33 王都
こどもの日なので初投稿です
「ち、町長!」
倒れている町長の首元に触れる。
「……死んでる」
「そんな……」
「なんてこと……!」
「死んどらんわ!!!」
ぐわっと町長の体が跳ね起きる。なんだ生きてたのか。
「わはは、私の死体偽装術にまんまと騙されたようですねえ」
それってただの死んだふりでは?相手はクマじゃないんだから。
「町長が生きててよかったです、僕としても聞きたいことがあったので」
「なんですかねえ?」
「今回の襲撃について相手のボスから依頼主を聞き出しました」
「ギクッ……ほ、ほお?それは一体誰なのですかねえ?」
「町長はもしかして心当たりがあるのではないですか?」
「守護騎士殿は、よもや私を疑っているのですか?!」
「あれあれ〜?スレイは心当たりがあるって言っただけなのになんで自分の事だと思ったのかな〜?」
おっかしいゾ〜?と某子供になった名探偵の声真似で煽る。けど分かる奴居ねえわ。
「ち、ちが……私は嵌められたんですねえ!」
「嵌められた、とは?」
「あれは、半月ほど前の話ですねえ……」
これ話長くなるヤツだ、という事で省略。
「つまり聖女様をあの連中に引き渡す為に今回の襲撃が来ることを知りながら見逃したと?」
「損害分の金は出すと約束もあったですし、何より断れば住人を皆殺しにすると脅されたんですねえ」
「それで自分で山賊に依頼したのか」
「山賊に依頼?いや、私は何もしてないですねえ」
ん?どういうことだ?
「山賊のリーダーは町長に依頼されたと言っていましたが」
「名前は確か……ロウガ、だったかな」
「ロウガ?大狼のロウガですか?!王国が指名手配している大山賊じゃないですねえ!そんなのと係わりがあるというだけで牢獄行きですねえ!」
え、そうなの?めっちゃ見逃しちゃったけど。
山賊は町長に依頼されて襲ったが、そもそも町長はあの黒ずくめに脅されて襲撃に関して何もしていない。
つまり実際に襲撃を依頼したのは町長の偽物、多分黒ずくめ達が町長を騙って依頼したのだろう。
そうだとすれば、山賊が捕まれば町長とグルだったって事になって町長は山賊と仲良くさらし首だ。
「あわわ、一体どうすれば……」
「困りましたね、そのような大罪人だとは思いもしませんでした」
「どうもこうも、あたしたちは偶然寄った町で偶然山賊の襲撃にあっただけじゃないですか」
「聖女様?」
「この町では最近山賊の襲撃が起きていた、そして今日も襲撃があっただけ……ですよね?」
「……!はい!聖女様の言う通りですねえ!」
「あー、なるほど。スレイも聖女様を守る事を優先して逃亡する山賊は放置したんだよな?」
「えぇ、そうですね。その中にリーダーの様な人物が居たかもしれませんが」
まあ、あんだけ啖呵きる様な奴だし、早々捕まることも無いか。多分、恐らく、きっと。
「それでは、この町は度々襲撃があって、今日も偶然襲撃があって、俺達は聖女様守護の為に参加しただけ」
「あの、ご主人様、これはどういう……」
「アリス、今回の襲撃に黒ずくめの連中は居なくて、俺達はただ山賊をやっつけただけ。って事にするの。つまり……」
見なかった事にしよう。
「えっと……、わかりました」
その後、町防衛に参戦したという事で報酬を貰い、町長にお礼に食事でもと誘われたが日も出てきたという事でそのまま王都に向けて出発した。
「王都に着いたら途中で倒した魔物の売却や食料の確保など、やることがあるから一度解散する方向でどうだろうか」
「僕は構いませんよ」
「ワタシはご主人様に付いていきますので」
「聖女様はどうします?ずっと馬車の中で疲れてないですか?」
「あたし、ですか?いえ、あたしは……」
ちらちらとスレイを見る、護衛対象が一人でフラフラするわけにもいかないもんなあ。
「聖女様におかれましては僕かユートの護衛付きと言う条件であれば外出しても構いませんよ」
「じゃあ……ユートさんにお願いしようかしら」
「俺か、分かった」
朝早く出たおかげもあってか昼になる前には王都に到着した。
「でっか……」
「大きいですね」
「こんな大きなの、あたし初めてみました」
門の大きさで10m以上、さらにその2倍、3倍以上はあろうかと思われる王都を囲む巨大な城壁。
遠くから見えていた時も大きいとは感じていたが、実際に目の前に来るとその迫力は段違いだ。
これだけ堅牢な造りだと入るにも審査とか大変そうだ。実際に王都に入るための列が出来ている。
「これ入るのに半日かかりそうなんだが?」
「そんな心配はいらないよ。ついてきて」
街道の半分を埋めている列の横を堂々と進んでいく、並んでいる連中はスレイを見ると驚きはすれど特に何も言わない。それどころか向かい側から来る馬車が道を外れて譲っている。
ただ、その後に続いている俺とアリスを見ると怪訝な顔になるのはやめて欲しい。
中にはスレイの馬車に付いて行っても入れないぞと言ってくれる人もいた。
門にたどり着き、スレイが門番に話しかけるとすぐに通してくれた。いや守護騎士すげえな。
宿にたどり着き馬車を預ける。スレイが入った宿屋は高すぎたので俺達は近場でもっと安い宿場に入り集合した。
「それでは僕は教会に用事がありますので聖女様の護衛、よろしくお願いします」
「あぁ、まかせろ」
スレイが教会に向かって人混みに消えていったので俺達も歩き出す、まずは冒険者ギルドかな。
多分明日も更新する




