魔森編8 ~亜人奴隷と女神様~
今回は少し長いのとご都合主義というなんというか・・・
暁「俺はお前達の敵ではない、だが攻撃を仕掛けてくるのであればそれ相応の対応をしなくちゃならない、だから抵抗はしないでくれ」
そう告げると亜人達は納得できないようだが先程の戦闘での力の差に頷くしかなかった
暁「怪我人を俺の前に連れてきてくれ、まずは治療をしようか
セリ来てくれ」
隠れていたセリを呼ぶと怪我の酷い者達から順番に治療を始める
まだ動ける者達は治療の補助に回ってもらう
生き残った全員の治療が終わると死んでしまった者達を埋葬する
力の強い獣人たちで穴を掘り纏めて穴の中に並べると土をかけ埋める
暁「次はその首輪を外そうと思う、だがこの場所に何時までも居るのは危険だ
少し移動するから着いてきてくれ」
魔物の血によって他の魔物を呼び寄せてしまうかもしれない事を懸念しセリに教えてもらった水場に移動する
獣人(女)「あの・・・少しいいかい?アタイは『マルガ』っていうんだ、まずは礼を言うよ助けてくれてありがとう。
なぜアタイ達みたいな亜人をあんたみたいな人族が助けてくれるのさ
それにアンタもだ鬼人族の女・・・セリって言ったっけ?
何で人族なんかと一緒に居るんだい?隷属の首輪もつけてないじゃないか
こんな強い魔物が沢山住んでる魔森にいる事自体が異常だってのに・・・」
鞭で叩かれていた獣人族の女性が全員を代表して尋ねてきた
暁「(さて・・・どう答えたものか・・・)」
セリの事情からスイの事は隠した方がいいだろう
どう答えるか迷っていると水場に着いた
暁「俺達のことはどうでも良い事だ、お前達には関係ない
それに俺達がこの森にいなければお前達は助からなかった、俺達には俺達の事情がある、わざわざ教える義理は無い」
そう答えると、そうだな・・・と寂しそうに言いそれ以上は何も言わなかった
暫く水場で休憩する事にして皆に食料を渡すとセリを呼ぶ
セリ「暁様どうかなさいましたか?」
暁「こいつらを解放しようと思うんだがどうだ?」
セリ「それは・・・いいことですが・・・その後はどうなさるのですか?」
暁「そうだな・・・森の外に連れて行けばいいかと思っているんだけど・・・」
セリと今後について話していると先程のマルガが近づいてきた
マルガ「すまないが・・・我々の処遇についてお聞きしたい
やはり我々は人族の町に戻されるのだろうか・・・?」
何か暗い様子で尋ねてきたのはマルガの様子が少し気になった
セリ「暁様は貴女方を奴隷から解放なさるそうです
自分の故郷に戻るなり好きにすればよろしいかと」
セリがそう告げると亜人達は解放については喜んでいたが『故郷に戻る』と言う所で落ち込んでしまった
その様子に困惑していると獣人女性が代表して教えてくれた
マルガ「我々は・・・人の町で産まれたのだ・・・故郷は無い
もしかしたら分っているかもしれないが私達は『忌み子』なのだ・・・
同族の町に行ったとしても受け入れてもらえないだろう・・・」
沈んだ様子で教えてくれたマルガに詳しく話を聞く
マルガ「私達の母親は人族の奴隷だったのさ、人族は同族をも奴隷にするが同族の女は高いらしくてな・・・
貴族や金を持ってる奴以外は大抵亜人の女を性奴にしてるのさ
それでもし亜人の性奴が子を孕んだら産ませて女なら売り飛ばし
男なら労働力にするか殺してしまうのさ
まぁ男は反逆を抑えるために殺されるのが殆どだがな・・・」
そう教えてくれたマルガの言葉に驚く
人族は忌み子を嫌っているが自分達の良い様に利用しているのか・・・
怯えたように震えるマルガをセリが抱きしめて落ち着くまで待つ
