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078話 レギオにバレた


 4-14.レギオにバレた



 裏ダンジョン『ユグドラシル』


 え、どんなのかって?クリア特典をプレイしていない俺が知る訳ないじゃん。残念ながら、なーんも知らん。


 姉さんに乙女ゲームを奪われた俺はクリアする事なく、この世界に来ちまったからな。だから姉さんに聞いてくれ。



 【聖樹がまさか王都にできるなんてねぇ。私達、大精霊の間でも重大な知らせだったのよ?普通は森深くの、清浄な水があり、太陽と月が照らし続ける地でないと育たないから】


 それは確かに凄いっすね。育て方が特殊すぎるだろ。


 ん~・・・でも待て。


 窓際だから太陽は程々、月はその時寝てるから知らん。もしかして火とか光の精霊が何かしちゃった?


 森深く・・・まぁ今の孤児院の庭は果物の木や薬草などの草花が生い茂るジャングルだし、野菜も豊富な緑の楽園だ。孤児の女の子を喜ばす為に、最近では綺麗な花々も増産中。


 清浄な水?水の精霊がいるから当たり前のように手に入る。



 ・・・あり?条件そろってりゅ?



 【それに王都という、人々の悪しき欲望が渦巻く場所で育つなんて今でも信じられないわ。この聖樹が育つには『信なる感謝』がないとダメなんだけど、不思議よね】


 『信なる感謝』?そんなの庭に出来た果実を食べた人達から毎日されてるっすよ?〝ありがとう〟って。


 ダイアナさんいわく、普通に森深い場所で聖樹が育った場合は、動物や植物が森の恵みに感謝するんだって。




 【さすがは『聖女』って事かしら?】



 「ちょっ!!??」


 ちょ、ちょっと、ちょっと待ってダイアナさぁあああん。レギオが居る場所で、なんて事言い出すのん!?



 驚く俺の肩に、ポンッと手が置かれる。ビクッ!となる俺。


 「ミネル?なんかさ、樹の大精霊様からとてもとても気になる言葉を僕は聞いたのだけど是非、説明してもらえるかい?君が『聖女』というのはどういう事なのかな?凄く興味があるんだけど」


 ギィギィギィギッ、と壊れた人形の様に俺は後ろを向いた。そこには、それはもうニコやかに笑うレギオール=J=ミクシオロン様が俺の肩に手を置いていた。


 【あら、なぁに?ミネル君は自分が『聖女』だって事、内緒にしていたの?それは悪い事をしてしまったわねぇ。ごめんなさいね?】


 ダイアナさん・・・ダメだ、この人。天然系ドジッ子美女だったか。これでは「レギオっちの聞き間違いだよ☆」と言えなくなったじゃん!



 なんて言えばいいのか分からなくなって黙り込む俺。少しずつ俺の肩に置かれたレギオの手が重く感じる。レギオの笑顔が、すっごく怖いです。


 どうしよう・・・本当に困ったぞ。


 「あのさ、樹の大精霊さん。俺からも質問いっすか?」


 今まで黙っていたフェイがダイアナさんに手を挙げて話しかけた。おやや、もしかして話が変わって有耶無耶に出来るチャンスなのでは?


 「こ、この駄犬!このお方がどれだけ尊いお方か分からないのかい!?そのような____」


 「んだよ、うっせぇなぁ。何でお前は、そんなに怒ってんだよ?」


 フェイの言葉使いに、レギオが激怒。


 まぁフェイは獣人だし、確か狼の獣人が崇めるのは神獣だけだ。大精霊は感謝はすれど、人間族みたいに崇め奉る事はしない。


 【ふふっ、私は気にしないから別にいいわよ?なぁに?質問って】


 「俺は曾ババ様から全属性が使える者は『聖女』か『勇者』だと教わった。ミネルはどう見ても男だ。なら、『聖女』ではなく『勇者』なんじゃねぇのか?」



 話が変わってなーーーい!(泣)



 しかもフェイよ!主人から奴隷への命令はどうした!?絶対遵守じゃないの!?此処には、まだ〝もしかして聖女かな?〟くらいのレギオがいるのに!


 ・・・もしかして「知っている者以外に」ってダイアナさんは知ってるから、フェイがダイアナさんに話すのはセーフなの?知らないレギオに話しかけている訳じゃないから?そんなのアリなのん?


 俺の命令が悪かったのか、命令システムが穴だらけなのか・・・その真実は如何に。



 【私も最初はそう思っていたのよ。でもね、直接ミネル君を見て『聖女』だと確信したわ。私達、大精霊は特別な目を持っているの。人間の本心を視る、特別な目をね】


 へぇ~、異世界小説の定番チートでもある『鑑定眼』とかだろうか?それともテレビで見た霊能力者がやっていた「この人のオーラは赤色ですね」みたいなの?


 【『勇者』というのは眩しく輝き、何人も照らす力強い光りよ。そして『聖女』は淡く輝く、何人も包み込む優しい光り。ミネル君は、どう視ても後者。だから『聖女』なのは間違いないわ】


 お、おう、なんか恥ずいぞ。〝君は凄く優しいのよ〟と美女に言われたみたいだ。


 でも残念な事に、それにはカラクリがある。この体は、本当は乙女ゲームのヒロインちゃんである『ミネルソフィ=ターシア』の物だからな。男になっちゃってるけど。


 確かにゲームに登場したミネルソフィのキャラ設定は素晴らしく優しい人だったよ。〝そんな人間、居る訳無いじゃんw〟と思えるくらいにね。


 だから俺自身が〝何人も包み込む優しい光〟なのかは怪しい。すんごく怪しい。姉ちゃんにせんべぇを取られてマジ喧嘩したもん、俺ってば。


 なので心は狭いッスよ、残念ながら。食べ物の恨みをナメんなよ!



 俺がそんな事を考えていている間も、フェイとダイアナさんの話は続いていた。


 「男なのに・・・か?」


 【ええ。なぜ性別が男なのか、それは私にも分からないの。でも、もしかしたら『創造神』様か『時の大精霊』なら分かるかもしれないわね。あと可能性は低いけど、情報通の風の大精霊も知っているかもしれないわ】


 えーと『風の大精霊』はレギオ専用イベントで知っているし、『創造神』は乙女ゲームにも出てきた単語だ。でも『時の大精霊』は初めて聞いたぞ?


 「『時の大精霊』・・・ですか?」


 【そうよ、ミネル君。『時の大精霊 ジーク=クロノウス』。彼ならあなたの事について、時を遡りあらゆる情報を入手する事が可能よ。だから貴方が何故、男なのに聖女の性質を持っているのか分かると思うわ】



 時の大精霊 ジーク=クロノウス



 やはり知らない名前だ。という事は裏ダンジョンのユグドラシル同様、時の大精霊もクリア後に関係する事で、その時に追加される登場人物なのかも。


 何故、男の俺が〝聖女〟の特性を・・・か。


 正直、それよりも知りたい事がある。俺は何故、この乙女ゲームに居るのか。そして___



 ____俺、〝宮沢 秋斗〟は死んだのか?




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