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ガラスの世界  作者: 旧式突撃歌
序章~正義の味方の話~
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正義の味方とは?~契約と代価と未来への一歩~

 温かい世界の中にいた。見知った顔が俺を囲み、それぞれが笑い合う。


 食事をし、日の光が俺達を照らすと穏やかな風が吹き、俺は微睡む。目を閉じ、穏やかなその声と風を受け、深い眠りに落ちていく。


「世界を変えたいと願うのかしら?」


 声が聞こえる。鈴の音のように澄んだ声で、何処かで聞いたことのある声。


 誰だ?目を開けようとして、声が聞こえる。


「望みなさい。秋月龍人ーー正義執行人ヒーローとしての自分の在り方を、世界に望みなさい」


 ヒーロー?お前は、誰だ?ヒーローを望めとはどういうことだ?俺に······何を望むんだ?


「その時、貴方は、世界を変える。実にーー正しい世界を堪能しなさい」


 声が聞こえなくなる。俺に何かを告げるようなこの声は、一体何だ?世界を、望め?俺が描く世界?

 いや、それを望めばーー叶う······のか?


 目を開く。穏やかな風と、日の光が俺を包む。何度か瞬きを繰り返し、揺れるカーテンと、柔らかな少し硬めの感触に視線を合わせ、ベッドの縁に寝ているのだと解る。


 伸ばしていた手には、触れる感触がなく、のそのそと起き上がり、身体を包んでいた毛布が床に落ちる。


 夜の事を思いだし、彼女が掛けてくれたのだろう毛布をベッドに戻すと、階段を降りていく。


 階段を降りていくと陽気な鼻歌が聞こえてきて、直ぐにいい香りが鼻腔をくすぐる。


 階段から見える先には彼女がいて、キッチンで料理をしている背中が見える。


 いつの間に着替えたのか、ちょっとダボついたTシャツに、ジーパン姿の背中を見ながら声を掛ける前に欠伸が出てしまう。その音に気付いたのか、彼女は上半身だけ器用にこちらを向き微笑みながら俺を見る。


「おはようーたーくん。今日は卵焼きにしようと思ってたよ」


「······そうか、悪いな。おはよう、未歩。先にシャワーだけ浴びてくる」


 俺は片手を上げながら居間へと向かい、タンスの中から着替えを取り出す。バスタオルはーー多分浴室のほうにあるか。


 新しいジーパンと、上に羽織る用の上着を出し、それを手に風呂へと向かおうとすると、視界に映る彼女を見て、手にした物を落とす。


「な、どうした?何で泣いてるんだ?」


「え?······あ、ううん。何でもない!なに動揺してんの?バカじゃないの?さっさと行きなさい!冷めちゃうからね!!」


 何だ?意味が解らない。困ったように頭を軽くかきながら、落としてしまった物を手に取り、風呂へと入っていく。


 直ぐに洗濯機と脱衣場兼用の場所にでて、彼女が用意した籠が2つあり、洗濯機と向かい合わせに洗面台がある。


 洗面台の上にある扉を開き、綺麗に畳まれたバスタオルと小さなタオルがあるのを確認し、着替えを籠に置き、服を脱いで、もう一つの籠へと放り込む。


 小さなタオルを手にしながら、風呂へと続く扉を開け、使用した後の生温い温度のせいか、冷たさを感じない床を歩く。


 扉を閉め、40度に設定してあるシャワーを捻ると、水が頭からかかり冷たさで体が浮き上がるが、直ぐに温かいお湯へと変わる。極楽、と言うか、気持ちがいい。


 シャンプー兼リンスの一回で済む素晴らしい物品を使いながら、髪の毛を洗う。やはり、気持ちがいい。サッと洗い流し、小さなタオルを濡らしボディソープを染み込ませ身体を丹念に洗い流していく。