マルガが落ち着いたのを確認すると、皆に聞こえるように言う
暁「お前達の事情は分った、さっきお前達が気になっていた質問に答えよう
俺がこの森にいる理由は色々と事情がありいえないが、こちらのセリがこの森にいるのはセリの娘が忌み子だからだ
里を抜け出しこの森で生活していたがセリでは生き抜くのが難しく
偶然俺が見つけ助けたから供にいるんだ、俺にとっては忌み子なんて関係ないからな」
そう告げると信じられないという様子でセリを見る
セリが無言で頷くと続けて語りだす
セリ「暁様は私と娘の命の恩人です・・・確かに娘は望まずして出来た子でしたが、でも私の産んだ大事な娘なのです・・・娘を生かすため里を出てこの森に来たまでは良かった・・・
でも私の力量では魔物を倒すことも出来ず果実を食べ餓えをしのいでいました
しかし私が体を壊してしまった事により娘共々餓えて死ぬ寸前でした
森に食べ物をとりに出かけた娘が暁様に助けていただき私達を救ってくださったのです
今日は森の中を探索しているところ貴女方を偶然発見したのです」
セリの話を聞いていたマルガがこちらを見て何かを決意した様子で話し始めた
マルガ「暁様・・・でよろしいでしょうか・・・
私を・・・私達を暁様のそばに置いていただけないでしょうか?
私達にはいく場所が無いのです・・・どうか・・・どうか私達をおそばに・・・」
そんな事を言い出したマルガに同乗する様に他の亜人達も頭を下げてきた
急な事で混乱しているとセリが手を握ってきた
セリ「暁様・・・厚かましいお願いだという事は承知しています
どうか・・・この人達を・・・お救いください・・・」
そう涙を流しながらお願いしてくるセリを見ていると気持ちが落ち着き冷静さを取り戻した
暁「(傍に置くか・・・救う力はある・・・だが・・・)」
コレだけの人数の人生を纏めて背負うことの重さ・・・護れるだろうかという不安が頭を埋め尽くす・・・
暁「(でも・・・こいつらを此処で見捨てるわけにもいかない・・・
いっそのこと吹っ切れて背負おう!人数がいるんだ、力を合わせれば何とかなるさ)」
最後には自棄になりながらも助けるという覚悟を決め顔を上げる
暁「自由になりたい者はセリの元にいけ、俺について来たい者は俺のそばに来い」
そう告げると全員が顔を上げ嬉しそうな声をあげると暁のそばに近づいてきた
暁「どうやら全員俺と供に来ることでいいんだな?
俺と供に来るのなら俺の命令は絶対に聞いてもらうがそれでもいいんだな?」
そう告げると全員から了承の声が上がった
暁「ふぅ・・・とりあえずお前達の首輪を外すじっとしていろ『支配解除』」
そう唱えると皆の首に着いていた首輪が音を立て地面に落ちる
セリ「さ、さすがです暁様!こんな事まで出来るなんて・・・やっぱり素晴らしいお方です!」
自分達に起こった事が信じられないのか首を触り首輪が無いのを確認する亜人達
首輪がなくなった事が分ると抱き合って喜びの声をあげる様子を横目にセリに話しかける
暁「とりあえずは拠点に戻る事にしよう、さすがにこの人数は拠点に入らないだろうから・・・拠点に戻ってからその事についても考えよう」
そうセリに告げるともちろんです!と嬉しそうに笑った
暁「おい嬉しいのは分るが落ち着け、とりあえず安全な場所まで移動する
俺達の拠点だ小さな子供がいるから怯えさせたら許さんからな、じゃあいくぞ!」
そう告げると急いで拠点へと戻る
移動し始めた暁に慌てて着いていく亜人達は先程までと違い笑顔であふれていた
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拠点に戻るとスイが飛びついてきた
