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今日は7月27日、今日もまたいつもの朝を迎えた。貴仁は全く気付いていない。ここにいる両親は偽物だという事を。それを知られてはならない。知られたら、貴仁はどう思うかわからない。ひょっとしたら、ショックを受けるかもしれない。もしかしたら、両親を探しに地獄に行くかもしれない。2人は恐れていた。31日まで本物の両親のふりをしなければ。そうすれば、貴仁は自分たちのものだ。頑張ろう。
「おはよう」
「おはよう」
貴仁はいつものように2階の寝室から降りてきた。いつもに比べて、貴仁は楽しそうだ。どうしたんだろうか?
「今日は元気だな」
偽の優太郎は不思議そうに見ていた。いつも真面目な顔なのに。今日はどうしたんだろうか?
「うん。今日は公園で友達と遊ぶんでね」
「ふーん・・・」
偽物の優太郎は興味がないようだ。今日も仕事で、あまり気にしていないようだ。いや、全く知らないような態度だ。貴仁は少し疑問に思った。だが、仕事ばかりであまり覚えていないんだろうなと思った。
「知らないの?」
「いや、今日行くんだなと思って」
貴仁は朝食を食べ始めた。優太郎は新聞を読み終え、洗面所に行った。歯を磨きに行くようだ。そして、仕事に行く。これがいつもの毎日だ。
「毎日暑い日が続いてるね」
偽物の名津子は貴仁の横に座った。急にどうしたんだろうか? 貴仁は違和感を覚えた。向こうの世界に来る前はそうじゃなかったのに。
「うん。今年はどうなるんだろう」
「わからないけれど、もっと暑くなると思うよ」
今年も暑くなるだろう。ここ最近の夏は、年々暑くなってきているように見える。地球温暖化の影響だろうか? ヒートアイランドの影響だろうか? 危険な暑さが続いていて、家に出る人はあまりいない。
「そうかな?」
貴仁は疑問に思っていた。本当にもっと暑くなるんだろうか? 今年もそうなるんだろうか?
「きっとなるよ」
「そっか」
貴仁は朝食を食べ終えた後、リビングでくつろいでいた。そして、テレビを見ている。その表情を見て、偽の名津子は笑みを浮かべている。もうすぐこの子が自分のものになるのだ。とても嬉しいな。そして、本物の両親は地獄をさまよった末に死ぬ。これが完ぺきなシナリオだ。
貴仁はは洗面所に行き、歯を磨き、支度を済ませた。熱中症対策として、水筒を持っていく事にした。熱中症で倒れたら、大騒ぎになる、そして、両親に怒られると思っているようだ。
「じゃあ、行ってくるね」
「行ってらっしゃーい」
貴仁は出かけていった。すでに偽の優太郎は出勤している。家にいるのは偽の名津子だけだ。
「行ったか・・・」
偽の名津子は振り向いた。そこには龍がいる。だが、偽の名津子以外、誰もそれに気づいていない。
「うん」
「どうだ?」
龍は笑みを浮かべている。順調に両親のふりをしているようで、嬉しいな。このまま来月の31日まで頑張れ。
「公園に遊びに行った」
「そうか・・・」
龍は笑みを浮かべた。元気で何よりだ。それに、魔界から帰ってきて、とても反省しているようで、嬉しいな。それに、偽の両親を本物の両親だと思っているようだ。
と、偽の名津子は気になった。本物の両親はどうなったんだろうか?
「島田優太郎と島田名津子はどうだ?」
「裁判で地獄流しの刑に処された。今日、地獄に流される予定だ」
やはり地獄流しの刑になったようだ。それはよかったな。きっとそのまま飢え死ぬんだろうな。
「そうか・・・」
「こいつが死ねば、ずっと俺たちは人間のままだ」
龍は笑みを浮かべている。これで我々の任務は完了する。そして、いつも通りの日々が戻ってくるだろう。
「そうだね」
「うまくそのふりをしろよ! あと、本当のお母さんを追いかけて地獄に行かせないように気を付けろよ」
龍は気をつけていた。ひょっとして、両親が偽物だとわかって、両親を捜して地獄に向かうかもしれない。そうなったら、貴仁は死んでしまうだろう。そして、家族が全員偽物になってしまうだろう。
「わかった」
「じゃあな」
「うん」
龍は消えていった。偽の名津子は警戒していた。貴仁に正体がばれては大変だ。気をつけないと。
「さて、買い物行くか」
偽の名津子は近くのスーパーに向かった。目的はもちろん、今日の昼食の材料を買うためだ。今日は冷やし中華の予定だ。冷やし中華の素とあしらう玉子などの食材を買ってこないと。
それからしばらくして、貴仁は帰ってきた。
「ただいまー」
貴仁は玄関を開けようとした。だが、鍵がかかっている。
「あれっ、鍵かかってるのか。きっと買い物に出かけてるんだろうな」
貴仁は思った。おそらく、スーパーに出かけていていないと思われる。貴仁は持っていた鍵で入った。そして、すぐに鍵を閉めた。鍵はしっかりと閉めないと。空き巣が入ったら大変だから。
貴仁は勉強をし始めた。今日も頑張らないと。2学期に生まれ変わった自分を見せないと。貴仁は真剣な表情だ。
「また会いたいな・・・」
貴仁は魔界で過ごした日々を思い出した。あの家族もいいな。また会いたいな。今頃、彼らはどうしているんだろうか? とても気になるな。
「ただいまー」
偽の名津子が帰ってきたようだ。その声を聞いて、貴仁は1階にやって来た。
「おかえりー」
偽の名津子は驚いた。まさか帰ってきたとは。もっといるんじゃないかと思ったが。
「あら、帰ってきたのね」
「うん」
貴仁は笑みを浮かべている。友達と遊んで、とても楽しかったようだ。いい気分転換になれたようだな。これからもっと頑張るんだろうな。
「今日は冷やし中華よ」
「わーい!」
それを聞いて、貴仁は喜んだ。冷やし中華はあんまり食べない。まさか食べられるとは。
貴仁は出来上がるのを楽しみにしながら、勉強をしていた。宿題を早く終わらせないと。特に10日に登校日までに提出する宿題もあるから。
正午近くになった。そろそろできるのでは? 貴仁は宿題をいったん止めて、その時を待った。
「できたわよー」
「はーい!」
偽の名津子の声を聞いて、貴仁は1階に向かった。貴仁はご機嫌だ。1階にやって来ると、テーブルには冷やし中華が置かれている。とても嬉しいな。貴仁は椅子に座った。
「いただきまーす!」
貴仁は冷やし中華を食べ始めた。とてもおいしい。やっぱり冷やし中華はおいしいな。
「おいしい!」
その声を聞いて、偽の名津子は笑みを浮かべた。おいしいと言ってくれる事がとても嬉しいようだ。
「ありがとう」
貴仁は食べながら、お昼の番組を見ていた。お昼の番組は、普段見ないから、とても新鮮に見える。だが、あんまり面白くないな。やっぱり夜のバラエティ番組が好きだな。
「ごちそうさま!」
貴仁は食べ終えると、すぐに2階に向かった。また勉強をするんだろうか? リビングでゆっくりしないんだろうか?