 正面にある等身を映す鏡へシャワーを向け、髭があるかチェック。湯気で見えなくなったせいだ。相変わらず変化がない自分の姿を見やる。


 最初に見るのは顔。童顔と言えばそうだが、俺はこの顔がそんなに好きじゃない。もうすぐ、21才になろうとしている自分には、不釣り合いな子供のような顔。


 目は一重のせいか細いし、しかし、何処か人形みたいな顔付きだと言われる事がある。おじいちゃんやおばあちゃんには、中学生のように見えるらしい。情けない。


 タバコを買いに行くと、毎回のように年齢確認が行われ嫌気が差す。


 髪は耳にかかるかどうかくらいの長さ。薄紫色パープルの髪色は、何度か変えたくて色を染めたが直ぐに元に戻ってしまう。原因は不明。


 何度かやったが、何度も結果が同じのせいで、俺は諦めてこのままにしてある。


 欠かさない筋トレの成果はほぼ出なく。細身の体躯で、身長もさほどない。167から1ミリも変わらない。


 唯一成果が出たのは腹筋のみ。これだけは、綺麗に割れているがーーとは言え、貧弱な体躯に嫌気が差す。


 これでは誰も守れない。悲しいほど、理想は遠い。正義の味方には、到底なり得ない。


 情けない自分を見ながら、髭が無いことを確認し、浴室から出る。


 バスタオルで身体を拭きながら、歯ブラシを手に取りーーそう言えば彼女がご飯を作ってくれていたんだと思いだし、口を濯ぐ為の液剤だけ使うことにして、先に洗顔をする。


 綺麗に洗い流し、吹き上げ。ドライヤーをセットしながら、口を濯ぎ、髪を乾かす。


 一連の流れで終えると、バスタオルを籠に入れ、服を着て身なりを整えて完了。扉を開け、居間へと向かうと、彼女はTVを見ながらトーストをくわえていた。


「相変わらず美味そうだな」


 お礼の意味も込めてそう言うと、トーストをモグモグしながら彼女はカップを俺へと差し出す。何時もの合図だ。カップを受け取り、台所へと向かう。


 キッチンの戸棚の下を開け、コーヒー豆とコーヒーメーカーを用意。


 今からドリップ式でだと手間も時間も掛かるのだがーーこのコーヒーメーカーは素晴らしい性能を秘めている。


 コーヒー豆を蓋を開け中に入れる。4杯分程度入れておき、蓋をして、電源を入れる。ガリガリと音がして、豆を高速で粉砕。


 あっという間にコーヒー豆が原型を無くし、粉末になる。この間たった1分ほどでだ。


 粉末になったコーヒーを、ドリップする方に入れ。フィルターをセットしたのを確認。


 受け皿になるのは、先程のカップ。カップを直にセットし、既に準備されているヤカンのお湯を機械へと流し込み満水を確認。


 後は、どのように味を調整するかの問題なのだが、彼女は薄め。そこに、角砂糖一個半、ミルクを少々。いつものブレンドコーヒーの出来上がりとなる。


 設定はもう済んであるので、彼女用の設定をワンプッシュで機械が行ってくれると言うわけだ。


 砂糖、ミルクの補充を確認し、彼女の名前で書かれたブレンドコーヒーを機械に命令。機械が作動する音が響き、いい香りと共に命令に忠実に機械はコーヒーを作り終える。わずか、2~3分でこれを終了。