スイ「おかえりなさいおにーちゃん!お母さん!」
暁「あぁただいまスイ良い子にしてたかい?」
頭を撫でながら言うと嬉しそうにニコニコしている
スイ「うん!シルクがねぇ~凄いんだよ!何処に投げても取ってくるの!」
何時の間にか足元にいたシルクも尻尾を振りながらこちらを見ている
暁「そうかぁ~流石シルクだな、シルクもお疲れ様スイを守っていてくれてありがとうな」
そういうとシルクを撫で回すと嬉しそうにお腹を見せて転げまわる
そんな様子を微笑ましく見ているとマルガが近づいてきた
マルガ「此処が暁様達の拠点なのですか・・・って何故魔物がいるのですか!!」
シルクを見て驚いたマルガ達が慌てて距離をとる
スイ「おにーちゃんこの人達誰~?」
シルク「がるぅぅ」
スイがマルガに気づき急いで暁の後ろに隠れる
シルクは避けられた事がショックなのか尻尾が垂れ下がっている
暁「この人達はこれから一緒に生活する人たちだよ、挨拶できるかい?」
しょんぼりとしてしまったシルクを撫でながら説明する
スイ「うん!わたしはスイって言います6さいです!」
そう笑顔で自己紹介するスイを見てあっけにとられているマルガ達を横目にシルクの紹介をする
暁「そういえば俺達も自己紹介してなかったな
俺は御三月暁だ歳はまだ18さいだ、こっちは鬼人族のセリで歳は20だ
最後にコイツがシルバーウルフのシルクだ」
シルクを撫でるのを止め自己紹介をする
マルガ「あ、あぁありがとう、アタイはマルガだ歳はまだ19だ猫の獣人だ」
そう言うとそのまま亜人達の自己紹介が始まった
ジェミ「私はジェミ、犬獣人のハーフです20歳です、よろしくお願いします暁様」
サーラ「あたしはサーラ、狐獣人のハーフで22歳です、よろしくお願いします暁様」
ラナ「わたしは・・・兎獣人のハーフ、ラナです・・・8歳です」
フェリス「私はエルフ族のハーフでフェリスといいます17歳ですよろしくお願いします暁様」
ベリス「・・・わたしはドワーフ族のハーフでべリスだ、こう見えても20歳だよろしくたのむ」
アグリ「ラミア族のハーフ、アグリです!今は人型ですが元の魔族の姿に戻る事も出来ます歳は16歳です!よろしくおねがいします」
カルネ「私はアラクネ族のハーフ、カルネだ、アグリと同じように魔族の形態に戻る事ができる歳は18歳だ・・・助けてくれてありがとう」
ハミル「・・・吸血鬼族のハーフ・・・ハミルです・・・7歳です・・・助けてくれてありがとうございます」
一度に自己紹介されて困ったがなんとか名前だけは覚える事ができた
暁「自己紹介ありがとう、もう一度言うが此処ではハーフや忌み子なんてものは関係ない
俺が求めるのは皆で助けあって協力する事だ、この森では1人で行きぬくことは困難だろう
争いごとはごめんだが、お前達が協力し俺の仲間である限りは俺が護る
『助け合う』その事を忘れないでくれ、平和に暮らせるように皆で助け合っていこう」
そう告げると全員から返事がきた
暁「とりあえず明日からは食料の安定と住処の確保を行なうそれまでは各自体を休息だ
この洞窟周辺は魔物が近寄らないようになっているから安心して良いぞ
食事になったら声をかけるからそれまで自由だ」
皆がおのおの寛ぎはじめたのを確認すると新たに出てきた問題をどのように解決させるか考え始める
暁「(拠点・・・やっぱり何時までも穴倉よりも家を作って住みたいんだが・・・
流石に建築の知識があったとしても技量が足らないからな・・・
何処かに不具合があって崩壊したら困るし・・・)」
何か良い案はないかと考えるも何も思い浮かばず途方にくれているとセリが近づいてきた
セリ「暁様、少しお休みになられてはいかがですか?
