35話 闇夜ヲ駆ケル死ノ鳥 前篇
この回には残虐なシーンが含まれています。
苦手な方はご遠慮ください。
本日二話投稿
二話目は17:00投稿予定です。
その日、私は妙な胸騒ぎがして目が覚めました。
窓を見ると、月は明るいものの、まだ外は暗く、夜明けにはまだまだでしょう。
ですが、寝なおすこともできず、喉が渇いた私は、他の子達が起きない様にそっと部屋を出て食堂に向かいます。
食堂に出て、水瓶からコップに水を差し、一息に飲み干しました。
途中、ブリック先生の部屋を少しのぞいてみましたが、今夜はお留守のようです。
別に珍しい事ではありません。
ブリック先生は、この孤児院を維持するために、様々な仕事をしているようです。
こないだまだ幼い年少さんのコマネちゃんが、つい聞いてしまいましたが、ブリック先生はにこやかにほほ笑んで誤魔化していました。
この施設には、ブリック先生拾ってきた子供達が14人暮らしています。
決して楽な生活ではありませんが、生活するのにはお金が必要となります。
それも安くないお金が…ブリック先生のお仕事、それはきっと、私達には知られたくない、決してきれいな事ばかりではないお仕事なんだと思います。
それでも少しでも頼ってほしいと考えるのは、私がまだ子供なのだからなのでしょうか?
そもそも、私は元々この国で生まれた人間ではありません。
8歳の時に両親を無くし、住むところもなくして路地で途方に暮れていたところをブリック先生に拾われ、この町に流れ着きました。
きっとあの時、ブリック先生に拾われなければ、そのまま孤児狩りに捕まって奴隷となって一生を終えていたか、よくても餓死でしょう。
以来、6年の間、ブリック先生が孤児院を立ててからも、今までずっと一緒に過ごしてきました。
今年で14歳、この孤児院の中では一番の年長さんになります。
弟や妹の面倒も一番引き受けなければいけません。
来年からはどこかに奉公に出て仕事をしようと思っています。
それで少しでもこの孤児院の財政が良くなればいいのですが…。
ん?なんでしょうか、外からなにやら言い争うような声が聞こえてきます。
この声は…ブリック先生?と知らない人の声…。
何時もと少し違う声色のブリック先生の声に、私は食堂の裏口をそっと開けて、様子を伺う事にしました。
「我々はこの町を一時出なければならない。…が、その前にせめて、第二目標である裏切り者の貴様の首を貰い受けるぞ!裏切りの背教者『断罪の十字架』ブラド」
「その者は死にました。ここにいるのは、神を呪い、過去を悔い、今を懺悔する哀れな男です。それに…出来ると思っているのですか?あなたごときが」
話の内容はよくわかりません。
でも尋常ではないことだけがわかりました。
だって、男の人の顔は歪に歪んで怖くて、その手には抜身の剣が握られています。
ブリック先生の声も、今まで聞いた事のない、その口から出たと思えないほどに、とても冷たい声を放っているのです。
「くくくっははははは!知っているさ、元とはいえ、序列三位の貴様に、正面から勝てるとまでは思っていないさぁ。だぁ~が!貴様の背中にあるその建物…貴様にとっては大事なものらしいな?」
男の人の顔がますます歪んでいきます。
「!?…ここまで腐っているのか…、子供たちには何も罪はないだろうが!」
ブリック先生の声が怒声に変わり、なんだかとても怖いです。
「背教者がぁ!生きているだけで罪なんだよ!貴様らはなあぁぁ!」
恐ろしい形相のまま男の人がブリック先生に剣を向けてきます。
危ない!