 俺のカップを用意し、ブラックの濃いめを設定。出来上がり。カップを持ち、彼女の所へと戻る。


「おおー来た来た。待ってたよー愛しのあたしのコーヒーさん!」


「存分に味わうがいい。もう一杯なら出来るようにしておいたからな」


 彼女へとカップを差し出し、受けとると少し冷ますように息を吹き掛け、彼女は一口含む。


「あっつ!!あっついんですけど!?」


「知らん。猫舌のお前が悪い······おい!!俺の卵焼きを無言で食うな!!返せ!」


「い·や·だ!!熱くしたままのあんたが悪い」


 いつものやり取り。平和な日常。俺の好みの固めでよく焦げ目がついたトーストにバターを塗り、食べる。


 卵焼きは、今日は若干焦げ目が多い気がするが、味は全く変わらない。砂糖を入れた甘めの味付け。食べるだけで、穏やかな気持ちになる。コーヒーを飲み、トーストを食べる。


「くぅぅ!!早く冷めてーコーヒーさーん!」


 お願いをする様が地味に可愛い。両手を合わせ、懇願しながら息を吹き掛ける。


 まるで、子供のようだ······体型はそうでもないのが実に残念。


「······たーくん?なんか今、残念そうな表情したのは何でかな?」


 卵焼きを口に含みながら、むせる。あぶねえ、何を考えているんだコイツは?口を手で防ぎながら、飲み込み俺は彼女へとこう言う。


「熱さで飲めないコーヒーが可哀想だと思ったからだ。他に理由はないぞ?」


「ふーん?もしかしてーもっと小さい感じの子を連想したとか?まーちゃんみたいな?」


 何故そこで、あの人の名前が出てくる。これから向かう先を予測しているとでも言うのだろうか?女は恐ろしい。


「うるさい。黙ってそれを飲んでろ。それからーー例の場所へ今日は行くが、お前どうする?」


 俺の問いに彼女は、薄ら笑いを一瞬浮かべ。顎に両手を添えながら、俺を見る。なんだか、悪い顔をしている彼女に、嫌な予感しかしない。


「そっかぁーたーくん。ああいうの好み?ふーん、ファン多いもんねー」


「そういうことじゃない!柳田があそこを待ち合わせ場所にしたからだ。他に理由はないぞ」


 なるほどーと頷きながら、顎に手を添えていたのを崩し少々前屈みに彼女がなる。コーヒーを飲もうとして、無意識にやった行動のようだ。


 ダボダボのTシャツ一枚のせいか、胸元が簡単に見える。薄緑色エメラルドグリーンの下着が覗き、胸元の谷間がそこにある。


 思ったよりも遥かに大きいーーいや待て、何を考えているんだ。無視しろ無視。


 視線を悟られないように軽く上げ、Tシャツが動きでずれたせいか薄緑色の線が1つ肩に掛かっているのが覗く。動きが一瞬止まってしまい、さっき見た光景が頭に浮かぶ。


 慌ててコーヒーを口に含み、彼女は両手でカップを持ちながらコーヒーを飲むと、穏やかな顔をしながら口を開く。


「美味しい!うんうん、あんたが入れたコーヒーは最高だね。でね、たーくん」


「ん?どうした?おかわりならちゃんとあるぞ」


「そうじゃなくて。今日の下着可愛いでしょ?」


 噴き出す。盛大に。ゴホゴホと咳が止まらず、それを見ながら彼女は腹を抱えて笑う。悔しい。


 何故解ったのだ?悟られないように俺は平然としていたはずだ。こいつはエスパーか?


「くふふ······バカみたい!あー、可笑しい」


「く!!ち、違うぞ!別に見たくてみたわけじゃないぞ!!そもそも、そんなダボダボのTシャツどっから出てきたんだ?それのせいだろう!」


「あれー?これのせいなの~?じゃあ、たーくんが悪いね。これだって、たーくんのだし」


 そんな馬鹿な。俺のだとしたら、サイズが合わない。そんなデカイTシャツなどあるわけが······あ、待てよ。そういえば、サイズが合わないのに着こんでいたのが昔あったようなーー


