7 angel's dead angle (0)
「申し訳無いんだけれど、一人にしてくれないかな。」
僕が頼むと、美好臥魚は小首を傾げた。
「どうして?」
「ちょっと考えたいことが有るんだ。」
「何か悩みが有るの?だったら相談に乗るよ。何でも言って。」
そんな台詞を過去に何度、聞いたことだろう。
「話せば分かるとか、話すだけでも気が楽になるとか、そういう問題じゃないんだ。」
まさに今そういうことを言おうとしていたのであろう美好の表情が、強張った。
誰にも言えない。本当に誰にも言うことができない悩みというのは存在する。
ヒュキアは、言ってもいいし言わなくてもいいと、言ってくれた。
彼女には解っているかもしれないし解っていないかもしれないし、どちらだと僕が思っていても構わないと、そういうことを言ってくれた。
僕は言葉を探す。
こういうときは、どう言えばいいんだっけ。
どういうふうに言えば、なるべく相手を傷つけずに済むんだったっけ。
そうだ。
「他に好きな人がいるんだ。」
僕はそう言った。
「だから、君とは付き合えない。」
美好は自分の口元を手で覆う仕草をした。
「悪いけど、皆のところに戻ってくれないかな?僕は君を送っていくことができない。行かなくちゃならない所が有るんだ。」