「ブリック先生!」
思わず声が出てしましました。
ブリック先生はローブの袖から刃のない剣の柄の様なものを取り出し、そこから伸びた黄色い光の刀身が男の人の剣を受け止めます。
そのまま力任せにはじき返した後、驚いた顔で私の方を見て叫びました。
「アム!危ないから建物の中に隠れていなさい!」
「でも、先生…あっ」
怖い顔で笑った男の人が、手に持った剣を私に向けて向かってきました。
「…させるわけがないでしょう?」
でも、いつの間にか私と男の人の直線状に移動していたブリック先生が、その剣を止めます。
すごい…どっちの動きも早すぎて、私の眼では全く追うことができません。
「ふふふ」
男の人が再び怪しく笑います。
「…何がおかしいのです?」
「いやぁなに、あのブラドが変われば変わるものだと思ってな。…世俗にまみれ、すっかり鈍ったんじゃないか?」
「きゃっ!」
「アム!?」
いつの間にか、私は後ろから身体を掴まれ拘束されていました。
嘘、全く音もしなかったのに
「アハハハハハ!バーーカ、何で俺が一人だと思うんだよ!なぁプラド、だからお前はまた大事なものを失うんだ!アヒャヒャヒャヒャヒャ」
狂ったような笑い声が耳を打ち、私の目の前に銀色の刃が向けられました。
それからの事を私は今も忘れられません。
その時の私には、それがまるで、スローモーションの様に見えました。
「アムゥゥゥゥ!」
ブリック先生が私の名前を叫びながら、一目散に私に向かって駆け出そうとします。
その後ろから男の人が大きく剣を振りかぶって…危ないと叫びたかったのに、恐怖で声が出ません。
男の人が大きく顔を歪めたまま、ブリック先生の背中を切りつけました。
ブリック先生は地面に前のめりになりながらも、片手を地面について尚も強引に走り出そうとしますが、地面に着いた手を大きな針の様なもので縫い付けられ、更に背中を踏まれて動きを止められます。
地面に、大量の…赤い血が零れるのが見えました。
もう…やめて
ゆっくりと、私に向かって刃が振り下ろされます。
お願い…神様…悪魔でも死神でもいい、私のすべてを上げるから、誰か…
私は静かに目を閉じました。
ブリック先生を、助けて……
ソロモンさんっ!
シュッ…
その時、風が流れました…激しく、優しい風が頬を撫でます。
先ほどまでの嫌な感じはなく、今は誰かに優しく抱かれている感触がします。
この感じは…ソロモンさんに初めて会ったときに似ています。
「遅れてごめん…アムさん、もう大丈夫だから」
優しく柔らかい声…この声は…
微かに開けた瞳から見える光景、そこに居た人は
「シロ…く、ん?」
月明かりの下、反射して淡く輝く白髪とつぶらな金色の瞳、大きく開かれた白く美しい翼、優しく微笑む綺麗な顔をした…少女?あ、そういえば男の子でした。
月明かりを背に、あまりに幻想的で、美しいその光景に息をのみます。
どうやら私は今、お姫様抱っこされているようです。
意識すると、恥ずかしさで、今は少し顔が赤くなっているかもしれません。
でも、私はさっきまで…そうだ、先生!ブリック先生が!
「シ…く、ん…ブリッ…せん、せい…」
シロ君に何とかブリック先生の事を伝えようとしますが何故か声が出ません。
それになんだか…瞼が重くて…眠く…
「大丈夫だよ、アムさん…大丈夫だから安心して眠って。あとは僕達と…ご主人様に任せてくれればいいから」
白い翼が私を優しく包み込みます。
これは…夢?
最後に見たのは、いままで見たことのないシロ君の顔です。
いつも気弱で、タマちゃんとミラちゃんの後を疲れた顔で追う少年の、輝く金色の瞳に怖いくらいに鋭い…怒りを秘めた…か、お
「くっなんだ、今の風は…っ!?小娘はどこに行った!?」
「ふ、ふふふ…」
背中から血を流し、今もトーマスに足蹴にされながらも、どこか愉快そうにブリックが小さく笑い出す。
「…なにがおかしい、気でも触れたか」
「ふふ…いえ、なんでしょうかね、この展開は。これでは、思わずまた神に祈りそうになってしまうじゃないですか」
口調は変わらないが、ブリックはどこか悲哀じみた表情を浮かべている。
ブリックの目の前で、暗闇が揺らめく。
「大丈夫ですよブリックさん。俺はどちらかというと、神よりは悪魔に近い類でしょうから」
「!?おまえは…」
月明かりが照らす中、暗闇の中から勇人が音もなく姿を現した。
「なぜだ…なぜ貴様がここにいるぅぅぅぅ!!!」
トーマスが狂ったように叫ぶ。
勇人はその問いに答えることなく、音もなく一瞬の間で近づき、トーマスの体をその剣ごと弾き飛ばす。
「ブリックさん、無事…ではないですね。すいません、俺が油断して取り逃がしたばっかりに…」
背中から大量に血を流すブリックの傷口に触れる。
勇人の手から漏れ出る金色の光がブリックの傷口を包み込み、瞬く間に塞いでいく。
だが、傷はふさがったものの、ブリックの顔は青白い。
既に流れ落ちた血までは元に戻すことは出来ないからだ。魔法は奇跡ではなく、失ったものを戻すことは不可能なのだ。
