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第3話 スライムの奴隷に


 スライムは、人の頭ほどの大きさで、水色、巨大なアカの存在に、おろおろしたように見えた。


 俺は嗜虐心を刺激された。


「ナー・ザル、スライムのそばに、風の刃を放て」


 ナー・ザルは、太い枝を切断する、鋭い風の刃を放った。スライムのすぐ横の地面がえぐれた。


 ゼリーのようなスライムは、右に行こうか、左に行こうか迷ってるように見えた。


「ハハハ、こいつはたぶん、レベル1とかだろうな。そうだ、アカの乗り心地は最高とは言えない。あいつをクッションにしよう」


 俺はスライムを配下にすることにした。

 これが俺の人生を狂わせることになる。


「奴隷化!」


 スライムの下に紫色の大きな星のマークが現れた。


 キーン! という鋭い音がした。

 すると突然、俺の下に、紫色の星が現れた。

 それが光り輝く。


 まぶしくて目が開けていられない。


 なにが起こった? まったくわからない。

 おや? スライムのステータスが見える。ということは、奴隷化に成功したのか。


名前:スライム

HP    :50/50

攻撃力  :10

守備力  :30

魔法攻撃力:10

魔法防御力:30

スキル  :魔法反射

状態   :ヌカタの主



 んん!? ちょっと待って?

 あれ?

 ヌカタの奴隷じゃなくて、主?


 おいおい、どういうことだよ。

 スキルの欄に、魔法反射?

 ちょっと待って? 落ち着こう。深呼吸だ。


 間違いないな。ヌカタの主って書いてあるよ。

 嘘でしょ?


 つまり、俺が奴隷化の魔法を使った。

 だがそれを、このスライムのスキル、魔法反射で跳ね返された、ってこと?


 え? それで、スライムが奴隷化の魔法を俺にかけたみたいになってるわけ?


 ちょっと待とうよ。

 そうだ、倒せばいい。


「ナー・ザル、風の、うううううっ」


 凄まじい頭痛。

 だめだ! スライムに攻撃できない。

 しかもなんだろう。

 あのスライムに、忠誠を尽くさないといけない気がしてきた。


 いやいや、バカな。

 何であのスライムに忠誠を尽くすんだよ。おかしいだろう。


 不思議だな。

 腹が立つ。やばいと思う。

 でも、あのスライムが、とても愛すべきもののように思われてきた。


 やばいやばい。この奴隷化、解除できないのか?


 ん? なんだ、モンスターの死骸のイメージが流れ込んでくる。

 スライムが、目はないが、俺をじっと見ているように感じる。


 もしかして、あのスライムは、モンスターの死骸を食べるのか? つまり食料をもってこいと?


 ふざけるな! 何で俺が、スライムの食事を用意しないといけないんだよ! あほか!

 痛い! 頭痛がすごい!

 畜生! スライムのために、適当なモンスターを倒そう。


 スライムが疲労のイメージを送ってくる。


「ナー・ザル、頼む」

 ナー・ザルに、風魔法でスライムを運ぶイメージ。


 スライムはふわっと、俺の前に座った。

 アカが動き出す。

 スライムは、さっさと食べ物もってこい、と言わんばかりに、モンスターの死骸のイメージを送ってくる。


 腹立つー! でもしょうがないな。だって俺、こいつの奴隷だもん。


 って頭が思っちゃうんだよ! 奴隷じゃないよ! 奴隷じゃない!

 でも奴隷なんだよなあ。


 二足歩行のいのししが歩いていた。

 ソッコー・ゴブリンってやつだ。

 ナー・ザルにしとめさせる。


 ナー・ザルは、俺の奴隷のままらしく、頭をなでると、気持ちよさそうに鳴き声を上げる。いいやつだ。だがスライムに頭をなでられても、同じ反応なのかな?


 スライムは、アカの背中からジャンプし、ソッコー・ゴブリンに乗っかる。体内に取り込もうとしているらしい。


 まずいな。いまのうちに逃げるか。

 イタタタタタ! ああ、頭痛がする!

 おいおい、やばいよ! 勝手にそばを離れることもできないのかよ!

 どうすればいいんだ!


 しょうがない。

 奴隷化は解除できるはずだ。できないわけがない。

 人間を探そう。奴隷化を解除できる人を探し、何とかしてもらおう。


 だがスライムの意にそわない行動はできない。

 そうだ、スライムには眠っていてもらったら? あいつは知能は高くないと思う。


 食欲と睡眠欲を満足させ、時々マッサージもしてやろう。そうして、うまいこと、人間の町へ行き、奴隷化を解除できる人を探せばいい。


 よし、じゃあとにかく、ひたすらスライムに「いい子分」と思われるようにしないと!


 ああ! 何でこんなことをしないといけないんだよ! スライムが主って、どういうことだ!

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