「思い出した?昔、景品応募で当たったTシャツだよ?あたしも協力したし、あの時、お菓子買いまくったよね?」


 言われて思い出した。そうだ、【bonds fragment】の景品だ。アニメを見ていた時の主人公が着ていたTシャツ。サイズがLLしかなかったあれだ。


「ヒーローの為の強化素材か!懐かしいな」


「そうそう、それそれ!凄く懐かしいよね。あれ、意外と美味しいんだよねー」


 そんな話をしながら、時間が過ぎていく。気付けばコーヒーをおかわりし、時計を見ると、ちょうど12時をまわっていた。そろそろ行かないと柳田が待ちくたびれそうだな。


「未歩、そろそろ行くか。柳田が待ちくたびれていると悪いからな」


 俺がそう言うと、彼女は目を見開く。何だ?と思い首を傾げ、彼女は、困ったように唇を微かに震わせると、意を決したように口を開く。


「未歩って、もう一回言って」


「は?何を言っているんだ?お前の名前など、何度も言ってあるだろう」


「違うの!!いいから、もう一回言ってよ······」


「意味が解らん。呼ぶ必要があったから言っただけだ、そんなに珍しいか?」


 彼女はその問いに答えない。肩を震わせ、俺を見向きもせず立ち上がる。意味が解らず俺は頬をかきながら、洗面台へと向かう。


 何だか妙な空気になってしまった。さっきの楽しい雰囲気は一切なく、俺は肩をすくめながら、歯を磨く。


 彼女は階段を上り、早足で上へと向かうと、凄まじい勢いで扉が閉まる音がして何だ?


 考えより早く、バタバタと足音が二階から響くと、彼女は着替えを終わったようで駆け足で階段を降りてくる。


 口を濯ぎ、さっぱりした事を確認しながらさっきのは何だと?問い掛けようと彼女へと振り向くと、彼女はーー


「なんだ?その格好は?」


「ちゃんと見なさいよ。龍人が、思い出すように、ちゃんと見て」


 彼女の格好は、昔の制服。それは、捨てたはずのーー


「やめろ。お前には、それは必要ない。それは捨てたはずだ」


 彼女へと歩く。一歩が大きい。それはダメだ。それは、お前の世界を壊してしまう。


「来ないで!!」


 否定、拒絶。彼女の手が伸びる、俺を押し止めるかのように、両手が俺へと向けられる。


「やめろ!お前はーーそれを思い出すな!!忘れるんだ。無かったんだよ。アレはもう無いんだ!!」


「嘘ばっかり······嘘ばっかり!!私の、私の名前を呼んだのはどうして!?ねえ!なんで!?」


 悲痛な叫び。歩みはとっくに止まっている。停滞した時間、世界が遠い。彼女と俺の世界が交わらない。


「口から勝手に出たんだ。そりゃ、言いたくないよ。俺だってさ······お前が、桜木未歩が、歩みを止めたのなら、俺はお前を守るしか方法知らねえのさ」


 ああ、くそ。忘れてた口調、思い出さないようにしてたのに、俺はこれを無くしたハズなんだ。


 感情なんか、全部切り離すんだよ。思い出すな、思い出すな!!