「!?君は…いや、ありがとう。それよりもアムは?」
「大丈夫、無事です。傷一つありません…今は眠ってもらっていますが」
「そうか…気遣ってもらってすまない。…これから起こることは、出来れば子供たちには見られたくは、ない」
「そうですね…」
ブリックが立ち上がり、二人が並んで呪い殺さんばかりに睨みつけるトーマスと向き合う。
「さて、クズ野郎…覚悟は出来てるんだろうな」
「調子に乗るなよ…神に唾を吐きし冒涜者に、神に背を向けし背徳者が!生きる価値もねぇ貴様らが今も息を吸って生きていられるのは誰のおかげだと思ってやがるんだぁぁぁ!」
は?なにをいっているんだこいつは…
段々と話す内容すら脈絡なくなっていくトーマスの姿に、冷めた目を向けていた勇人もさすがに疑惑の念を抱き始める。
「いくらなんでもテンション上がりすぎじゃないか?血管がキレそうじゃねぇか」
「教会の闇、そのものである黒影騎士団の末端団員など…皆この様なものだ。長く続けられた洗脳に、精神が半ば崩壊しているのだよ。こいつも、この様子では国に帰ってもどうせ処分されるだけだろう」
「とことんまで腐っているな」
「末端だと…私をそこらの諜報員と一緒にするな!私は黒影騎士団序列第9位!聖騎士の称号を持つ、神の使徒だぞ!」
「おいおい…とうとう、諜報員なのに自分でばらし始めてるぞ?どうするよこれ…」
「こんな奴でも、昔は少しはまともだった。神には祈れないが…せめて、最期は看取ってやる」
ブリックが静かに剣先をトーマスに向ける。
「俺はそんな義理はないし、許す気もないから優しくは出来ないがな」
勇人も剣先をトーマスに向ける。
「くははっ!これで貴様ら勝ったつもりか?さっきも言っただろう?一人で来るわけがないって!」
トーマスが胸元から出した笛を口に咥える。
「っ!まずいっ」
ブリックが駆け出し、トーマスに向けて横薙ぎに剣閃を振るうが…鈍い。
血を大量に流し、まともに動ける状態ではないのだ。
事も無げに後ろに飛んで躱すトーマス。
そのまま口に含んだ笛を鳴らすが音は出ない。
いや、わずかに魔力波長を感じる。
そういうアイテムなのだろう。
「いくら貴様らでも、手練れの暗殺者20人に囲まれては一溜りもなかろう!だが、安心しろブラドォォ貴様はまだころさん…じっくりいたぶって、ガキどもをその目の前で殺した後に殺してやる!」
「キサマァァァ!」
「そしてソロモォォォン、貴様には!……おい、何がおかしい!?」
ブリックが悲痛に叫び、トーマスが狂喜に叫ぶ中、勇人は…
「え?ごめんちょっとまって…耳にゴミが溜まってて良く聞こえなかったよ」
ニヤニヤと笑いながら、耳をほじっていた。
「ソロモン、くん?」
「で、トーマス。お前のご自慢の暗殺者はいつ来るんだろうな?」
「なにを言って……なぜだ…なぜ……」
流石に様子がおかしいことに気づいたトーマスとブリックが周りを見渡すが、変わらず周囲は静寂に包まれている。
「何をした!」
「別に…いや、むしろ俺が聞きたい。俺が何もせずにお前の話に唯付き合っていたと…なぜそう思うんだ?」
「……」
初めて、トーマスの顔が苦痛にゆがむ。
「そう、その顔が見たかったんだよ…トーマス」
勇人がその様子を眺めて愉快そうに嗤う。
「そして、お前を殺すのは俺じゃない…シロ!」
バサッ
大きく翼を広げたシロが上空から静かに降り立つ。
「「なっ」」
その姿には、トーマスはおろか、ブリックも驚愕の声を上げる。
「鳥人?馬鹿な遥か昔に絶滅したはずの伝説の種族ではないか…」
「トーマス…お前は俺達の大事な仲間の、大事な人達を傷つけた…だから、その事に最も怒っている俺の仲間に、今回はその役目を譲ろうと思う。存分にやれ、シロ」
勇人が一歩後ろに下がる。
「有難うございます、ご主人様」
シロが翼をしまい、背中の腰にさした二本の短刀を握る。
その瞳は氷の様に冷たい、だがその奥には激しい炎のような怒りを宿している。
「ふざけるなぁ!こんなガキが俺の相手をするだと!」
「そうだ!言っておくが、今日のシロは優しくはないぜ?」
勇人がニヒルに笑って腕を組む。
完全に手を出さないポーズである。
ブリックはそんな勇人とシロを交互に見つめるが、しばらく考えた後に後ろに下がり勇人の横に並ぶ。
「くそくそくそ!!どこまでも…ふざけやがってぇぇぇ!」
トーマスが更に増えた青筋を額に浮かべながら、右手に剣を、左手に鉤爪を構える。
いい加減さっきから叫んでばかりで、やかましい
こいつのどこが諜報員なんだ?馬鹿か?それとも馬鹿にしてるのだろうか?まぁ馬鹿なんだろうな、もうメンドクサイ
「シロ、そいつの言葉はもう聞くに堪えない…」
「かしこまりました。呪詛も漏らさせず…殺し尽くします」
シロが助走もなしに、正面からトーマスに向けて一足で飛ぶ。
シュッ…
「!?」
ノーモーションで襲い掛かる鋭い一撃。
トーマスがその意外な速さに驚きながらも、とっさに顔にかぶせた左手の鉤爪を盾に短刀を弾く。
キンッ!
