プロローグ2
隔離と管理の日常
改革は徹底していた。
男児は、七歳になると**「男性居住区」**へと強制移送される。
首には生体情報を常時監視する「首輪」が装着され、空を舞う無数のドローンが、彼らの一挙手一投足を、その生涯が尽きる瞬間まで見守り続ける。
毎年行われる厳格な健康診断、知能検査、運動能力評価。
それは「男性」を個々の人間としてではなく、国家を維持するための「遺伝資源」としてランク付けするための儀式であった。
150年後の「奇跡」
混乱と停滞の数十年を経て、50年後には目に見える結果が出始めた。
犯罪率は著しく下がり、教育水準は世界を凌駕。
経済と科学技術は、純化された社会の中で独自の進化を遂げ、かつての崩壊が嘘のような繁栄を取り戻した。
そして100年後。
日本は世界で最も美しく、最も安定した「奇跡の国家」と呼ばれるようになった。
女性たちは誇りを持って自らを「女神の生まれ変わり」と呼び、管理された男性たちを「女神に与えられた愛しき贈り物」として慈しんだ。
教育機関では「このシステムこそが人類到達の極致である」と説かれ、それを疑う者は一人としていなかった。
150年後の今日。
世界は日本を「東方の理想郷」と称賛した。
そこには争いもなく、飢えもなく、ただ洗練された知性と美しさが、白亜の都市を彩っている。
しかし、その高度な平和を支えているのは、慈愛に満ちた女神たちの祈りだけではない。
世界は日本の本当の姿をまだ知らなかった。
《女神国家(日本)の基本データ》
総人口:約1億人(女性:6000万人 男性:4000万人)
出生率:約1.8(次世代人口増加率 約8%で緩やかに増加)
女性は全員が繁殖プログラムに参加 20代での2児出産義務
男性は上位40%のみが繁殖プログラムに参加
長期的遺伝多様性と無意識の近親交配リスクを避ける為の最低安全ラインを確保




