クラスメイトと貧乏人の俺 後編
「それで?レイジとセルフィに突っかかって来た理由は?」
決闘が終わり、改めてジェラシーの事情を聞く事に。
「……」
「話す気は無い、と言う訳か」
「…話しても信じて貰えるか、分かりませんので」
「そんなに僕達が信用ならないか?」
「い、いえ!滅相もございません!」
「では話して貰おう」
「……っ」
「だんまり、か」
(何だろう、話せないって言うよりも…)
どこか話したくない。
そんな雰囲気を感じ取った。
「なぁ、あんた」
「…何でしょうか」
「もし、あれなら俺にだけ話してくれないか?」
「そ、それは…」
「王子と王女が居たんじゃ、話せるものも話せないだろ」
「……そう、ですわね」
「なら、僕らは先に教室に戻るとするか」
「良いのですか?」
「良いも何も、僕らが居ると話しにくい内容なんだろう」
「……」
「みたいですわね、ではくれぐれもレイジを襲うような真似はしないで下さいまし」
「は、はい…」
それだけを言い残し、2人は先に教室に戻って行った。
「んで、何で俺に突っかかって来た?」
「……じ、実は」
「実は?」
「その、セルフィ王女と…」
「セルフィと?」
「一緒にいる貴方が…」
「俺が?」
「……っ、羨ましくて」
「…羨ましい?」
「っ、ああもう!だから言いたくなかったのよ!」
「ど、どうした!?」
「あたし、セルフィ王女の大ファンなの!」
「大ファンって、あっ!?」
そう、ジェラシーはただ大好きな人とよく分からない俺が一緒に居るのが気に食わなかったのだ。
「良い!?ライト王子はともかく、本人には絶対話さないでよ!?」
「わ、分かった!そんな言わんくても、本人には言わねぇよ!?」
「なら良いけど…」
「つまり、ただの嫉妬って訳か」
「…別に良いでしょ」
「悪いなんて言ってないだろ」
「だ、だってあたしは!」
「それで喧嘩を売ったからとかは、関係無いと思うぞ」
「ゆ、許すの…?」
「許すも何も、俺は元々怒ってない」
「へ?」
「そもそもだ、俺もセルフィに好かれてる事に納得行ってないんだ」
「そ、そうなの…?」
「だってよ、一年前に一度会って今日で二度目なんだぜ?」
にも関わらず、あの態度だ。
不思議に思わない方が可笑しい。
「な、何て羨ましい…」
「お前からしたら羨ましいのかもしれないけど、俺からしたら頭が痛いよ」
「どうしてよ、あのセルフィ王女よ?」
「俺の母さんはさ、ずっと寝たきりなんだ」
「…!」
「父さんは俺を養う為に、俺が物心ついた頃からずっと働きっぱなしでさ」
「……辛い事情が、あったのですね」
「そんな貧乏人が急にある日、王女と出会ってデレデレされてるなんて飲み込めると思うか?」
「確かに、それは少し難しいですね」
彼女は心を開いてくれたのか、自然と笑ってくれた。
「だろう?そりゃ美人に好かれるのは嬉しいけど、王女と俺なんか釣り合わねぇよ」
気分を良くした俺も、食いつくように笑いながら話す。
「だから、あたしが言った事には怒っていないの…?」
そして彼女は、恐る恐るながらも俺の本心を聞いてくる。
「ああ、だって実際そうだからな」
「ふふっ、貴方変な人ね」
「変って、おい」
「だって普通、そうは思っても決闘を仕掛けて来た相手には話さないわ」
「…!た、確かに」
ジェラシーからすれば、嫉妬で喧嘩を売りに来た最悪な女。
と言うのが自己評価なのだろうが、俺には正論にしか聞こえなかった。
「でも、相手が貴方で良かったわ」
「良かった?」
「ええ、こうして話せているんだもん」
「そっか…!」
腹を割って話せたおかげで、心の底から嬉しそうな笑顔を見せてくれる。
俺も応えるように、満面の笑顔で返す。
後になって気持ち悪いと思い、後悔したのは野暮だと思いたい。
「あっ、コラ!?」
(ライトの声?)
打ち解けたと思った時、教室に戻ったであろう筈のライトの声が聞こえて来た。
少し珍しいが、何やら焦っているような声音だ。
「ええい、もう我慢出来ませんわ!」
「待て、君が出るのは!」
「レイジ!」
そして、決闘場の扉が開かれて俺はライトの焦りを理解した。
「セルフィ!?」
「せ、せせせセルフィ王女!?」
「今の話、全て聞いていましたわ!」
扉を開けたのはセルフィ、事の発端とも言える彼女が扉を開けたのだ。
「全てって…」
「ジェラシーさんが私の大ファンと言う所から」
いや、開けてしまった。
聞いてしまっていた、と言うべきだろう。
「なっ、なななななっ!?」
「お前なぁ…」
「それよりも!何故、私以外の女性と懇意にしているのですか!」
「懇意って、ちょっと話してただけだろ!?」
「いいえ、王女の夫たるもの!浮気など言語道断ですわ!」
「浮気って…」
「ええい!君は何故、我慢が出来ないのだ!」
「何をするのですか、ライト王子!」
唯一、セルフィの暴走を止められるライトが腕を思いっ切り引っ張る。
「教室に戻るぞ!」
「は、離して下さいまし!」
「話は終わりだ!後はレイジに任せろ!」
こうして後を任せれた俺は、気絶してしまったジェラシーを保健室に連れて行き教室に戻った。
jealousy(嫉妬)→ ジェラシー adore(慕う)→ アドーア