「なっ!」
トーマスの盾にした鉤爪の一本が割れて地面に落ちる。
鉤爪は見た所、細いとはいえ硬い強度を誇る黒鋼製。
だが、姿が霞むほどの速度から繰り出される、シロの斬撃は並の威力ではない。
加えてシロの持つ二本の短刀は魔力伝導率が非常に高く、最高度の強度を誇る、白金色のオリハルコンと純魔鋼で造られた特製な上、魔闘法により常に魔力を纏っている。
シロは着地と同時、一瞬で足を返し、また一足に飛ぶ。
トーマスの背中に目掛けて、短刀を振るう。
「くはっ…」
トーマスは咄嗟に身体をよじり、致命傷を避けるがその体を鎧ごと削られる。
シロのスピードはおろか、その剣閃の鋭さに驚いているようだ。
シロはそのまま、トーマスの周囲を無尽蔵に駆け巡り、トーマスの体を削り続ける。
『瞬駆』
名前は勇人が名付けた。
もとは、勇人の世界でとあるアニメで描かれていた忍者の動きなのだが、勇人が持つ知識を元に、スピードの反動を無視するような、冗談の様な技をシロはミューと共に訓練する中で形にしてしまったという無茶苦茶な技である。
360度から無作為に現れる斬撃、実際には着地の瞬間に微かに影が朧となって表れるのだが、その姿を見るころにはそこに既にシロの身体はない。
「くっ…なっ…つはっ…ぬ…はがっ…がっ」
既にトーマスの立つ地面は流れ出た血で染まっている。
「はぁ…はぁ…ふんっ!」
だが、20,30とシロの繰り出す瞬駆から繰り出させる剣閃を受けるうちに、トーマスは僅かずつだが躱し始めているようだ。
流石は、伊達に修羅場をくぐってきているわけではないようだ。
「そこだっ!」
タイミングを合わせ、交すと同時に袖口から握ることなく発射された千本がシロに向かっていく。
それをシロはわずかに体をずらして躱すが、その動きが止まり、シロが飛び出してから、初めてその全身が露わになる。
「はぁ…はぁ…あははは…どうだ!ごふっ…くく、く、お前の動きは見切ったぞ…今度は、私の番だな…はぁ、はぁ」
トーマスが漸進を地で染め、目を血で真っ赤に染めながらも、顔を歪ませて笑う。
その様子を見れば、誰が見ても強がりと分かるが、まだその眼は死んでいないようで、むしろより濃い狂気が浮かんでいる。
比べて、対するシロの姿は正に対極だ。
その姿には血の一滴すらも媚びり付いた様子はなく、手に握る二本の短刀と冷たい金色の瞳が、今も月の光に反射してきれいに光る。
「それはよろしかったですね。…丁度、私の準備も整いました」
「な゛にを…いって、いる?」
「…もうあなたは私の姿の残滓さえ、見ることは叶わないでしょう。では、お疲れ様でした──永遠に」
シロがミューのごとく、執事の様な規則正しい礼をした後に再び飛び、その姿を消す。
今度は空中に向けて…
シロが空を駆ける。
シュッ、トンッ
空に鳴る、軽やかな足音。
シロの体が空中を蹴り、その軌道を変える。
「!?」
トーマスは空を見上げて驚愕の表情を浮かべる。
いつの間にかトーマスを囲む様に、キューブ状に作られた無数の空気の塊が浮かんでいた。
先ほどまでの瞬駆はシロの本気ではない。
シロは自分の最大の戦術を行うために、周囲にこの無数の仕掛けを作り出しながら攻撃していたのだから。
トットットトトトトッ
空を駆けるシロの速度はさらに上がって行く。
既に地上を駆けていた時とは比較にならず、トーマスにはその影すら追うことができない。
『瞬閃』。
空を駆け、地を蹴る…もはや縦横無尽、四方八方へと変幻自在に動き回るその姿は、影ですらもその眼で追うことは叶わず、その音速近い速度から繰り出される鋭い斬撃に、生半可な防御は無意味と化す。
勇人すらも予想だにしなかった、シロだけが可能とする、超高速立体機動戦術である。
