須貝絵玖という女の子(5)
こうして、川遊びに暮れた学校生活が終了した。そして明日から二日間の休日がスタートする。休日に入る流れとしては、最高に良い流れと言えるな。
「来週、勝負が決するわね、秀吾」
「だな。覚悟しとけよ? 今回こそ、勝つのは俺だ」
「いえ、私が首位を守り抜いてみせるわ」
「……上の世界が何やら騒がしいな」
「同じネタ使い回すの止めなさい、ミャンマー」
「そういえば、お前はどうだったんだ? 今回の手応えは」
「ん? ああ、まあ個人的にかなり良い部類に入るんじゃないか。いっそ死にたいって思うほど辛かった3徹だったけど、結果的にはやってよかったよ」
「へぇ、じゃあ最下位脱出も夢じゃないかもしれないのか」
「かもしれないな。まあ、俺もちょっと結果は楽しみだ」
「来週がちょっと楽しみね。――じゃあ、私は帰るわね。帰って勉強しなくちゃ」
「テストが終わったばかりだというのに、また勉強かよ……」
「何言ってんのよ。私たち、最上級生よ? 受験が控えてるでしょうが、やれる時にやっとかないと痛い目を見るでしょ? 今日のホームルームのおかげで息抜きはバッチリできたし、今日はたくさん知識が身に付けられそうだわ」
「そうかそうか、頑張れ頑張れ」
「あんたも他人事じゃないんだからね、ミャンマー。……じゃあ、またね~」
メガネを一度くいっと直し、佑香は教室を後にした。
「他人事じゃないのは分かってるっつーの。むしろ佑香よりも俺のほうが受験日早いからな」
「そうだな。それを言うってことは、今日は――」
「そう、今日も個別指導あるんだ。楽しいままで終われることって、なかなかないもんだよな~」
「まあな。でも、ここで我慢してでもやっておけば本番が良い結果になるんじゃないか? 応援してっから頑張れ」
「おう、そうするよ。お前も頑張れよ? まあ言われずともやってるとは思うが……じゃあ俺も行くわ。また来週学校でな」
「ああ、じゃあな」
佑香も亮も、自分の目標に向けて頑張ってるんだな。もちろん、俺も二人に負けないよう自分なりに努力してるつもりだ。
ずっと遊んでる印象しかないかもしれないが、実は夕食後、床に就くまでの時間は全て勉強の時間に当ててたりする。
このまま平凡な生活を送りたいと心では思うが、如何せんそうもいかないのが人生だ。
自分の道は自分で切り開かなければならない。今の俺が切り開ける手段と言えば、勉強を粉骨砕身して行い、ちゃんとした大学に入ることだ。
ちなみに少し前に行った模擬試験における志望校の合格ライン判定ではB判定をもらった。今の状態をキープすれば、合格できると先生には言ってもらった。
保つことが物事に置いて難しいことではあるが、逆にそれができれば、成長した証拠となる。次も前回の判定を維持するか、それ以上の判定を頂きたいところだ。
……何でこんな話になったんだろうな? まあいいか。
――さて、俺も帰るか……そういえば、絵玖の姿を見かけなかったな。もう帰ったのか?
「カバンは……まだあるな」
また先生と面談でもしてるのだろうか? うーん……別に帰っても罰は当たらないだろうが、学校に残っているのを確認してしまうと、どうにも帰り辛いところだ。最近はずっと一緒に帰ってたからな。
「……とりあえず、トイレ行くか」
ちょっと待って帰ってくる気配がなかったら、帰ることにしよう。
――というわけで、トイレに向かう俺。
……………………。
ふう、スッキリした。
――ちょうどトイレを後にしようとした時だった。




