【揺花草子。】<その1870:続き続ける。>
【揺花草子。】<その1870:続き続ける。>
Bさん「阿部さん。今日は3月11日。」
Aさん「うん、そうですね。」
Bさん「あの悲しい出来事から6回目のこの日を迎えたわけだけど。」
Aさん「6年・・・。早いね。あっと言う間だ。」
Cさん「ホントにそうね。
当事者じゃない人にとっては
遠い歴史の彼方に揺らめく陽炎になるには充分な時間かも知れないわ。」
Aさん「うーん・・・。」
Bさん「被災地復興って言葉がダシと言うか免罪符のような使われ方をしてるのが
散見されるのがちょっと苦々しくも思う。」
Aさん「うーん・・・まあ、そう言う側面もある。
言っときゃいいだろみたいな空気はあるね。」
Cさん「でもまあ、それはそれよ。
さっきも言ったけれども、外側に立つ人、傍観する人々が
当事者意識を失うには充分すぎる時間が過ぎてしまっているわ。」
Aさん「そう・・・かも知れません。」
Bさん「だからこそ、我々当事者はずっとこの先も
あの日を覚えておかなきゃいけないと思うんだ。
みんなが忘れて、あの日の傷跡が綺麗さっぱり消え失せる日が来たとしても、
あの日に起こった出来事、あの日に失くしてしまったもの、
あの日感じた想い──。
それらが確かに、ぼくらの中にあったと言うことまでは、忘れたくはないね。」
Aさん「うん・・・そうだね。
あの日を境にぼくらの周りではいろんなものが変わったし、
あの出来事がなかったらなんてことを想像することはできないけど、
それでも、あの日を乗り越えた記憶は大切にしたいよ。」
Bさん「ぼくら【揺花草子。】的な文脈で言えば、
これまでも毎年この日にはあの出来事いついていろいろ話している。
ぼくらが思っていることはこれまでも何度か語って来たし、
もはや新たに語りたいこともそうはないわけだけど。」
Aさん「うん・・・まあ。」
Cさん「それでも、あの日を回顧し、あの日を思い浮かべるきっかけとして
この日を使うことには相応の意味があると思うのよね。」
Aさん「それは、そう思います。」
Bさん「願わくは、その思いがこの先もずっと続くように。」
Aさん「そうだね。」
改めて前を向くために少しだけ振り返る。
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