今日は色々と大変でしたのでお体をお休めください」
必死で頭を悩ませている暁の様子に何か力になれないかと考えていたが自分では何が出来るか分らなず無力さを恨んだ
だが今日の戦闘やこれからの事を考え暁の体を気遣う事はできると休息を勧めたのだった
暁「あぁ・・・少し休んで頭をスッキリさせるよ、ありがとうセリ皆の面倒をみててくれ」
セリ「ええ、お任せください!安心して、ごゆっくりお休みください」
そういうと洞窟の中に入っていく暁の背中が見えなくなるまで見送る
暁「寝て起きたら良い考えが浮かんでくると良いな・・・」
寝床に潜り込むと不思議と直ぐに意識が遠のいていった
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フワフワと空中を漂っている感覚がする・・・
イレーナ「暁さん、暁さん、起きてください」
突然聞こえてきたイレーナの声に急激に意識が覚醒する
起き上がって周りを見渡すとそこは見覚えのある空間だった
暁「あれ・・・ここは異世界に行く前に居た空間・・・」
そこは暁が女神に見送られて異世界に旅立った空間だった
暁「しかも前回と違ってちゃんと動けるぞ」
人間では存在できない空間だから動けないと言われたはずなのに・・・
そんな事を考えているとイレーナが近づいてきた
イレーナ「お久しぶりですね暁さん、今回は少し用事があってお呼びしました」
そう言うイレーナの隣に大地の女神と知らない女性、おそらく女神様が立っていた
???「初めましてだな暁殿、私は『戦の女神』だ、天界で話題のお主を観察していたらなかなか面白い事を言ってくれたのでのぅ・・・少し話をしに来たのだよ」
そう言う戦の女神様は少し不機嫌そうな様子だ
暁「えっと・・・何か失礼な事をしてしまいましたでしょうか?」
身に覚えがなく戸惑っていると大地の女神が教えてくれた
大地の女神「お主が鬼人族のセリとやらに脳筋英雄は皆戦いの女神の加護を受けてたんじゃないかといっておったろう?
それにコヤツ怒っておるのだよ」
戦の女神「そうじゃ!私はあんな者共に加護など与えておらん!あの者達に加護を与えたのは下級の神共、しかも己の信者を増やす為に与えたのじゃ
そんなのと一緒にされてはたまらんからなぁ」
怒りに震える女神様が更に不機嫌になりながら言った言葉を聞き申し訳ない気持ちになる
暁「それは申し訳ない事を言いました、本当にすいませんでした」
そう言って頭を下げる暁に慌てて戦の女神がやめる様に言う
戦の女神「頭は下げんでくれ、私がこいつ等に怒られてしまう・・・
今回呼んだ理由の一つに私の加護もお主に授けようと思ったからじゃ
お主の眷族達を守りたいという真っ直ぐな思いに惚れたのじゃよ
今のままでもお主は強い、だがまだ絶対の強さではないのじゃ
じゃから私からも加護を授け少しでも更なる高みに近づけさせようと思ってな」
私の力もお主の思うように使うと良い、そう言って頭に手を置いて何か呟くと全身に力が漲るのが分った
戦の女神「どうやら皆の力が馴染んでいるおかげで負荷は無かった様じゃの」
そういってころころと笑う女神様に慌ててお礼を言う
暁「ありがとうございます、この力ありがたく使わせていただきます
あの本当に申し訳ございませんでした」
そう言って頭を下げる暁を次はイレーナが制した
イレーナ「そちらの用件はもう終わった様で良かったです、次の用件は異世界の生活はどうか、それと力の馴染み具合の確認だったのですが・・・問題なさそうですね」
暁「ええ、異世界で新たな仲間が出来ましたし、守りたい者達も出来ました
