第100話 ギアス・リオ・コンチェル
「あれだ、あの島だ」
「マスター、人の気配を感じる」
「一人か?」
「ええ」
「どの辺か分かるか?」
「中心辺りよ」
「よし。アイ、ノワ、降りるぞ」
島の中央に位置する小高い丘に降り立った俺達は周囲を見渡す。
ジルコートは気配を感じているが、人の姿はない。
ジルコートとノワルヴァーデは人化して丘の周囲の探索を手伝ってくれた。
『主、銀の主。こっち』
『え?ノワどこ?』
『こっちよ』
「あっ、いた。サキ!こっち!」
ノワルヴァーデの元へ駆け寄ると、一人の青年が傷を追って倒れていた。
息も荒々しく、このままでは命が危ぶまれる。
「ありがとう。二人ともゆっくりしててね」
「助かったよ。後で喚ぶから宜しくな」
体力を温存しときたいので二体を解除する。
俺とアイで回復魔法を掛け始める。
何度か行っていくと、傷が癒えていき、呼吸も正常に戻ったようだ。
口の中に回復薬を垂らしてしばらく様子を見ていた。
すると青年の目が覚めた。
「ん…あれ?俺は…」
「気が付いたか?」
「!?師匠!!」
「命があったから良かったものの。一人で突っ込んで行きやがって!俺達を待ってることも出来なかったのか?」
「すみませんでした。自分一人で何とかなるとは思っていませんでしたが、それでも何とかしなくてはと思って」
「お前ってやつはよ。まぁ、無事で良かった」
「もう心配かけちゃダメだからね」
「はい、すみませんでした」
この青年こそがギアスだ。コンチェル家の主である。
しばらく見ないうちに随分と大人になったようだ。
「ほんとにニーズヘッグだったの?」
「はい。話には聞いてましたが、あれほどの強さとは」
「見た目と同じだ。全力で勝てるかどうかだ」
「大きさが強さを物語っていました。僕のビスマルクが小さく感じましたよ。」
「ビスマルクはやられたの?」
「はい、しばらく召喚出来ません」
「じゃあアイツだけか」
「そうです、ですが今の僕は制御出来るようになりました。ただニーズヘッグを舐めていた為この有り様だったので召喚してませんけど」
「なら勝機はあるな。ソイツは最高クラスの召喚獣だからな」
「そうね。あんな海蛇なんてさっさと退治しちゃおう」
「師匠方、自分の為に」
「弟子が困ってんだからな。助けない道理はない」
「でも、海じゃ私達はノワやジル任せね」
「悔しいがそうなるな。そもそもあんな化け物相手に人間なんて羽虫も当然だろ」
「師匠、海の方へ出ましょう」
南の海辺でその影が現れるのも待つことになった。
[ビスマルク]
元から召喚獣である巨大鯨。
その巨体は竜以上であるが、残念ながら飛ぶことが出来ず、水中特化となってしまう。
ギアスが父と修行の地で初めて手にした召喚獣。




