トゥルーエンド
本日2話目投稿。ご注意ください!
俺の愛し子が、無事帰還した。世界の澱を晴らす存在として、この世に彼女が生を受けた時からずっと見守って来た。
俺は闇の精霊。
澱が溜まれば影ができる。それはやがて闇になる。そうなれば俺の管轄だ。
溜まった澱を固めてゴーレムを作り、魔王として操った。魔族たちをコントロールし、秩序を保つ。澱がもたらすエネルギーを適度に発散させねば、世界樹が根から腐ってしまう。
聖女が現れ澱を晴らしてくれる迄、何とか世界を保たせるのが俺の役目だ。
精霊にとって大事なのは唯一母なる世界樹を守ること。魔族が地上を荒らそうが大した問題ではない。
地上の木々の下に落ち葉が溜まるように、世界樹の下に溜まった澱は、神の遣わす聖女にしか晴らすことができない。
だから俺はいつも彼女が現れるのを心待ちにしていた。
外側は違えど、その魂はいつも同じ紺碧の輝きを放つ。
いつか捕まえ、永遠に側に置こうと考えていたが、ルチアに出会って、その思いはいつかではなく、今しか、彼女しかいないとまで高ぶった。
今はまだ地上で自由に羽ばたいていればいい。俺も鳥の姿で寄り添おう。
だが、お前の魂が地上を離れる時、その時こそ俺たちが永遠に一つになる時だ。
◇◇◇
姉がマンションの火災に巻き込まれて亡くなった。死因は一酸化炭素中毒。死体に損傷がなかったことが不幸中の幸いだった。
姉からの最後のメッセージは「ついに隠しキャラルート到着!」というものだった。お気に入りの声優が隠しキャラを務めると言って、普段買わないゲームを機体ごと買い占めたのには驚いた。
遺品の中にそのゲームがあり、セーブデータを見れば、まだメインキャラルートがすべて終わったところだった。きっと隠しキャラルート攻略中に亡くなったのだろう。
姉の供養代わりにゲームを始めてみた。念のため、メインキャラルートを一つクリアしてみてから隠しキャラルートに入ると、全く別の物語になっておりびっくりした。
なぜかヒロインはいきなり竜騎士を目指すし、本来なら討伐途中に出会う仲間たちに学園入学前から会いに行く。しかもメイン攻略対象者達がライバルになって、悪役令嬢が勇者になるなんて、普通ありえない。
何より驚いたのは、隠しキャラの正体だった。姉は悪役令嬢の兄に違いないと言っていたが、メインキャラルートで怪しげに出ていた九官鳥が隠しキャラかよ!
某魔〇英雄伝のトリさんの素顔がイケメンだった時並みの衝撃だな!
エンドロールで、ヒロインと九官鳥の本編スチルが、すべて超絶イケメンの闇の精霊に置き変わったのは感動したわ。ちょっとヤンデレ入っていたけど、あれはアリだと思います!
個人的にはちょい役で私の大好きな声優さんが出てきたことにお得感があった。
彼らを攻略対象者にした追加版出ないかしら?既婚者設定だから無理か・・・・。
完
お陰様で無事完結できました!
ご感想、ブックマーク、評価、誤字報告等本当にありがとうございました!
またいつかルチアとケイトの活躍をお届けできたらと思います。
あとがきのようなものを作者マイページの活動報告に載せておりますので、ご興味ある方はご確認ください。