力に関しては問題ないと思います
ただ、頭の中に知識が浮かんでくるのも加護の影響なのですか?」
ずっと不思議だった事を聞いてみる
イレーナ「それは知恵の女神が貴方が悩んでいる時に手助けをしているのですよ
貴方が知恵を欲したとき知恵の女神から授けられているのです
本当は傍で教えてあげたいみたいですが、今は近くにいけないので仕方なく直接知識を授けているみたいですよ」
暁「そうだったんですか・・・お礼を言わないといけませんね
本当に助かりましたからね・・・今日はどちらにいらっしゃるのですか?」
そういえば他の女神様の姿が見えない事が気になり尋ねてみる
イレーナ「彼女達は手続きを進めなければいけないのに貴方の観察ばかりしていて作業がまったく進んでいない様なのでお留守番です
今回の用事はその件もあるのですよ」
そういって戦の女神と談笑していた大地の女神を呼ぶ
イレーナ「今回呼んだ最後の用事は大地の女神が手続きを終わらせた事です
大地の女神は貴方の観察をしつつも手を休めることなく作業に励み、一刻も早く貴方の傍に行くために頑張ったのですよ
だから今から大地の女神は貴方と供に居られるのです」
イレーナがそう言うと大地の女神が近づいてきて抱きしめてきた
大地の女神「童・・・暁よ1人で行かせてすまなかったな、だがもう大丈夫だお主が悩んでおった住処の事、食料の事は私が解決することが出来るでな、もう悩まなくて良いぞ」
抱きしめられたままその言葉を聞き驚いた
暁「本当ですか!?よかった・・・ありがとうございます」
本当に嬉しそうに言う暁を見て笑みを浮かべる大地の女神
大地の女神「お主の役に立つために可能な限り早く作業を終わらせたのじゃ
さっそく役に立てて嬉しい限りじゃ
じゃがそうじゃな・・・頑張ったのじゃから褒美が欲しいのう・・・
私に名前をつけてくれないか?」
抱きしめていた手を緩めると顔を覗き込んできた
暁「本当にありがとうございます。な、名前ですか・・・」
自分なんかが神様の名前を決めても良いのだろうか・・・そう思ってイレーナ様をみると嬉しそうに頷いている
暁「恐れ多いとは思いますが・・・『ターナ』でどうでしょうか?」
そういって大地の女神を見る
ターナ「ターナか・・・気に入ったぞ!嬉しいのう・・・コレで暁は私の主じゃな」
そういうとまた抱きしめてきたターナの言葉に違和感を覚える
暁「あ、主ってどういう事ですか!?」
そういってイレーナを見る
イレーナ「地球から来た女神達は貴方の眷属になる予定なのですよ
眷属になるには2つ方法があります。
1つは正式に主から名前を貰って相手がそれを受け入れ眷族となる事を望んではじめて眷族となります
今貴方の眷属にシルクというシルバーウルフがいますがこちらもそうですよ。
もう1つは貴方の眷属になりたいと心のそこから願い、貴方が眷属として受け入れても良いと許可をだした場合眷属として契約されます
こちらは1つ目に比べて眷族になった場合の恩恵がすこし少ないですがね」
その言葉を聞き唖然とする
神を眷属にする?そんな事許されるのだろうか・・・そう思ったがこの世界で一番偉い神が許しているのだと思い出すと頭が痛くなったが気にしないことにした
暁「なんだか成り行きで眷属にさせてしまったけど、これからよろしくお願いしますターナ様」
そう告げると頭を叩かれた
ターナ「眷属に様をつける主がおるか!敬語もやめよ!眷属とはこれから供に過ごす家族の様なものじゃからな
むしろ私の方が敬語を使うべきなのじゃが・・・敬語にしようかのぅ」
そんな事を言い出したターナを慌てて止める