「あら、リビング行かないの?」
「勉強するの」
やはり勉強をするようだ。偽の名津子は笑みを浮かべている。貴仁は頑張ってるな。
「一生懸命だね」
偽の名津子は横を向いた。そこには龍がいる。
「ありがとう」
「フフフ・・・」
龍は笑みを浮かべている。今頃、本物の両親は地獄に送られただろうな。
その頃、本物の両親は両手を縄で縛られ、馬車の中にいた。2人は予感している。これから自分は地獄に連れていかれて、死ぬまでさまようんだろうな。そう思うと、2人は下を向いてしまう。
「さぁ、来い!」
ミノタウロスは2人の縄を解き、引っ張り出した。とても乱暴だ。刑を受けるから、こんなに乱暴なんだろう。
「ここで死ぬまでさまよっているがよい!」
「そんな・・・」
2人は信じられない表情だ。貴仁を家から追い出しただけで、こんな事になるなんて。あまりにもめちゃくちゃすぎる。早く元の世界に帰りたいよ。また貴仁と一緒に暮らしたいよ。
「お前が貴仁を追い出した罰だ!」
「そんな事でこんな罰を食らって、命を落とすなんて!」
2人は泣きそうだ。どうか元の世界に戻してくれ。
「うるせぇ!」
ミノタウロスは持っていた鞭で2人を叩いた。
「痛い!」
とても痛い。2人は何度も受けているが、やっぱり痛い。まるでここは地獄のようだ。そして、馬車は去っていった。2人は辺りを見渡した。ここは砂漠のようで、とても暑い。どこまでも続いているように見える。空はまるで夕焼け空のように赤い。だが、太陽が全く見えない。
「まさか、こんな事になるなんて・・・」
「どうしてだ! どうしてこんな世界に連れられて・・・」
2人は絶望した。ここで2人とも死んでいくんだな。そして、貴仁を空から見守る事になるんだな。
と、名津子は思った。ひょっとして、貴仁が訴えたから、こんな事になったのかな? いや、貴仁がそんな事をするわけない。
「まさか、貴仁・・・」
「そんなわけないよ・・・」
優太郎も思っている。こんな息子ではない。きっと誰かが通報して、こんな事になったんだと。
「そうだね。親にそんな事をする子じゃないもん!」
「確かに・・・」
と、目の前には年老いた男がいる。その男も地獄流しの刑にされたんだろうか?
「あれっ・・・」
「この人も地獄流しにされたのかな?」
2人はその男が気になっている。この人は生前、どんな罪を犯したんだろうか?
「わからないけれど、きっと悪い事をやったんだろう」
2人は貴仁の事を思い出した。ここまで愛情をもって育ててきたのに、どうしてこんな事で離ればなれにならなければならないのか。道か時間をまき戻してくれ。あの日、家から追い出さなければ、こんな事にならなかったのに。
「私たち、あんな事をしていなければ、貴仁と一緒にいたのに」
「後悔しても遅いさ。進もう」
「そうね」
だが、2人は前に進まなければならない。この先にきっと元の世界に帰れる術があるかもしれないから。
2人は前に進んでいた。だが、何も見えない。どこまでも続いているように見える。こんなに広い砂漠なんて、見た事がない。これが地獄なんだろう。
「どこまで続くんだろう」
「わからない。でも、進もう!」
「うん・・・」
だが、優太郎は下を向いている。あまりにも暑いし、疲れているからだ。捕まって以降、全く食べていない。このまま自分は飢え死んでいくんだろうと思っている。
「元気出そうよ」
「出したいけれど、ここは地獄だよ」
「・・・、そうだね・・・」
地獄と聞くと、下を向いてしまう。だが、その先に行けば、きっと明るい未来が待っているに違いない。だが、全く明るい未来が見えない。飢え死んで、天国から貴仁を見守る未来しか見えない。この先には何があるんだろう。わからないけれど、突き進もう。未来に命をつなぐためにも。