トトトトトトトトトトトッ
ただ無数に同時に鳴る、軽やかな足音だけが鳴り響く。
シロの姿を欠片すらもその眼に掴むことも出来ないまま、いつの間にかトーマスの体はずたずたに切り裂かれていた。
「うああああぁぁぁぁぁがっ!…」
トーマスの眼が限界まで見開かれ、言葉にならない雄たけびを上げようとするも、その瞬間に音もなくその舌を斬り離される。
「がっ!?ふがぁ…ふーふー」
口から大量の血を流し、トーマスが目に涙を浮かべ口を抑えて、その場に膝をつく。
何かを言っているようだが、もはやその口で語ることは出来ないだろう。
「うふぁ…ふ…うら…す、ふぁふぁ、ふぁうみふゅ………」
そのまま、トーマスは空を見上げる様に、頭を上げる。
その姿はまるで…殉教者が最後に神に懺悔を捧げるかのように…勇人の眼にはそう映った。
シュッ…カチンッ
微かな音だけを鳴らして地面に降り立ったシロが、静かに鞘を鳴らす。
その手には蒼白い炎の様に揺らめく光が握られていた。
シロがその手に持った蒼白い炎を冷たい目で見つめ──砕いた
同時に、トーマスの首筋に線が浮かび上がり、ポトッと音を立てて地面に落ちる。
【参考ステータス】
No3 シロ(白鴉) 0歳♂ Lv38 種族:幻獣種-神鳥-鳥類-魔人
HP 4934/5130 MP 4132/4560
STR 663 VIT 471 AGI 1040
MA 494 MD 456
基本スキル
身体操作Lv5 魔力操作Lv4
空間把握Lv7
武技スキル
短剣術Lv5 体術Lv4
感知スキル
危険感知Lv1 気配感知Lv3 魔力感知Lv2
強化スキル
身体強化Lv4
魔法スキル
風魔法Lv4
種族スキル
魂命術(魂の檻、魂食い、魂送り、魂砕きetc) 黄泉縛り(捕縛効果:Lv依存) 転生 再誕 不死 天駆 羽手裏剣 光のブレス 闇のブレス 超速思考 星読みの魔眼 魔人化 人化
称号:魔王の守護獣 創造されし幻想 生と死の渡り鳥 勇人の欠片 魔人 女男 天駆ける白き翼
主人:ユウト=シノノメ
トーマス=ヨッド 34歳 ♂ Lv39 種族:人族 職業:騎士
HP 0/442 MP 116/326
STR 415 VIT 410 AGI 461
MA 307 MD 310
基本スキル
身体操作Lv4 魔力操作Lv1
武技スキル
剣術Lv3 短剣術Lv4 槍術Lv1 弓術Lv1 体術Lv4 投擲術Lv3
感知スキル
気配感知Lv3 魔力感知Lv1
強化スキル
身体強化Lv1
魔法スキル
水魔法Lv1 風魔法Lv1 神聖魔法Lv2
固有スキル
なし
称号:聖堂教会騎士 達人 教会信者 聖堂教会直属『黒影騎士団』所属序列九位 隠者 狂信者
ブリック 35歳 ♂ Lv48 種族:人族 職業:賞金稼ぎ
HP 382/561 MP 401/441
STR 566 VIT 527 AGI 488
MA 441 MD 431
基本スキル
身体操作Lv4 魔力操作Lv3
武技スキル
剣術Lv6 短剣術Lv1 槍術Lv1 射撃Lv1 体術Lv4 投擲術Lv1
感知スキル
危険感知Lv1 気配感知Lv2 魔力感知Lv3
強化スキル
身体強化Lv2 魔力強化Lv1
魔法スキル
火魔法Lv3 水魔法Lv3 氷魔法Lv2 神聖魔法Lv4
固有スキル
なし
称号:元聖堂教会騎士 達人 元聖堂教会直属『黒影騎士団』所属序列三位 断罪の十字架 信仰を失いし者 逃亡者 復讐者 賞金稼ぎ
いまさらですが、スキル参考目安
Lv1 何とか使える
Lv2 普通に使える
Lv3 熟練者
Lv4 一流
Lv5 超一流、名人級
Lv6 国士無双、規格外級
Lv7 伝説級
Lv8以上 神話級