暁「分った!分ったから敬語はやめてね?それと改めて、これからよろしくねターナ」
そう告げると嬉しそうに笑みを浮かべたターナに更にきつく抱きしめられ額にキスされる
暁「なっ・・・!!」
突然の事に驚き硬直したがキスされたという事に気づくと顔が熱くなる
ターナ「主は可愛いのう・・・私の方こそ末永く可愛がって下され可愛い主よ」
からかうような笑みを浮かべるターナにコクコクと頷くことしかできなかった
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暫くは皆でまったりと雑談してのんびりとした時間を過ごしているとイレーナが安心したように呟いた
イレーナ「暁さん罪の意識に悩んでいなくて良かったです」
そう言うイレーナに暁は違うと首を振る
暁「罪の意識は感じています、やっぱり地球で過ごしていた事もあり人を殺したという事は辛いです
でも仲間を護るため、弱い人たちを理不尽な事で苦しんでいる人たちを護るために俺は罪を背負おうと思います」
そう苦しそうにもらした暁をターナは悲しそうな顔で見ていた
イレーナ「貴方のやった事は間違った事ではありません
実を言うと人間達には再三忠告を神託という形で出していました」
そういうイレーナ様は悲しそうに顔を俯かせると続ける
イレーナ「しかし人間達はそれを受け入れなかった・・・
神託を聞いた神官はそれを皆に告げると悪の手先という事で皆処刑されました
神の名を語り人間を貶めようとした・・・とあの人達は真実を伝えていたのにです
その後は国の王や重役達の夢で語りかける事もしましたが彼らは受け入れませんでした。
なので亜人の彼らを救う事は神の意思でもあるのです、人間に対しては十分な猶予は与えましたその結果なのですから暁さんが苦しむ必要はありませんよ
そろそろ人間の国に災害でも起こそうかと本気で思っていましたから・・・
実際に起こしても逆効果になりそうですけどね」
そういって笑ったイーレナ様にお礼を言う
暁「ありがとうございますイレーナ様・・・少し気持ちが軽くなりました
それにしてもあの世界の人族はなかなかどうしようもないようですね・・・」
笑いながら言う暁にイレーナも苦笑いしながら、そうですねっと呟いた
ターナ「主が辛いのであればこれからは我々眷属が変わり行なおう
我々はいつでも主の味方だからな!我らにも主の苦しみを背負わせてくれ」
そう言いながらまた抱きついてきたターナにされるがままになりながらお礼を言う
暁「ありがとうターナ・・・でも俺がちゃんとするよ出きるだけ殺しという選択肢をとらなくて良いぐらい強くなってみせるさ」
そう言う暁を見つめていた戦の女神が暁に近づいてきた
戦の女神「我の加護にはお主の戦闘力向上もある、戦闘技術やお主の居った地球の格闘術、武術の技なども入っておるでな
地球の武術を暇つぶしに見ていた事がこんな形で役に立つとは思わなかったがお主の役に立ってよかったわ」
そう述べた戦の女神を驚いた顔で見つめていると更に続ける
戦の女神「もちろん技術などは習得しておるからの、後は体が勝手に動くじゃろう、それもお主の体に力が馴染み強くなっておるから出来た事じゃ
じゃからお主に勝てるものは人族にはもうおらんだろうな」
ころころと笑う女神様になんと反応して良いか分らずに呆然とするしかない暁だった
暁「あ、ありがとうございました」
何とか意識を戻すとお礼を告げる
戦の女神「なに、お主は神の間でも特別じゃからな・・・イレーナ様の加護を授かりし異世界からきた人間という事で神の間でも有名じゃからのう
皆暇があるとお主の事を覗いている様じゃぞ?
