077話 聖樹
4-13.聖樹
俺、復活!
良いんだ、別に。美人なお姉様が俺に【ミネル君】と微笑んで呼んでくれる。童帝の俺にはそれだけで褒美となりうるのだ。そう!ただそれだけで俺は・・・最新のあのゲーム、面白そうだったなぁ。
【初めまして、ミネル君。私は樹の大精霊ダイアナ。『ダイアナ=ドリアルド』です。どうぞ、よろしくね】
俺が元気になってから、綺麗な微笑みで自己紹介をしてくれた女性。
俺が急に落ち込んだ事から、少し困惑した超美人さん。いや、すんません、本当。勝手に思い込んで、勝手に落ち込んだだけなんです。もう・・・大丈夫なんで・・・たぶん。
樹の大精霊 ダイアナ=ドリアルド
緑の長い髪の毛、ボンッキュッボンッのスタイル、そしてこの有名声優を起用した綺麗な声。
あ~、なるほど。本当だ、この女の人ダイアナさんだ。俺ってば良く見ろよ。乙女ゲームにも登場したじゃん、この人。
さすがはゲームの登場人物。美女感がハンパない。きっと、この樹の大精霊をデザインした人は男だったのだろう。欲望のままに描いたに違いない。あの、お胸様には男の夢と希望を忠実に描いて詰め込まれている。
そうか・・・大精霊さんだったのか。俺ってばこの人が〝サンタさん〟だとすっかりと思い込み、良く見えていなかったみたいだ。
〝サンタさん〟かぁ・・・あれ?また視界がよく見えなくなったぞ?泣くな、俺。
で、でもさ、まだ確実にサンタさんが居ないと決まった訳じゃない。もしかしたら、サンタさんを召還できるアイテムがあるかもしれないよな?俺はまだ体は10歳だし、夢を持ち続けていたら叶う日があるかもしれないじゃん。よし!
大精霊。
ゲームにも登場する超常的な存在。確か大精霊は、世界に充満するエレメンタル__えーと元素?みたいな物を管理する大切な中間管理職。
神々により、その元素を用いて擬人化されたのが大精霊とされる。そして、その大精霊のお手伝いをしているのが無数に存在する精霊達。乙女ゲームでレギオが説明したのは、こんな感じだった。
「樹の大精霊様!?あ、あああ、あの大精霊様ですか!?古文書や物語などにも登場する、あの!?」
OH!レギオのこんな取り乱した姿、初めて見たぞ。年相応に可愛いじゃねぇか。
まぁ驚くのも無理はないか。人間族の間では大精霊の存在は神々に等しいくらいに崇められているからな。会おうと思っても、そう簡単に会える存在ではない。
・・・あり?なら、なしてYOUはここに居りますのん?
【ええ、そうよレギオール君。ミネル君みたいにレギオ君と私がお呼びしてもよろしいかしら?】
「は、はい!ぼ、僕なんかをお呼び頂けるのでしたら、どうぞそのようにお願い致します!」
やっぱりレギオも男の子だ。美人なお姉たまに微笑みを向けられてお願いされたら、頷くしかないよな。
レギオの突然の変貌に、フェイが変な物でも見たような目でレギオを見ている。
レギオでも大精霊が相手となると、いつもの余裕ある微笑みが無くなってしまうらしい。そうなっても仕方がない状況だけどな、これは。
レギオのスキルにある『精霊の愛子』。このスキルによって、いつも一緒に居てくれる大事な精霊達。その精霊達の親みたいな存在だからな、大精霊という存在は。だから特にレギオにとっては、とても尊い存在なのだろう。
【さて、じゃあさっそく説明するわね。そもそもミネル君が____】
「あんのー、すんません。出来ましたら、もっと気になる事をお教え頂けると嬉しいのですが、良いですか?」
さっそく俺達がさっき疑問に思っていた事を教えようとしたダイアナさんだが、俺はぶった切って質問した。おい、レギオ。そんなに睨むなよ、照れるじぇねぇか。
【あら、なぁに?】
「何故、樹の大精霊様がここに?それに、その『神気が溢れる凄い木』から出てきたように見えたのですが」
乙女ゲームでも、ヒロインちゃん達が樹の大精霊に会うイベントはあるよ?レギオの専用イベントだけど。
でも、その場所は聖なる森深くの泉湧く聖地。王都にある孤児院でなんて、そんな設定では無かったんだけど。
【ふふふっ。それはね、精霊達が言うのよ〝ミネルがね〟〝ミネルがね〟ってね。精霊達があまりにもそう言うものだから、私も貴方の事が凄く気になっちゃったの。だから会いに来たのよ】
お、おう。なんか俺、凄い精霊ハーレムを築いていたみたいだ。嬉しいなぁ、だからあのブチ切れちゃった時に(寝ていた土の精霊以外)みんな心配とかしてくれたんだな。あんなに沢山、王都の空に集まってくれたし。
俺の魔力は聖女の魔力だから光が主軸なので、光の精霊が一番多かった気がする。
【その木から出てきた理由は簡単よ。その若い『聖樹』は私たち『神域』に暮す者にとっての『門』代わりですもの】
・・・え?なに?『聖樹』?『神域』?『門』?
なんか、さらに疑問が増えちゃっう単語が連続で出されたぞ、困った。レギオなら知っているかな?
「待ってください、樹の大精霊様。あなた様が言う通り、その木が『聖樹』で『門』だという事は、もしかしてこの光る木は『聖樹≪ユグドラシル≫』という事なのですか?」
俺がレギオに尋ねようとしたら、先にレギオがダイアナさんに質問した。
・・・ん?でも今、すっごく聞き覚えのある単語が出たような・・・
【ええ、そうよ。まだ若いけど間違いないわ。この木は聖樹≪ユグドラシル≫、聖なる神木です】
・・・≪ユグドラシル≫?
その言葉に俺は思い出す、乙女ゲームの設定を。
___この乙女ゲームの攻略キャラを制覇してクリアしたら解放するシステムがある。
___2. 裏ダンジョン 『ユグドラシル』と『ゲヘナ』の解放
裏ダンジョン『ユグドラシル』 『聖樹≪ユグドラシル≫』
ぐ ぐうぜん おなじ なまえ とか?
ちょ、ちょっと待て。お願いだから、待って!裏ダンジョン!?俺の大事な孤児院の庭に裏ダンジョンが出来てたの!?
アンビリーバ☆ボー \( ~∇~)/
マジか、マジでか!?
あの有名なテレビ番組にどうやって投稿したらいいんだ。絶対に大賞が取れるぞ。あれ?大賞とかあったっけ、あの番組?