「じゃあ、じゃあね。私、歩くから、歩くからさ。たーくんは、私を受けとめてくれるの?」


 ごちゃ混ぜになる記憶と思い出。封じ込めていた物が、何故か、俺をただ前に進ませる。


『強くなりたいと願った』


 触れるのは、彼女のーー未歩の腕。未歩は、涙が止まらない。


『この子に未来をあげたかった』


 未歩は静かに力を抜く。腕を引き上げ、俺の世界へと未歩を手繰り寄せる。


『世界は優しくて残酷だから』


 未歩は笑う。俺へと、一番の笑顔を見せる。忘れていた、この子はーー


『正義の味方になりたいんだ。全てを守る為に』


 とても弱くて、とても強いこと。だから、願うのだ。


『それは、真っ赤な光景。幾千、幾万、幾億ーーそれらの全てを死屍累々にしようが』


 未歩は、未歩という俺の世界を構築する半身は、俺と共にあるのだと。


『それら全てが、世界を壊そうが、未来はあると』


 抱き締める。ただ、それがしたい。俺の望み。優しい世界はそれを許す。享受する。


『世界は優しくて残酷だから、手のひらからこぼれ落ちる希望はいつか』


 温もり、離したく無いもの。希望、それは、未歩という名の通りなのだ。


 だから、二人で共にこう言うのだ。


 約束のように、呪詛を唱える。


 忘れない、縛る呪詛を口にする。


『成就する。孤独であれ、世界を変えろ。望め、望むのだ』


 互いに口を開く。同時に、忘れないように、正義の味方は、孤独ではない。だからこそ、未来は輝く。


『世界はそれを許可しよう。忘れるな、決して忘れるな。ここはーー優しい世界』


「「未歩は、未来を歩むと書く。それは、希望なんだよ」」


『願いは叶う。おめでとう。貴方はーー選ばれた』


 目を閉じる。唇が重なる。自然に、ゆっくりとした時間が訪れ、俺の世界は望みを叶えた。


「おめでとう。そして、さようなら」


 声がした、鈴の音のような澄んだ声。聞いた事のある声が響くと、視線が落ちる。


 意味が解らず、ボケっとしたまま、視線が回る。


 体が落ちていく。水が噴き出す。


 それは真っ赤な色だと気付く、視界が描くのは、赤一色。


 いつか見た光景。未歩が、泣いている?


 思い出すのは、小さな路地裏。誰も入り込まない路地裏。


 未歩は、制服がビリビリに破られていた。壁に押し付けられ、何人かの男が群れるようにのしかかる。


 俺は地べたを這いずる。腕や足が変な方向に曲がっているが、無視。芋虫のように這って進む。


 怒声、痛み。視界は真っ赤に染まる。


 彼女に触れるなーー彼女を離せ!!声が出せたか覚えていない。それでも、叫ぶ。


『願うの?貴方は?助けたいと?』


 響くのは、鈴の音のような澄んだ声。まるで甘味な誘い。俺は何も考えず、願う。


 正義の味方がいるのなら、助けて下さい!!


 懇願、俺はそうするしかなかった。正義の味方を信じているからだ。


『何を差し出すの?代価は、何をもって望む?』


 望みが叶うのなら、何でも良かった。俺の命なら安い物だ。彼女の未来がそれで繋がるのならーー


『契約成立。と言いたいとこだけど、それじゃあ面白くない。貴方はーー選ばれたのだから』


 悲鳴が響く。彼女が泣き叫ぶ。こんな押し問答している場合じゃない。


 彼女を救う方法があるなら、今すぐにやるしかない!!


『さあ、差し出すのは何がいいの?選びなさい』


 何でもいい。何でもいいからーー彼女を助けてくれ!!


『じゃあ、こうしましょう。貴方に力をあげるわ。全てを覆す力を、運命すら壊す力をね』


『ただし、代価はーー最も重いものを貰うわ』


 何だ?なんでもやるから、さっさと寄越せ!!時間がねえんだよ!!急いでくれよ!!


『それはーー本当にいいのね?貴方がもっとも意味嫌う方法そのものよ』


 ふざけるな!!そんなものどうでもいい!!未歩を、未来を歩む希望を壊させはしない!!


『いいわ。最高に面白いじゃない貴方······代価は』


 それは、俺の世界を壊すには十分な代価。世界は優しい。残酷で、何処までも優しいのだ。


 だから、俺は願うーー


 救う為の方法を、俺は心の底から願うだけ。


 正義の味方になるために!!


『代価はーー彼女との未来よ』


 こうして、俺は正義の味方になるのだ。優しい世界はそれを叶える。


 そう、これはーー救われる為のお話だから、未来へと向かう先に、彼女が幸せになる為の、最高のお話。


『契約成立よ。おめでとうーー貴方は選ばれたわ』


『始めましょう。新規探求ニューゲームを、貴方が望む世界が優しい物でありますようにね』


 俺は光に包まれる。世界を根底から壊す為の力を得る。


 法外的究極存在チートへと変貌する。


 そう、これは救われる話。未来は希望に溢れているのだから、俺を取り巻く全てはーー


『おとぎ話の始まり、始まり』


世界的感動未来ハッピーエンドを俺は成し遂げたいのだ」


 包まれた光の先に行く。手を伸ばした先に、掴む確かな感触。それに導かれるようにーー


 俺は、目を覚ます

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