたが具現化されなかった。


「ぜんぜん、ダメじゃん」

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