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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第102話 意地と自我

 


 先行するバハムートの後ろにジルコートが着いていく。

 大海嘯竜はバハムートを見て顔をしかめると、水魔法を射ってきた。

 二体はそれを回避すると、雷魔法と光魔法を撃ちながら更に接近する。

 バハムートの雷が効いたようで、怯み、魔法が止まった。

 そして衝突し合う巨大な二体。

 バハムートを押し退け、問うてきた。


『此岸よ。なぜ人間の味方をする?』


 再び突進し、押しやったバハムートが答える。


『陸の監視者との誓いだ。お主こそ海の監視者の意に背くのか!?』


 反った胴体を向き直しながらブレスを撃ち合う二体。そのブレスはぶつかり合い空中で拡散する。


『我は奴と共にあった覚えはない。我は我のみを信じ、世界の覇者になるのだ!』

『戯言を!』

『グゥッ!いずれは堕ちた天使共に世界は喰われる。さすれば我の勝ちだ!』

『ガァッ!お主はアヤツ等に降ったのか!?』

『違う!貴様には解らんだろう!この世界の行く末が!』


 二体の攻防に海と空は荒れ果てる。

 ブレスが空を割り、魔法が天を駆け、衝撃が海を荒らした。

 バハムートが押され始めた。


『神に背きし者がぁ!』


 放たれたブレスを避けた大海嘯が反撃の魔法を撃った。

 それをかわしきれずに受けてしまった。


『神は滅んだ!いつまでもすがるとはな!そんな貴様などに我は倒せん!』


 そして俺達の方へ顔を向けた。


『人間ごときが我を止められると思うな!』


 水魔法が此方に放たれた。


「あの距離から!?」

「サキ、ギアス、後ろに下がって!」

「ダメだ!ノワの加護がないのに止められる訳ねーだろ!」


 アイが前へ出て盾を構えるのを阻止し、アイ達の前へ。


 放たれた魔法はジルコートが盾となり俺達に届かなかった。


「マスター、ごめん。少し休むね…」


 ジルコートは粒子となっていく。


「ああ、ごめんな。ゆっくりしててくれ」

「ジル…ありがとう」


 微笑みを浮かべて消えていった。



『邪魔をしてくれる』

『邪魔なのは貴様の方だ!』


 バハムートは横からブレスを撃ち不意を突いた。

『グゥゥゥッ!貴様!』


 続く氷魔法により、動きを止められた大海嘯竜はふと空に目を向け、それに気付いた。


『なんなのだアレは?』


 空には魔法陣が広がり、そこから大剣が降り注ぎ、大海嘯竜を襲う。

 大剣の後に現れたのはティリンス・アクロポリス。その姿を見たヤツは叫んだ。


『ガァァァァァッ!き、貴様も、貴様までもかぁっ!!』


 凍らされ動けず、大剣で突き刺され、最後は首を跳ねられてその叫びは止まった。


『哀れだな。使徒は使徒の役目を果たせばよいものの』


 バハムートはそう言い残し、アクロポリスと消えていった。


 ギアスを見やると、膝を突き崩れ落ちそうになっていた。

 それを抱え。


「お疲れさん」

「や、やりました…」


 意識が途絶えたようだ。


「よく頑張ったね。サキもお疲れ」

「ああ、アイもな」



 驚異は過ぎ去った。

 だが召喚獣を失った俺達に町へ帰る手段がない。どうしたものか…





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