第48話 対ネツァク
邪竜神は竜達に釣られ、飛び上がっていき、その勢いで猛烈な暴風が吹く。
アイがそれを防いでくれた。
俺は俺の役割を果たす為、アイの横を抜け悪魔へと走り寄っていく。
『顕現せよ!シュヴェーラ!』
2本の片手剣を手にし、残りは飛ばした。
悪魔は4本の腕を背中から前へと出し、前で腕を組んでいた2本と4本それぞれに異形の剣を握らせた。
『面白い戦い方をしますね』
そう言って飛ばした6本の剣を弾き返した。
「まだあるぞ」
俺は両手に握った剣を突き出した。だがそのモーションも止められる。
『それも止めましたよ?』
悪魔は余裕だと言わんばかりに煽ってきた。
「それなら」
と、弾かれた剣6本を再び突き立てる。
『それしきの攻撃ではワタクシに届きませんよ』
此方は8本、悪魔は6本だがその全てを見切られてしまう。
「だとしても!」
俺は舞わせている6本に腕が付いているかの如く、振るい回した。
悪魔はそれぞれの腕で止めたが残り2本が止められない。
「貰ったぁ!」
ガキンッと硬いものに触れた音が聞こえた
。
『スミマセンね。ワタクシの翼は鋼より硬いので』
「クッ!」
またしても全て受け止められてしまった。
だが押し通す。そのまま次々と攻撃を繰り出し、悪魔はそれを防ぐ。押しているように見えるが悪魔の口許は緩んでいる。面白がっているのだ。
「腹立たしいな」
『おや、なんの話ですか?』
「笑いを堪えているだろ」
『バレてしまいましたか。こんな楽しいことなど久々でつい』
「チッ!」
防ぐと同時に攻守を入れ換えてきた悪魔の剣が右腕を掠める。
一瞬怯んだ俺に次々と剣を立ててくる。
『もう終わりですか?なら勝利をもらいましょうか』
踏み込んできた悪魔は片側3本の腕が大振りになった。その反対側から背後に隠して舞わせていた盾を叩きつけた。
『なっ!』
よろけて突き出た悪魔の腕を斬り落とした。
「残りは4本か」
『あ、あな、貴様!よくもワタクシの腕を!』
「4本も残っているだろ」
『人間風情が調子に乗るな!』
片側1本と反対側3本に鋼の翼。
(まずはこれらを斬り落とす!)
狙いをつけたのは片側の残り1本の腕。
反対側は此方の剣を捌くので精一杯のようなので、ここぞとばかりに踏み込んで残りの腕へ斬り立てた。が、悪魔は口から黒い弾を放って俺を吹き飛ばす。
片腕で防いだものの、ダイレクトに当たり腕が折れた感覚を感じる。
「クソがっ!」
もう1発飛んでくる。
『いやーすまないねぇ。ワタクシこれでも悪魔なもので』
「見た目からして既に悪魔だろ」
2発目は盾が間に合った。
『しぶとい。しぶといしぶといしぶといしぶとい!!さっさと死になさい!ワタクシに勝利を味あわせなさい!!』
「断る!」
折れた腕から剣を離し他と共に舞わす。




