表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SCP財団職員の学校生活 改訂版  作者: 餅屋五平
18/27

第18話―講習・5

ある日曜の昼下がり。五月の勉強会も無事とは言えないが何とか終わったので、もうすぐテストだというのに何も考えず自分の部屋でゲームをやっていたら棚空先輩がやってきた。しかもニヤニヤしていたので、俺は反射的に身構えてしまう。まったく、一体今度は何をやらかそうというのだろうか?

「はい、何か御用ですか?」

「ねえねえ。今日はさ、《部屋》で講習やらない?」

「あ、はい。まあ別にいいですけど?」

「……? ねえねえ、なんで目を逸らしてるの? 隠し事でもしてるの?」

「え?そんな事ないですよ?」

「…ふう~ん。ならいいや。追及する理由もないしね」

中々鋭い人だな…。1週間近く前、烏山先輩…いや、烏山が俺と同じ高校に潜入している財団職員だと分かったが、それは俺に伝えられてない上に、情報が食い違っていた。間違いという事はなさそうだし、それはつまりカバーストーリーが掛けられていて、本来知ってはいけない事だという事だ。知っている事がバレると中々マズいので隠していると言う訳だが…。まあ、多分騙しきれたので今はいいとしよう。

それより、今日は俺の部屋でやるらしい。棚空先輩が部屋に強襲するようになってから部屋は綺麗にするようにしているが。

「よし、じゃあついてきて? 僕の部屋を案内してあげる!」

「はい、わかりま……今僕の部屋って言いましたか?」

「え?最初に言ったじゃん。『部屋でやる』んだって。こんな所じゃ狭くて出来ないよ!」

うん、どうやら俺の部屋じゃなくて先輩の部屋でやるらしい。完全に勘違いしてたが、先輩の言うとおりだ。いくら綺麗にしてるからって、クリアランスが2だと普通のアパートぐらいの広さなので、こんな所では出来ない。

「それとも…この狭い部屋でイ・イ・コ・ト」

「よし、じゃあ行きましょうか?早く案内してください」

「はぁ~……そんなんじゃ女の子からモテないぞ?」

「少なくともあなたからはモテなくていいです」

「まっ! 何て失礼なんでござんしょ!」

「なんですかその口調?」

そうツッコむと、先輩は恥ずかしそうに笑う。全く平和な日常だ。こういうのがいつまでも続けばいいのだが。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ええと…この部屋なんですよね?」

「そうだよ。何? 文句でもある?」

「いえ、何もありません。これも個性だと思います」

先輩の部屋は、なんというか…《《ぬいぐるみばかりなのだ》》、本当に。本人によると、小さい頃に親戚の人がぬいぐるみをあげまくったのでこうなったという。その影響か本人もぬいぐるみが好きなので気に入った物を片っ端から購入していったらしい。取りあえず周りを見渡してみると、継ぎ接ぎの多い小さなクマの人形を見つけた。

「あ、それが今回のSCPのレプリカ」

「え?これがですか?この…子供向けみたいなクマの人形ですか?」

俺はそれを手に持ち上げてよく観察する。こいつの左胸には、正確な心臓型のピンが留めてあり、首には質素なリボンが巻かれていて、生地も色とりどりだ。よく見ると

KAIROS THE BEARクマのカイロスと書かれている。

「そう。それが今回のSCP。SCP2295、『パッチワークのハートがあるクマ』。

オブジェクトクラスはSafeの…」

「先輩。もういい大人なんですから人形遊びはやめてください。それは僕じゃなくてテディベアです」

「ええー…。まあいいや。解説しようか」

そういって先輩は、さっきまで俺に見立てていた愛おしく見つめていた人形を名残惜しそうに放り投げる。あれも高価そうだが。

「まあ、これはさっきもいった通り、Safeのオブジェクトだ。見た目は普通のクマの人形だし、見た目も別におかしくない。でも、このクマの2m以内に臓器を損傷した人がいた場合、異常性が顕現するんだ。それは、自分の口から裁縫道具を取り出して、怪我人の臓器をそっくりそのまま、近くにある布のパッチワークで作りあげちゃうっていう物なんだ」

「へえ。中々良心的で興味深いですね。それで、使える布が無かったらどうするんですか?」

SCPの中では、比較的優しいものなのではないだろうか。しかし、どうにも何か裏があるのではないかと勘繰ってしまう。

「いい質問だね。その場合、自分自身の布や詰め物――中の綿とか毛糸とかね――を使って作る。詰め物を使った場合、毎日1gずつ、詰め物を再生するけど、布を使った場合、自分で再生が出来ないんだ。そのために、周囲に自分で治す用の布が置かれている」

「ふむ……。それで、どうやって治すんですか?」

「まあ、作られた臓器は、どうやってか元の損傷した臓器と入れ替わるんだ。そして、一旦対象者の内部に入ると、周りの血管とかが合併症を一切出さずにくっつくんだ。拒絶反応も無い。まあ、ここら辺はSCPって感じだね」

SCPオブジェクトだからそういうのもあり得るだろうが、やはり不思議だ。布で作られたんだから、医学的に色々変なことも起こるだろう。まあ、それを研究するのも博士の仕事ってことか。

「まあ、こんなものだね。あと、実験記録とかもあるから見てみたら?」

「あ、終わりですか」

最近は講習をやっても短いことが多い。前回もそうだったし、なんだか消化不良に近い感覚だ。

「ああ、聞き忘れていた事があった。ちゃんと答えてね?」

そういうと、棚空先輩の目が、怪しく光る。まさか、あの事がバレているのか? そう一抹の不安を覚えるが、とりあえず肯定する。

「うん、いい返事だ。餅屋くん、君は…。君は、《《アメリカに行きたいかい》》?」

「………はい?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき

どうも、好きな要注意団体は05議会と博士、餅屋五平です。

二つとも何かをパクってますね。05に関してはパクるどころじゃありませんが、中国の要注意団体っぽいなと(失礼)。



さらっと本家を出しましたが、SCP2295は僕が好きなSCPの一つです。いつかやりたいと思ってましたが、とりあえず1つだけ。ストックはまだまだいっぱいあります。


CCクリエイティブコモンズライセンス

SCP-2295

『パッチワークのハートがあるクマ』

http://scp-wiki.net/scp-2295

By Anak ko


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