一度でもお主を観察した事があるものはすっかりお主のファンになっておるよ
もちろんお主の過去の事も知っておるからのぅ・・・皆がおぬしを応援しておる
神がお主を応援しておるのじゃお主の思うように生きよ、世界を破壊するなんて事はやめて貰いたいが、人族の8割程ぐらないなら滅ぼしても誰も咎めはせんよ
再三の警告を無視しておるのじゃなからな、皆人族に怒っておるのだよ」
とんでもない事を言っている戦の女神を嗜めつつイレーナが続ける
イレーナ「滅ぼすまではやめて欲しいですがね・・・」
そういうイレーナ様に慌る
暁「滅ぼすつもりなどありませんよ、でももし他の人族たちがこの前のアイツの様な奴ばかりなら・・・虐げられている人達を助けてあげたいと思います・・・
まだ色々と実際の現状とか分らないのでそこまで大それた事はしませんよ
今回新しく加わった仲間の事で精一杯です」
困ったように笑いながら告げると、良かったですとイレーナも笑ってくれた
イレーナ「さて、そろそろ地上にお戻ししますね
お留守番させているあの娘達の様子も気になりますし・・・」
暁「分りました、色々とありがとうございました
戦の女神様も加護ありがとうございます」
そう頭を下げる暁を嬉しそうに眺めるイレーナと戦の女神
戦の女神「かまわぬよ、お主の思うように使うが良い
我は天界から見守っているからな」
イレーナ「ではまたお会いしましょう」
イレーナがそう言い手を振ると意識が遠のいていく前と同じ感覚がした
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戦の女神「なかなか面白い奴だったのぅ」
イレーナ「そうでしょうね私も気に入ってますし、天界の皆も気に入ってるようですしね
さて、あの娘達は大人しく作業を進めていたでしょうか・・・」
そう言い残しイレーナはどこかに歩いていった
戦の女神「大地の女神の奴・・・名を貰って嬉しそうだったのう・・・
天界は退屈だからのう・・・我も暁のもとに行くかの・・・そうと決まれば準備じゃな」
悪い笑顔でそう呟いた戦の女神は急いで何処かへと消えていった
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暁が眠った後はセリは皆の世話をしつつ食事の支度をしていた
セリ「(今日の出来事で暁様もお疲れのようですしせめて美味しいご飯を食べて元気になってもらいましょう)」
そんな事を考えながらテキパキと料理の下ごしらえを終わらせていく
それに気づいた新たに入った亜人達は自然とセリの手伝いをしていた
彼女達からしても暁は大恩人であり少しでも役に立ちたいのだ
セリ「あら、ありがとうございます皆さん」
下ごしらえが大体終わった頃、夢中になって料理していたセリが皆の存在に気づく
マルガ「いやいやアタイ達も役に立ちたくってさ・・・自由って言われても何して良いか分らないし、助けてもらった暁様にお礼がしたいんだよ」
そういうマルガに同意するように他の亜人達も頷く
セリ「暁様はそんなに気にしないとは思いますが、良い心がけです
一緒に暁様のお役に立てるように頑張りましょう」
そう言って笑うセリに皆がヤル気を漲らせ料理に取り掛かる
ラナ「フェリスお姉ちゃんコレはここで良いの?」
フェリス「あぁ!!待ってラナちゃんそれはまだ置いておいていいからね」
ハミル「・・・美味しいって・・・言ってくれるかな?」
アグリ「大丈夫よ!きっと美味しいって言ってもらえるわ!これはこうだったかしら?」
カルネ「ちょっ、ちょっと待てそれは違うそうじゃない!!」
どうやらまだ料理に慣れていない者達も居るようだ
奴隷だった頃には考えられないほど皆が笑顔でいきいきと料理をしている
一番年上のサーラはそんな皆の様子を嬉しそうに眺めると作業の続きに戻るのだった
セラ「そろそろ完成ですね・・・では私は暁様を起こしにいってきます」
そういってセリは拠点の奥へと向かっていく
アグリ「後はアタイ達だけでも大丈夫さね、スイちゃん、ラナそれとハミルは盛り終わった器を並べてくれ」
はーいっと可愛らしく返事をするチビズはアグリの指揮の元食器を並べていく
ジェミ「コレで一通りおわりですかね」
ベリス「あぁ慣れない事はするもんじゃないねぇ」
マルガ「でもこれからはそうも言ってられないさ、自由にしてもらっても生きていく為には皆でいろんな事をしなきゃいけないからな」
そんなマルガの言葉に皆がうなずいた
フェリス「そうですね落ち着いたら私達の得意分野で分担していけたらいいですね」
ベリス「あぁ私は鍛冶や採掘の方が得意だからなぁ・・・料理は苦手だよ」
落ち込んだように言うベリスを慰めるラナ
ラナ「ベリスお姉ちゃん元気出して!一緒に料理頑張ろう!」
そんな様子を微笑ましく眺めているとセリが向かった拠点の奥からセリの叫び声が聞こえてきた